twelve*twelve

<第6章>女王即位


第45話

 

「政治に光を!」
「傾国万歳!」
「キラさま萌え萌え!」

 ドゴォッ!!!!!!!変態は再び床に沈んだ。


「もう起きたんだ?復活早すぎるからもう少しそこで寝ててね〜〜〜」

 キラは、必要に応じてブラックになるという特殊技を習得した。


「つ…………つれない…君も…………かぁい……ぃ………」

 アスランが気を失って倒れたとき、キラは気持ち悪いと声を掛けかけたが、動かなくなったアスランにさすがに心配になりのぞき込む。キラの今まで生きてきた世界では、このまま放置しておくと確実に危ないことになる。



 しかし。

「心配ございませんよ。キリンは不老不死ですから」
「やっぱり不思議なシステムだねぇ。ホントにこのままなんだ?老けて顎が2つに割れたりしないんだ?」←外国人に対する偏見。

「ええ、顔はいいんですがねぇ。他は何年経ってもこの性格のままでしょうな…」
「げぇ………。ずっとこの先ずうっと濃いまんまなのかな」

「ほぼ間違いなく……」
「先が思いやられるよ…」

 傾国の危機はまさにそこにあった。


「あ、そうそう。今日これからの予定ないなら、僕はもう休んで良い?」

「はい、キラさま。女帝の住まうオノゴロ島行きの準備もございますので、ゆっくりお休み下さいませ」


「うん、ありがとう。じゃ、僕は休むけどアスラン起きたら伝言をお願いね」

「はい、何なりと」

「一に努力、二に努力だって。これから長いつきあいになりそうだから、ちょうど良い距離感って大切だよね」

 にこりと笑ってキラは自室へ消えた。


 因みにその主君の言葉を伝えられたアスランには、キラの発言の意図などほとんど伝わっていなかった。大喜びでスキップしながら駈けていったという目撃談が、その後あちこちで聞かれた。





 そして、1週間後キラは彼女のキリンを従えて、世界の中心オーブのオノゴロで不満を叫んでいた。

「誰がそんなこと言ったの!」


「キラが言ったんだろう?俺ともっと近づきたいなら、素直にここに飛び込んでくればいいんだよ」

「言ってない!」

「もうwキラったらぁ。シャイ・なwんwだwかwらwww」


「気持ち悪い声を出すな!それ以上近づくな!なにげに抱き寄せようとするな!そしてタコ型唇はどう見ても変質者だ!!!」





「相変わらずだな、アスラン。少しは懲りたと思っていたがやっぱりお前には無理か」

 そこへ女性の声が割り入った。無論キラではない。霧の中からきびきびと歩いてくる金髪の美しい女性の姿が現れ、キラはこの人が女帝アスハだと知る。



「ああカガリか。ありがとう!遂に俺は運命の人と巡り会ったよ」


「……………。意味違うだろう。確かにそれを運命と表現できないこともないが」

「いや、運命の人だ。可愛い系ツンデレは本当に俺の好みにホームラ……グヴォァエア”〜〜〜」


 毎度のアスランの下らない主張はカガリの鉄拳制裁によってあえなく幕を閉じた。



「すまないな。お前の国だけこんなアホキリンで。私がカガリ・ユラ・アスハだ。よろしく、傾国の女王」

「キラです。キラ・ヤマト」


 女性二人が握手をする。その様にさえアスランは嫉妬した。俺のキラに触るなと言おうとしたところで、女帝と女王に同時に殴り倒され、あえなく撃沈した。カガリが久しぶりに真っ赤になった手をさすりながら、ため息を付いた。


「他の国ではこんな事はないのだがな。どうも飛び抜けた能力と引き替えに常識を忘れたまま生まれてきたらしい」

 キラはいぶかしがる。


「能力!?あんなのにです…か?」

 キラの見てきたアスランは、100%変質者だ。



「ほぼ突然変異に近いんだ。普通のキリンは金髪なのにアイツは宵闇色。気質も真反対。けど、能力だけはどの国のキリンよりも強い」

 キラはみょうちくりんなものでも見つけたかのような視線を、伸びたアスランに向ける。視線が合ったとたん破顔する変態は、女帝の言うように本当にずば抜けた能力を持つキリンだとは到底思えなかった。とにかく変態のイメージが強すぎて、その他は全く視界に入ってこない。



「もう判ってはいると思うが、根っから女が大好きでね」

「あぁ”〜〜〜〜〜………」


「成長するまでは不遜にもこの私にモーションをかけていたが、成長してここを離れると美人と見るや誰彼構わず声をかけていたよ」

 それは言われなくても容易に想像できる。そしてその信憑性は100%だ。カガリはキラに向き直り、彼女の細くなった両手を取った。

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いいわけ:キラとカガリはなんだかんだ言って、仲がいいのが基本です。双子設定でなくても息ピッタリ。
次回予告:これで俺たちはめでたく公認夫婦なんだね


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