twelve*twelve

<第6章>女王即位


第41話

 

 翌朝、きれいに清掃された謁見室の玉座にキラが、階段下に重臣たちが、そして一人の男が傾国の新たなる国王に挨拶していた。褐色の肌に濃い灰色の髪が印象的な割とゴツめの男性だ。

「え…と、ぉ……あなたがキサカさんですか?」


「はい。女帝アスハの腹心のレドニル・キサカです」

 女帝アスハ、この世界を作った創始者だ。


「しばらくこの国においでになると聞きました。ゆっくりしていって下さい。それと………ぇと……………」

 初めてのことにキラがどもっていると重臣たちが助け船を出してくれる。あ、そうかと思ったときキサカに先を越された。


「それと、大変でしょう?あのキリンを相手にするのは」

「え。キサカさん…」


「新王のお噂を聞いて立ち寄ったのですよ。私にもお手伝いできることがあると。それにこれは女帝のお考えでもある」

 その言葉に傾国の全ての者が驚いた。



「世界の女帝カガリ・ユラ・アスハは、問題キリンのアスラン・ザラのことをひどく気にかけておられてね。アレでは新しく主君になる人が可哀想だからと仰られた」

「変態のこと…知ってるんですか?」


「元々キリンは大人になるまでは女帝の元で育つのです。彼のことも我々はよく知っていますよ。しかしこのまま放置しておけばこの国は立ちゆかなくなる。ですから、私をお遣わしになったのです」



 キラたちの予想に反して話はするすると決まる。

「え、ぇと……僕ここに来たばかりで何もわからないんです。だから、色々教えてくれますか?キサカさん」

「喜んで。あなたがアスランを自由に操れるようになったら、きっとカガリも喜びます」


「女帝アスハって方はどんな方なんですか?」

「会えばお判りになりますが、快活なお方ですよ。曲がったことの大嫌いな」

 キラは少し自分の中の女帝像を見直した。世界を作ったものの放りっぱなしの飽きっぽい人、細かいことの嫌いな大雑把な人…というあまり良くない思い込みがあった。


「すみませんキサカさん。お世話になります」

 そう言って壇上からだがキラはぺこりと頭を下げた。その姿が余程新鮮だったらしく、重臣たちはちょっとオロオロし、キサカは少し苦笑した。

「傾国のこれからの復興を祈っておりますよ」

「はい」


 キラは素直に微笑んだ。因みにその顔に重臣たちだけでなく他の職員もメロメロになったのは特筆すべき事ではないだろうが、一応記述しておく。だってこの文章は基本おちゃらけだから、そーいう下らない記述のオンパレードによって構成されております。





 約1ヶ月後。キラは目に見えて逞しくなった。

「現実K●Fの世界だったとしても負けないような気がするよ」
と、自負するまでになった。(ごめんよ、ゲームネタはネタであって作者は●OFなんかやったことない…深くは気にしないでくれたまへ〜)



「迫ってくる変態から目を逸らさなければ、顔面に拳をめり込ませることができます!」

「目を合わせるのは嫌だけど仕方ありませんね。望むところです」


「キラさまは本当に優秀な方だ。僅か1ヶ月で基本から応用までマスターなさった」

「キサカさんが教えてくれたからですよ。じゃないと僕は変態まみれの毎日を送るところでした」

 できるできないの問題ではない。キラにとって、できねば困る問題なのだ。



「アスラン・ザラには決して屈してはなりませんぞ」

「判っています」


「アメとムチを上手に使い分けて、彼を手駒としてお使い下さい」

「キサカさん、あなたのおかげで自信と勇気が出てきました。ありがとう」

「どういたしまして。キラさま、またいつかこの国を訪れてもよろしいですかな?」


「喜んで」





 この日、キサカは王宮を出てまたどこかへ旅に出たらしい。キラは重臣からあることを告げられる。

「キラさま、そろそろ即位の挨拶に向かわねばなりません」


 キラはしばらくその意味を思い出し、女帝に会うことだけに意識が集中していた。
 あ、ついでに補足するとこの1ヶ月でキラは自分を陛下と呼ぶことを止めさせていた。決まりが悪い、慣れないと言うのが彼女の主な言い分である。

 え?その実?女王などと呼ばれたら嫌でも女の子になった身体を意識してしまうからだよソレが現実。



 ま、余計な逸話は置いといて。

「あの、アスハさんって人に会いに行くんでしょ?いいよ」


 はい、基本設定のおさらい〜。国の主君に選ばれた者は女帝アスハに即位の報告と承認を受けにゆかねばならないことになっております。サクッとおさらい終了。


「その為に、今まで監禁していたあなたのキリンを解放しなければならないのです」

 物騒な言葉が並ぶ。けれどもその物騒な対処でキラたちの安全は今まで保たれてきた。


「キリン?誰?」

「アスラン・ザラにございます」


 その瞬間キラはくるっときびすを返して逃げ出そうとする。でも当然待ちかまえていた臣下に阻まれ阻止。

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いいわけ:まずやらねばならぬべきは、アスラン対策の鍛錬です。どんどん強いオンナノコになってゆく(笑)
次回予告:「セキュリティー性を最重要視した万全の個室でございます」


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