twelve*twelve
<第6章>女王即位
第40話
それでもキラは逃げだそうとするのに必死になり、重臣たちは阻止に躍起になった。 「知ってるからこそ事前に手を打っておきたいのです!とりあえず今はこの王宮の中に監禁しております。今あなたを襲いに来ることはありません」 「そんなのわかんないじゃないか!」 「このコペルニクス王宮のセキュリティーを御信用下さい」 「やっぱり騙したんだ!あなた達も、僕を騙したんだ。そうやって僕はあのコスプレ変態の餌食になるんだったんだ……。初めからそのつもりだったね!!!」 重臣は必死にキラを部屋に押し戻しながら叫んだ。 「それをさせないためにこの王宮を挙げて必死になってるんです!」 「え……………?」 キラは拍子抜けした。力が抜ける。 「僕は生け贄じゃなかったの?」 「誰がそんなことを申し上げました?」 「だってあの変態の相手をさせるって………」 「ちゃんとテーブルについてマジメに協議いたしましょう。あのアホは確かにとんでもない変態です。それは認めます。キリン界…いや、この世界全体の恥さらしです」 「それは認める」 重臣はキラをテーブルに勧め、自分たちも身分ごとに下座に座り直した。そして、マジメなマジメな……………打倒変態話が始まった。 「とにかく、女王陛下が欠けてもあの変態が欠けてもこの国は復興しません」 「嫌な現実だね…」 「まず、当国で優秀な者をかき集め陛下のSPとして編成します」 「同時に陛下には護身術をマスターしていただきたいのです。万が一SPを突破して変態が迫ってきた場合に、何の遠慮もなく思いっきりブチのめすことができるように」 重臣たちはマトモに聞いていればとんでもない話をしている。必要以上にアスランが迫ってきた時には殴り倒せと言っているのだ。 ちなみにそのアスランの地位は宰相、つまり国王につぐ2番目だ。ところがこの国ではアスランにそこまでの権力も立場もなかった。 理由は自業自得である。 「非常に残念なことにこの国が存続する限りあの変態は不死身なのです。ところが、幸いなことに同じ条件の場合、陛下も不老不死でございます」 「本当は陛下さえおればよいのだろうが、そうもいくまい。現にキリンなしでは即位すらできない。だからこそ、いかにあのアホを制御するかが事態の明暗を分けるのです陛下」 キラは彼らの話を聞きながら思う。 「だったら最初からそういう言い方をしてくれたら良かったんじゃないですか?」 「素直に申し上げていたら陛下は素直に付いてこられましたか?」 当然、キラは首を横に振った。 「行かなかったに決まってるじゃないか!あんな変態と運命を共にするのもごめんだし、まず第一僕は知らない人をホイホイと信用するほどバカじゃない」 「陛下が賢い方であられて良かった」 「そりゃどうも」 「ですから力加減をする必要もございません。あのバカが迫ってきたとき何の遠慮もなく思いっきりその拳で殴り飛ばして結構です。というか、そうして下さい!国政についての話し合いが短時間でスムーズに進みます。国のために必要な施政を素早く取ることができます」 キラは指を唇に当てて考える。 「ねぇ一つ聞いて良い?」 「何なりと」 「アスラン何のためにいるの?」 それは部外者のみが口にできる、タブーの質問だった。 「ほ、他の国では主君を支える有能な宰相として、国の発展に寄与していると聞きますし、それが本来の役目でございます」 「それは何となく判るような気がする…」 恋う国で、デュランダルとレイ・ザ・バレルのコンビを見た。まさに彼らはそんな感じだった。 「ですが、この国はもう特別とお考え下さい!あのアホはきっと死んでも治りません。どう考えても陛下だけおられれば我が国は復興・発展すると思われます(熱烈希望)が、この世界のシステム上そういうわけには行きません」 「……………」 「ですから我々が考えた策は<お飾りの宰相>にすること。これは苦肉の策なのです。陛下にはその辺りをご理解いただけるものと思っております」 キラはため息をついた。 「理解しなきゃ話になんないでしょ?」 「さ…さようでございます〜〜」 「どのみち僕は帰れなくなっちゃったみたいだし?例え帰ってもマジホモ疑惑は晴れないだろうし?それに…あなた達も困っててそれを助けられるのは、僕だけだって言うんでしょ!」 その後もマジメなマジメな無粋な内容の話し合いは夕方まで続いた。 そのあとは普通に夕食を取りお風呂に入ってぐっすり眠った。かなり疲れていたのかキラは夢も見ずに寝てしまった。 |
いいわけ:本当に。アスラン……何の為にいるんでしょうね(脂汗)時間がたっても名ぜりふは名ぜりふ。
次回予告:Cの世界(カガリの世界)
お読み頂きありがとうございました。ブラウザバックでお戻り下さい。