twelve*twelve
<第4章>接触
第33話
ま、早い話が<安い労働力>に<高利貸し>だ。 「サラ金みたいなもん?」 「サラ金?何ですか?」 「あ〜〜〜高利貸しの一種。年利18%ぐらい取るんだ。高いよねー」 すると彼らはとんでもない、と言った。 「十日で1割取っているのです」 ガタッとキラが立ち上がった。 「トイチじゃぁないか!!!」 「………は?」 「トイチだよトイチ!十日で1割取るって言うのと、東京の第1号なんたらのかけことばの……」 詳しいことまでは知らないが、ソレがとんでもないと言うことだけは知っているキラ・ヤマト(♂→♀)御年18歳。 「我々の話を今ここで完全に信用していただけるとは思っていません。ですが、これはチャンスです。この宮殿からお出になられて、全てをご覧くださいませ」 「確かに、話だけ聞いてると都合の良さそうな話だよね…」 キラの警戒もやむなしだ。あのアホスランがやったことなど見なくともいくらでも想像できる。 「我々と一緒に脱出してくだされば、この世界はご自由に移動できます。傾国の宮殿もございますが、陛下がどうしてもお嫌というのであれば強制はいたしません。陛下には傾国の主になっていただく代わりに生活の全てを保障いたします」 「なんか、やっとギブアンドテイクみたいな話が出てきたね」 「???」 「あ、英語判んないか、持ちつ持たれつってこと」 「ああ、さようでございます。我らの主となり国の民の希望となってくだされ。陛下が傾国におわす限り、国は今より桁違いの早さで復興して参ります」 この人たちの話の方が少しはまともに見える。 「僕は騙されてるんじゃない?いい話をふっかけて娼館に売り飛ばそうとか、客を取ってちんけな商売しようとか考えてない?」 そう、思いっきり警戒することも忘れていない。この世界の人の中で最初に出会ったのが………あのアスランだからだ。 記憶は鮮烈で強烈だ。 「誓ってございません!」 「あの変態は本当に大丈夫なんだろうね?ここを出た瞬間襲いかかってくることはない?」 あり得る話だ。アスランを野放しにしていた場合、とてもじゃないが否定できない。 しかし!その為にこそ秘策を打ってあるのだ。 「アホスランのことは全て我々にお任せください!とっ捕まえ厳重に縛り上げております。陛下にただの一指も触れさせません!」 キラは彼らを見据える。 「信じて……いいんだね?」 「我々は主不在の間も傾国の国政を預かっていた者です。陛下ご帰還後は陛下が我らの主となります。どうぞ、何なりとご命令を仰せつけくださいませ」 しばらくにらみ合いが続いた。 両者ともに真剣すぎて、にらめっこ…などと突っ込もうなら瞬殺されそうな勢いだ。……………グハァッ!!←駄文作者のやられた声。 「とりあえず僕をこの宮殿から外へ出してください。とは言っても僕は文無しなので、あなた方にお礼を払うことはできませんが、それでもいいなら…」 話は付いた。 |
いいわけ:この説得作戦のキーポイントは<ここから外へ出られるよ>。それしかないと考えました。なので、以前布石の挿話を入れていたのでした。解りにくくてごめん。
次回予告:人それをトラウマという。第5章に入ります。
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