twelve*twelve
<第6章>女王即位
第48話
「つまり僕が長くこのいすに座っていれば、あなた達の儲け分は増えるって事なんだよね?それくらい協力してくれたっていいんじゃないかなぁ?」 そして、重臣たちは堕ちた。将来の既得権益の為に。 「判りました。やりましょう」 「話の分かる人たちで良かった。僕はとっても嬉しいよ」 「それとは別にですね、今度盛大な即位式を行います」 「え?」 「キラさまの即位式です」 「ヤだ。そういうの楚々とやろうよ。ホラ、書類を届けるだけじゃダメかなぁ?」 何の書類だ! 「国の為でございます。お金をかけてもやりますぞ」 「そ、それって絢爛豪華にするって…事……かな?」 「モチのロンであります。キラさまのお召し物も、お色直しは5回ぐらいを考えております」 当然キラは青ざめた。 「嫌だ!やだやだ!そんな…結婚式の新婦じゃないんだから!絶対に嫌だ」 「お・諦・め・下・さ・い!既に準備は着々と進んでおります」 「この即位式とて国の大事な行事でございますぞ。派手に行うほど国家の威信を民に示せ、同時に民間にお金が回ります」 「復興の為の経済が動くのですぞ、キ〜ラ〜さ〜まぁあ〜〜〜〜〜」 「ギャーーーーー」 「その時に俺とキラの誓いの言葉を言うんだよ。富めるときも、病めるときもお互いに愛を貫きま………ギャッ」 ちょうど割り言ったアスラン(復活)は、重臣たちの手によってボコボコにノされた。 「あ…ありが………とう…」 「誓いの言葉じゃなくて、勅命を出していただくことになっております。記念のようなものではございますが、キラさまの初めての勅命ですので、当日までにお考えいただきたいのです」 キラはしばらく口元に指を当てて考え、ある結論を導き出した。 「ソレっていわゆる所信表明演説って事?」 「は?」 「だから、所詮表面演説……じゃない!じゃないっ!!最初に自分の政治の方向性をかみ砕いて言うこと」 「ソレソレそれでございます」 「ですから、お忙しくなりますぞ。これから当日までにキラさまにはこの国の大方のことを頭に入れていただかなくてはなりません」 「ソレも嫌だ!ってか、絶対無理っぽ……」 半泣きになりながら逃げ出そうとするキラ(←萌える姿)。その彼女を取り囲む重臣たち。 「大丈夫でございます。懇切丁寧に講義いたします!当日だって助け船出します!困ったときの為にカンペもお渡しします!そして何より、ソレまでの間キリンは完全隔離いたします」 最後の条件にキラは思わず飛びついた。 「完全隔離!!?それ…本当?」 「統治される国のことをお知りになるのに、このド変態は邪魔でございましょう?」 「うん、すごーく邪魔」 「ならば、この国のことをもっとお知りになる必要がございますよ、キラさま」 「うん。ソレもそうだね」 「お解りいただけたようで嬉しゅうございます」 「判ったよ。あなた達もほんのちょっとの将来に吸える、ちょっぴり甘い汁が欲しいんだよね?僕はこれからの安寧と身の安全が欲しい。その為に手を組もう」 「キラさま……。それでこそ我が主君でございます。これからはお互いに協力が大事でございますな」 そして、国の為、対アスランの為、キラと重臣たちは結託した。 その翌日から始まった講義は早くもキラを居眠りの国に誘った。何度も起こされ話を聞かされるキラ。 半月後出た結論は………。 「アスラン、お願いがあるんだ」 「何?キラから誘ってくれるなんて嬉しいね。大丈夫、怖がらせないように優しく優しくするから」 キラはこのところ覚えた<可愛い素振り>を見せながらぷるぷると首を振る。 「そんなんじゃないんだアスラン。あのね、取ってきて欲しいものがあるんだ。お願いできるかなぁ」 「俺とキラの間にはそんなもの要らないじゃないか」 そんなもの?いや、アスランは今いつものように盛大な勘違いをしているからあまり気にしないように。 「あのね…」 にこやかに笑いかけながらキラはアスランに耳打ちする。 「そんな簡単なことで良いの?」 「ちゃんと取ってきてくれたら、これから僕の手を握ることを許してあげる」 ばびゅん!という小気味いい音とともにプチ竜巻が起こったかと思うと、瞬く間にキラの前からアスランは消えた。いつもながらとんでもない行動力である。けれどその欲望の本質を考えると、どう考えても褒められた判断力でないこともまた事実。 「これで良し。うん。本気で面倒……」 そう言ってキラは安心して自室で寝込んだ。 |
いいわけ:そしてキラはだんだん<オンナノコ>であることを武器に使うように……。国政のことも積極的になると言うよりは、面倒くさいので投げる方がキラらしいと思ったので。
次回予告:「う…ん。手なら…触っても、良いよ」
お読み頂きありがとうございました。ブラウザバックでお戻り下さい。