twelve*twelve
<第3章>女王の事情と忍び寄る影
第17話
「一時でも離れていたくない。ずっとくっついて、側にいたい!」 「お前の解釈は極端すぎんだよ」 「キリンならみんなそう思うはずだ!それをみんな偉そうなこと言ってやせ我慢して…」 「………。偉そうなことも言ってないし、やせ我慢もしてない!だいたい俺んとこの主君は男だぜ?男に対して四六時中欲情してどうするよ。お前さんならともかく…」 「だって、好きなもんはしょうがないだろッ!いつでも側にいたいんだ!その瞳を見つめて、優しく抱きしめて…あの可愛い唇に………ブゥゴォオッ!!!!!」 アスランは自国の重臣に棍棒で殴られた。 410のダメージを受けた。 「あーあー。お前はキリンに生まれた事自体場違いだったんだろうな。プードルに生まれて主君の飼い犬になれば無条件でずっと一緒になれたのにな」 「プードル???」 「向こうの世界の犬の種類」 「やだっ!俺、キリンに生まれてきて良かった!だってこんないい男なんだから、どんな女だって抱きしめてやれることが出来るじゃないか!犬に生まれたらこんな楽しみ無いっ」 相変わらずのアスランの調子にげんなりして、ディアッカは彼を取り囲む重臣たちに視線を向ける。 すると彼らは身振り手振りで、<その為の準備は万全にしてあります>と答えた。ディアッカは苦笑いをしながらぼそりと「……だろうな」と、つぶやいた。 「おい、アスラン。そこでへたれてないで、自分で歩けよ!」 「うるさいっ」 ディアッカはわざとアスランに大声をかける。 「お前の可愛子ちゃんの為だろうが!」 すると一瞬でアスランは笑顔を全開にさせて、ぱたぱたと子供のように駆けてきた。 「うんっw」 「……………」 「やっぱ犬だよ、アイツは…」 その笑顔を見た周囲の反応は一様に「気持ち悪い」だったという。その状態を保ったままアスランたち一行はやってくる。一歩一歩着実にキラの元に近づいてくる。 アスランのご機嫌がサクッと直った頃。キラの目の前にもそれなりに嫌な現実が押し寄せていた。 「きらさま、キラさ〜ま」 「ん?う……ん……?」 ベッドの上で寝込んでいたキラはメイリンに起こされ、寝ぼけたままの目をコシコシとこすった。次第にハッキリしてくる視界に入ってきたのは、朱色の髪を持つ先ほどの女官の一人だった。確か妹の方だ。 「ん…メイリン………さん?」 「ええ。さ、キラさま、お迎えに上がりました。参りましょう」 キラはギクッと来る。 「どこへ………なんて聞くのは野暮なんだよ、ね?」 顔が引きつる。きっと叫んだところで誰も助けには来ないのだろう。 「ええ。我が国の国王陛下がお待ちでいらっしゃいますので、その前にお湯殿へご案内させていただきます」 言い方は柔らかいが、それは既に決定事項だ。今のキラに反駁権は全くなかった。判ってはいたが嫌であることに代わりはない。 「どっちもやだよぉ…」 女官に付き添われてお風呂に入ることもかなり嫌な予感がするが、だからといって今のキラがいきなりこの国の国王と会談するということも、全然気乗りがしなかった。 「だめですよ、キラさま。今のキラさまはこの国へお立ち寄りの身、どちらのことも大切でございますよ」 メイリンに手を引かれ、ズルズルと引っ張って行かれる。 ナレーション:この時のキラに、選択の余地は…無かった。(N川風) メイリンに引きずられるように連れられ、着いた先はキラにしてみればとんでもなく広い温泉だった。 そこで、嫌な予感は連続で大当たりを見せた。予め待機していた他の女官たちが近づいたかと思うと、手際よくキラの服を脱がしてゆく。嫌だった女性ものの衣装だが、肌が見えてくるに連れ必死に端を掴んで抵抗する。 「い……いや、です…。あぁあああのっ一人で出来ますから……」 風呂に入るのは仕方ないとしても、よってたかって脱がされる、というのはあまり気分のい話ではない。だが、キラの周りにいる女官たちは恋う国の女官だ。キラの言うことなどいちいち聞いてはくれなかった。 「そういうわけには参りません。大丈夫でございますよ女王陛下」 「で……でもっこれ以上脱いだら僕は……僕は…」 真っ裸になってしまう。 手際の良すぎる女官たちのおかげで、今かろうじて下着一枚なのだ。キラにはこれが最後の砦に思える。事実、少し崩れた下着のあわせから形のいい胸やすらりとした太ももが見え隠れしていた。 「お脱ぎになっていただかねば、お入りになることは出来ません。さ、陛下」 「困ります。一人にしてくださいっ」 「それもまた出来ません」 「せ…せめてバスタオルとか……何か身体を隠すものを……」 |
いいわけ:キラ(♀)はみんなのアイドルです。
次回予告:百合の花咲く女の園。
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