twelve*twelve

<第6章>女王即位


第42話

 

「僕ずっと不思議でたまらなかったんだけど、国の政治のことなら僕とあなた達がいれば何とかなると思うよ」

 そりゃ、何とかなる。と言うよりぶっちゃけて言えば、そのほうが余程スムーズに進む。



「重々承知いたしております。キラさま〜!早まらないでどうかお待ちを!」

「待ってたら僕は変態に食われちゃう!」


「そりゃ、確かに1ヶ月かそこらキラさまにお会いできないからと言って、めげるような根性なしではありませんが…」

「やっぱりそうなのかー!余計危険じゃないか!!!」

 キラでなくても身の危険は感じていただけるはずだ。


「女帝アスハへのご報告にはキリンを連れてゆかねばならぬのでございます」

「なんだかとっても苦しそうな言い方だね?何ソレ?僕と変態二人だけで行けってこと?」


 そこにひどく不釣り合いな間が空いた。



「さ……………左様に、ございます、る……」


「それって二人っきりって事だよね?女の子になっちゃった僕と?三拍子揃った欲望まみれの変態と?SP付いてきてくれないの?」

 SP…例のナイツオブキラたんだ。


 流れる重苦しい空気。それをうち破って重臣たちは肯定した。


「やっぱり帰るぅ!!!僕はホモだとの勘違いをされても、元の世界が良い!」

「ご勘弁下さい!この国はキラさまが居なければ立ちゆきません」


「怖いんだよ!本気で危険なんだよあの持続力は」


「で……ですからですね………」





 副宰相はキラになにがしか耳打ちした。そして約10分後、渋々キラはOKしたのだった。

「お会いになっていただけますか!」

「あ〜〜〜明日……」

「え?」


「明後日………」

「キラさま?」



「一週間後で良い…、か……な?」


「ソレは何の逃げ口上ですか?明日というのは永遠に明日という意味で、明日になれば今日だから明日じゃないとか言う………」

 冷や汗だ〜らだらwwwバレッバレの言い訳。


「すごいね!何で判るの!」

「それは我々がキラさまの立場でもそうしたいからです」


「だったら僕の気持ちは重々解るだろぉ!何が楽しくて男に襲われなきゃなんないのぉ!!」

 いや、今はとっても可愛らしい妙齢美人女性(の国王)なんですけどね。


「一日……いえ、2時間ほどご辛抱下さいキラさま!その間もヤツが手を出しにくい万全の理由を考えましょう!」


「じょ………女帝の出張鑑定ってないのぉ?よくあるじゃん、TV番組とかの企画であなたのお宝、専門鑑定士が鑑定いたします………っての!」

 涙ながらのキラの悲哀は彼女の臣下たちによって完全否定された。


「お強くなりましょう。キラさま」

「何だって僕がこんな目に………」

 キラの抵抗むなしく、アスラン解放は本気で翌日に決定してしまった。その夜はキラはやはり寝付けなかったという。え?魘された?それは当然でしょう。





 そうしてカラッと晴れた天気の良すぎる翌日。キラは朝起きてきて、いつものように(半分手伝ってもらいながら)着替え、朝食の席に着いたときあからさまにため息を付きながら言ったという。


「コレが………最後の晩餐に、なるのかな…」

 その瞳の端には涙がほろり。キラは周りの同情というものすごい力を手に入れた。





 その日の昼、キラはSPたちと重臣たちに見守られながらとある部屋に向かった。

「スミマセン、ココ本気で牢屋なんですが………?」


 そう。そこはいかにも…といった作りになっていた。道理で王宮の端っこのさらに端の人目に付かない場所の、さらに奥まで歩いてきたはずだ。

「セキュリティー性を最重要視した万全の個室でございます」


「ソレ…ものは言い様って言うんだよ」

 確かにこんなところでもないと、今までのキラの安全は得られなかったのかも知れない。しかし同時に1ヶ月以上もここに入れられていたということに、ある種の後ろめたさも感じるわけで。


「いくら僕が知らなかったとはいえ…」

 その前に知ろうともしなかった。あんな目に遭って誰が変態の行方を気にするだろうかいやしない(反語)。



 しばらく歩いた再奥の部屋の前で、副宰相がこちらですと言って指し示した。キラはおずおずとその前に歩いて行き声をかける。

「あの…アス、ラン………さん…?」


 さぞかし怒っているだろうと思いきや、当のアスランは分厚い格子にへばり付き………驚いた顔をしながら涙と鼻水を垂らしていた。


「ぅわッ汚な………」


「ご………ごめん。まさか、本当にキラが来てくれるとは思わなくて……」

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いいわけ:何度考えても後ろめたさから入るしかないのです。でもって、牢屋は個室という新解釈(苦笑)
次回予告:(気持ち悪い!本気でアブないよこの人)


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