twelve*twelve
<第2章>隙だらけの奪還計画
第12話
「早くお迎えにゆかねば、新王が大変な目に遭いますぞ」 傾国のキリンに隣からぼそりと耳打ちされた殺し文句、それはアスランの頭にリーンゴーンと輪唱のように響きまくった。 「キラぁぁあッ!!!」 「うるさい!アスラン!」 「お前はキラの可愛さを知らないから、今もそうやって余裕なんだ」 「知るか」 「あんな可愛い子、他にいないんだぞ!本当に本当に国を挙げての至宝なんだ」 「そりゃキリンなら皆そう思うだろうよ…」 まぁ?ぶっちゃけ?惚れでもしなければ、半身として幾とせもの間国政を執ることは出来ないだろう。それは¥国のキリンとて似たようなものだ。ディアッカもなんだかんだ言いながらイザークに心酔している。 「ホントはお前にだって見せたくないんだ。ずっと俺のかいなのなかで、俺だけにほほえんでくれれば………「誰か!この変態キリンを叩き出せ!」 アスランの話をほとんど聞かないまま、早くもイザークの堪忍袋は切れてしまった。 「イザーク…」 イザークの隣でディアッカがため息をつく。 「判ってる!変態なのはアイツであって…、それは個人的な問題なのは……判ってる」 判っている………、がこの状況だ。納得できるかと言われれば、それはそれ、これはこれ…だ。 狼狽している傾国の重臣たちにイザークは柔和な視線を向ける。 「遠路特に………あのアスランのお守り、大変だったな……」 「¥国国王陛下にこのような醜態をお見せしましたこと、まずは深くお詫びを申し上げます。我が国のキリンの暴走を止めることが叶わないのは、ひとえに我らの不徳でございます」 「いや、堅苦しい挨拶はよい。…というか、あのアスランは誰にも止められんだろう?」 傾国の重臣たちは一同揃って更に頭を下げた。 「頼みの綱はそなたらの新たなる王だな。美しい女王なのだろう?」 「陛下……」 「アスランの反応を見ていれば判る。それに隣国の荒廃は我が国にも少なからず影響を与える。俺の国としても協力する理由はあるんだ。ディアッカと、彼に仕える妖怪を連れてゆくと良い」 「ご無礼にもかかわらずのご協力、まことに感謝いたします」 「新王が誰だか判ったらアスランよりも早く彼女の身を救え。その為の助力は最大限させる」 その瞬間、傾国を守ってきた重臣たちは号泣した。 「女王陛下にはあのアスランを叩きのめす術を学んでいただかねば困る」 イザークとて判っていた。国政が行われなければ今と変わらない、もっと国はひどくなるかも知れない。隣国の経済状態の悪化は自国にとっても重要な問題の一つだった。 ん?たまにはまじめな話もするのだよ設定を説明するために、というこの駄文書きの一々入る余計な一言はまことに申しわけない。でもやっぱしちゃうけど。 「まことに、まことに仰るとおりでございます」 本来関係ないはずの¥国の国王と傾国の重臣たちは、なぜか意気投合していた。 そして(アスラン抜きでの)話し合いの結果、この日は¥国のルソー宮殿に一泊し、翌日出発することに決まった。 ああ、アスランはどうなったかって? あてがわれた自室という名の現実女性からの隔離部屋で、ボコられて痛む身体を押さえながら、自国の重臣たちから事後報告という形で全てを聞いた。 傾国の重臣たちとアスラン(喜々として鼻歌を歌いながら、スキップで軽やかに進む場違いなキリンが約一名)、そして¥国のキリンとその部下たちが、イザークの書簡を持って¥国を出発した。 あ、因みにイザークの書簡には大したことは書いていない。互いの国の協力と交流の存続を確認し、そして貴国のこれからの発展を祈っているとか何とかいう、まぁ有り体に言えばどうでもいい内容だ。 あまりのどうでも良さに今ここでサックリバラしておく。 |
いいわけ:自分のツッコミをどこまで入れるか。その按配が難しいのであります。
次回予告:女の子って触ったらこんな感じなのかな。第3章に入ります。
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