twelve*twelve
<第3章>女王の事情と忍び寄る影
第13話
時は少しさかのぼる。ズキズキする頭の痛みに目が覚めたキラは、まず自分がベッドに寝かされていることに気が付いた。 余計なプチ情報その1、当然豪奢でふかふか。 とりあえず自分の置かれた状況をチェック。知らない土地、知らない部屋、知らない人たち…。自分が住んでいたような社会とはあからさまに違う文化の設備をぼんやり見る。 その次に気になることと言えば自分のこと。いやが上にも着替えさせられている事実に気が付く。美しい刺繍の施されたどこぞの民族衣装にも見えるが、どの文化なのかはよく判らない。 余計なプチ情報その2、裾は長く、全体的に暖かい色合いで、某アスランの好みそうな際どい系とかではなさそうだった。 「女性もの………だよね、どう考えても…」 やたら頭が重いと思ったら、いつの間にか長く伸びた髪は美しく結い上げられていた。 「いつの間に…」 気を失ってしまう前に少しだけ話したあの金髪の少年の姿を思い出す。とたんにあることがどうしても気になった。キラは着せられていた衣装に上から乱暴に手をかけてゆく。 そして…。 「ああ………やっぱり……」←上を確認 嫌な事実を確認させられ、 「……よ…良かった……」←下を確認 それでも彼…いや彼女にとって救われる事実にホッとした。 (あの子、本当に僕に手は出さなかったんだ…) どうやら本当に自分はただ、寝かされていただけと知って、いささかはあの少年を信用しようかという気も起きてくる。 人は故意に信じたい事実を信じるものだ。だってきっと相手があのアスランなら自分はとっくに無事ではない(と、強烈に思う)からだ。 「…………………」 ある程度身の回りの状態が解ると、どうしても気になる事実。キラははだけた衣服の間に視線を落とす。まず指でつつくと本当にふにふにした感触があった。 「ヘンな感じ」 女の子って触ったらこんな感じなのかな、と思う。この中には水蒸気か何かが詰まっていそうだ。それにしても。 「結構大きい、かも……」 誰かさんが見たら狂喜乱舞しそうだと思うと戦慄した。そして意識は再び下へ下っていく。 「ホント、スカスカ………」 自慢ではないが今まで自分とともにあったものはきれいさっぱり無くなっていた。それだけでもキラにとっては不安で不安でたまらない。 その矢先だった。部屋にある唯一のドアからノックの音が聞こえたのは。いやはや、心臓に悪い。 「あ………ぇと………」 キラは自分の身を守るように腕を胸の前で交差させる。今更意味がないと思いながらそれでも身体は自然にベッドの上で後ずさっていった。 「失礼いたします。女王陛下」 「……ひっ…!」 カチャリと音を立てキラには最後の砦とも思われるドアが開いた。これから何をされるのか判らない、という恐ろしさしかキラの頭にはない。 だが、彼女の予想に反して部屋に入ってきたのは女性たちだった。いわゆる女官、とでも言おうか? 「あら!どうされたのです!」 そのときキラは情けない限りに壁際に追い込まれていた。 「お召し物が崩れておいでですよ。きれいに整えましょうね」 今までが今までだ。例え女官といえども知らない人にズカズカ近づかれるだけで恐怖だった。もしかしたらこの人たちも自分を襲いに来たのかも知れない、という可能性に簡単にぶち当たる。 相手は女性で、今のキラの身体も見間違えようはずもなく女性で………しかも襲う側(と、キラが勝手に思いこんでいる女官)は2名。 コレは最悪女性同士の3Pなのか?もとは男であったとはいえ、それはそれで嫌なことに代わりはない。女の子に襲われる…という言葉の響きも現実も嫌だ。 「何を…っ!あなたは……」 キラは精一杯の抵抗を試みるが、それはハッキリとした言葉にすらならなかった。彼女の目の前に赤紫の髪をした女官と朱色の髪をした女官が迫る。 「へぇ〜!結構スタイルいいんですね!羨ましいぐらい」 赤紫の髪の女官はそう言ってキラの胸を遠慮無くふにゅふにゅ触った。 「ゃ……ッ!!!何するんですっっ」 やっぱり自分を襲いに来たんだ、と確信するキラ。 相手は二人。もしかしなくても逆らえないまま、されるがままに弄ばれる可能性に思い当たる。 こんなところまで連れてこられて、こんな悪夢のような現実が待っているなんて!「ドキッ!女だらけの海水浴」とか、「クラスメイトの部屋で。美女3人の秘密」とかいういわゆる18禁モノは、視聴者には関係ないからこそ純粋に楽しめるのだろうと思い知った。 それがこんな…イキナリ実地体験なんて!あらかじめ聞かされていても嫌だけど、無許可だってもっと嫌だ。 「ちょっとぉ!お姉ちゃん!」 後ろで朱色の髪の女官が彼女を制する。どうやら姉妹のようだ。 |
いいわけ:イロイロ考えましたが、恋う国で名前の出てくる職員はホーク姉妹にしました。この話に関係ないところで、別の国王とキリンコンビにシンとステラが決まっていたから。
次回予告:余計な忠告だが、いきなり触るのは良くない。
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