twelve*twelve

<第1章>傾国の新王


第9話

 

「恋う国にいるのか!いっま行っくかっらねぇぇええぇぇえええぇっぇぇwwwww」

 背後で場違いな感情にウキウキするとんでもないアホがいた。

 そのアホを重臣たちは足を引っかけて床に沈ませ、よってたかってボコにし、再びその新たに浮上した議題に真剣に立ち向かう。





 恋う国に、この国を統治するはずの新たな王が捕らえられている……現実そう見て何ら差し支えはなかった。


「裏でどうもコソコソ小細工を弄していたと思ったが…」
「新王陛下が嘘海の向こうにいらっしゃるとどこで情報を…」

「いや、最初からは知らなかっただろうよ。おそらくこの馬鹿キリンが何年も王を見つけられないことで、察しをつけていたのだろう」

「それにしても卑劣な…目的は何だ?」

「どうしてもこの国に迎えられては困る理由…。監禁してまで手元に置いておきたい理由……」



 相手はあのデュランダルだ。何を考えているか判らない、ということはすなわち何をするか判らないということだ。

 言わずとも解れ?あーそんなのムリムリ。以上作者の経験談。



 重臣たちは再び床に沈んだアスランを監視しつつ、円卓を囲んで思案する。

 ともかく恋う国広しといえども、宮殿内に囚われているのでは、うかつに手の出しようがない。自分たちだけではまずあからさまに警戒される。だからといって目の前のアホキリン一人に託すのも、はっきり言って不安で不安で夜も眠れない。
 ん?いや、その暁には完全に手遅れになるだろう。そんなことになったら即傾国きっての大問題だ。

 ゼッタイに避けねばならない問題がココにあった。



「決して性急に動かないように!」
 重臣たちはアスランにくぎを差す。

「急いだ方がいい」
という一見しごくまじめそうに見えるアスランの判断の主な原因は、主君に対する(異常によこしまな)恋心だ。ほとんどまっとうな判断ではない。


「メサイアは警備が厳しい。妖怪も、数と種類を備えている。仮にうちのキリンが下半身以外でどれほど有能だとしても、一人で立ち向かえる数ではない」

「仮にとは何だ!事実俺はソッチだって有能だぞ!こないだだって、街でとびきりの可愛子ちゃんに声をかけられ………フゴッモゴッ…ブゴゴゴ………」


 傾国のキリンの動作を強制終了しています……………完了。
 OK?
 クリック!



「仮に新王をこの国にお迎えできたとしても、あなたがいなくなればこの国は立ちゆきません!異常〜に残念ですが、どんなにアホでも!役立たずでも!!真正の女好き超問題児でも!!!キリンはこの国に必要な存在なんです。軽挙妄動は厳に慎んでいただきたいッ」

「ケ……ケイ、モードー………?」
「このばかは軽はずみだって事です!」

「うぅうっうるさーいっっ」

「いっそこの前のように縛り付けておきましょうか」
 重臣の一人が大事な提案をする。それはそれはとても魅力的で有効な案だったが、事今回に至っては使えそうになかった。


「いや、本当ならその手は切実に使いたいが、今回はだめだ」
「それは……」

「隣国に…援助をしていただけるよう申し入れようと思う」


「やはり、¥国しかない…か」

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いいわけ:国名をまんまでは使えないので、同音異義語で考えたわけです。頭に思い浮かんだのは、何故か¥ショ●プのCMでした。¥店→¥国という単純な発想。
次回予告:アスランは足手まとい。第2章に入ります。


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