twelve*twelve

<第6章>女王即位


第47話

 

「そんな…………ってか、いつまで抱きついてるの!!」

「ぐげ……ッ」

 不覚にも見事なアッパーを食らいアスランは地面にくずおれる。


「痛いじゃないか!」

「うるさい!僕はまだそこまで許してないッ」

「ああ早くキラを抱けるようになりたい。すごい抱き心地良い……。柔らかい…。良い匂いする。俺、キラの匂い好きだよ」


 その後、怒り狂ったキラの連続足蹴によってアスランは、顔面に靴跡が残るほどぐりぐり蹴られて再び沈んだ。



「僕は困る!こんな変態」

「いいえ、キラさまでなければならないのです!キラさまのおかげで国も復興いたします!国民もあなたに感謝することでしょう!そして、この変態の犠牲者が居なくなります」

「最後のほうに本音が見える!!!」
「事実ですが気のせいです」

「ちょっ待って!」


「さぁ国にお戻りになりましょう!盛大な即位式をしなければッ」

「待ってってば!僕の話全然聞いてないでしょ!歌わないでよ!戻ってきてよ!スキップして行かないでッいいオジサンが気持ち悪い!それに、足にしがみついている変態コアラを何とかしてよぉおおおっ」


 その後置いて行かれそうになったキラは自力でコアラを引っぺがし、重臣たちの待つ船へ乗った。



「さぁ、出航です」
「あれ?変態は?」

「そこにおりますぞ」

 言われて落とした視線の先には、ロープでぐるぐる巻きにされ蓑虫状態になったアスランの姿があった。

 その姿が、今キラの脳裏であるモノとダブる。


「やけに手際が良いよね。コレって僕が恋う国の宮殿から帰るときに、ウソまで付いて連れてきたあの蓑虫君と一緒だね?」

 答えは重臣たちの真っ青な顔とだらだら流れ出る脂汗だった。



「き………キラさまぁ…」

「ウソはいけないなぁ、ウソは」
「う………ウソではございません。え…ぇえ〜〜〜と、キラさまを……無事に傾国まで、お連れ…する、た…為のぉ〜〜〜ほッ方便でございますッッ!」


 ピキッ☆と何かのひび割れる音がした。そして、パリーンとも聞こえてきた。



「それね………僕の住んでた国のことわざで<ウソも方便>って言うんだよ」
「ほ………方便ですよねっ」

「結局はウソなんだけどね」


 重臣たちはキラの眼孔に射すくめられ、何も言えなくなった。



「ウソ付いたね。あんな大事なことずっと黙ってたんだ?おかげで本気で心配しちゃったじゃないか」


 あんな懲りない変態に…だ。

「心配されて俺はめちゃくちゃ嬉しかったぞぉ!キラぁあ」
「お前は黙ってろ!」


 げし!



「騙された分、帰ったら色々としてもらうよ。覚悟は良いかな?」


 ヒュォォオオオオオ………さらに寒い風が彼らに吹いた。

「ううう。それが世界を統べる女帝の思し召し。何なりとお受けいたします……」


 額に汗を流しながら重臣たちはギリギリのラインで答えた。





 無事傾国のコペルニクス王宮に戻ったキラが重臣達に科した罰は、
<これから10年間行う公共工事には今までの1.5倍の賃金を払うこと。5割増分は重臣たちの財布から払え>
だった。



「国の復興の為だよね?当然喜んで協力するよねっ」

「うおお………」


「アホスランよりはましだろう?出るよね〜」

 因みにキラを怒らせた元凶には賃金の全てをお前の財布から出せ、と言ってある。



「しかし〜〜〜〜〜」
「期限付けただろ?公共工事だけだろ?復興の為なんだろ?そしてアホスランよりマシだろ?」

 少々ブラックになるということを覚えたキラは最強だった。


「アスランは喜んで受けてくれたよ」

「……ぇ……!!?」


「1つ終わったらほっぺにチュウしてあげるって言ったら、僕と国の為に全力を尽くすって言ってくれたもん」

「そ………ソレ……は………!!!」

 キラの前に居並ぶ重臣達皆の思い。それは………<アイツはやっぱりアホだ>。


「アスランの3分の1なんだよ。良いじゃん、どうせ為政者ってのはなんだかんだ言って美味い汁を吸えるんだから、儲け話はそれからだっていいんだろ?」


「き……キラさま???」

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いいわけ:天然MAXなキラも好きですが、微黒気味のキラも好きです。つまりは節操なs…(冷汗)
次回予告:キラにとっての即位式はアスランにとっての結婚式


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