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<第1章>傾国の新王


第1話

 

 そう、そこはまるで名作「トンネルと抜けるとそこは雪国だった」的パラレル世界超ありがち設定風味。


 世界に十二ある国はそれぞれ王制が敷かれ、人間と妖怪は共存しているらしい一応(強調)。

 稀にその世界以外に王様が間違って生まれ、お迎えに行かねばならないこともあるようだ。


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 アスランは困っていた。

 いや、サブタイトルはタイプミスだとかそういう問題ではない。細かいことは〜気にしてはっなら〜〜〜んのだぁ諸君!(作者の心の声)


 話は戻る。
 自国の荒廃ぶりを見ればとっても狭量だが一応心が痛む。新しい王様をコンマ一秒でも早く見つけろ女遊びもいい加減にしやがれ、という朝廷や民衆のもはや恨み言とも取れる言葉に苛立ちが勝る建前上。

 王たるにふさわしい者はキリンが選ぶ、キリンにしか見抜けない。最低限の基本設定は踏襲しているが、その他はほぼ間違いなくこの文章の作者のアホな脳内思考回路のたまものなので、その辺もスルーしていただく方が賢明と思われる。
 元ネタとはあからさまに真逆のハイテンションギャグに走っている以上決してパクリではない、とささやかに主張してみるものの本心はネタ使ってますごめんなさい、ココまで来たらぶっちゃけちゃいます…だったりする。以上管理人の苦しい弁解。



 言い訳はさておき、アスランは傍目から見ても非常に苛立って………いや、ナニかを我慢している。

(この俺が判らないんだ!お前らなんかに判るかよ!)


というのは半ば本気だが、その本音はかなりベクトルが異なるようだ。

(ダメだ…溜まりまくってる………。今日も鼻血で貧血を起こすかも知れない…)


と、自分の血の上りすぎでぶっ倒れる心配をしているのが真実だった。

 普段そんなにぶっ倒れているのかって?原因は自業自得だ。



 正直な話、この国をしょって立つ新たな王に全く興味が湧かないわけではない、いやむしろ大ありだちなみに反語。

 しかし
<可愛い、俺好みの妙齢美人女王でありますようにぃ〜〜〜!!!!!>
と日がな一日まるで呪うように祈り続けているぶん質が悪い。

 そう…一応この世界の常識上、新王の半身となるべきキリン。王とキリンが揃い善政を敷くことで国は豊かになる………まァ基本設定は押さえておかなくては。





 ………で、アスランは確かに有能なのだが、自分で
「三拍子揃っているぞ。ベッドの上ではどんと任せろ!」
と豪語するほど……………濃かった。


 次に立つ王が妙齢美人女性なら必ずや取って喰われる。国のために新王は戴きたいものの、新王が臣下になるはずのド変態に四六時中喰っちゃわれれば政治以前の重大問題。
 高尚な表現で閨房という、ぶっちゃけ主君専用の夜のイチャコキルーム兼ベッドで、この国のキリンは喜々としてその<妙齢美人女王>を食すことに専念し、王は連日の腰痛に部屋から出たくても出られない…早い話が軟禁状態になることは火を見るより明らかだ。

 王宮に勤める臣下たちの不安は、その一点に集中していた。他は全く心配していない。



<どうか、どうか女性それも美人でありませんように!!!>



 この際いっそ男なら誰でもいいと思われている節がある。

 実際国を統べる者の資質として誰でもいいわけはないのだが、この変態エロキリンを毎日、しかも間近で見続けている身としては、本来の国政のなんたるかを忘れかけることさえある。

 新王の話をするたびに
<美女がいい!俺にメロメロだとなおいい!ツンデレだと言うことないwあ〜ぁ早くこないかな〜〜〜っ俺専用の可愛子ちゃぁあ〜〜んwww>
と身体を捩って悶絶しながら絶叫されては、確かに頭の痛すぎる問題だ、というよりこのキリン自身がそもそも問題大ありだ。



 他の国では聞くことのない最悪の条件で戴かねばならない新王。臣下たちは<まともな人できたら男>を望み、アホキリンは<個人的な性的趣向を最優先>していた。





「もう、この国においでではないかも知れませんなぁ」

 国内はあまた探し尽くした。
 ちなみに苦慮の末採られた作戦は人海作戦としらみつぶし。異常に面倒くさがるアスランの首根っこをひっつかみ、朝廷に引きずり出し、いちいち判断させた。

 まぁ、国民にはさぞかし迷惑な話であっただろう。特に男性を目にしたときはあまりの嫌悪感に泣き叫び、ともすればダッシュで逃げ出そうとするやる気ゼロのキリンを半ば監禁してまで行ったが、それでも見つからなかった。

 この際誰でもいいから首を縦に振れ、という臣下たちの脅迫はさすがに通用しなかった。キリンが違うと言えば、それは間違いなく違う。どうやら勘だけはしっかりしているようだ←でなければキリンとしての価値どころかもはや人としての価値さえない。





「もしや…嘘海を隔てた向こうにあるという国にいらっしゃるのか?」


 様々な憶測が宮廷内を飛び交う。

 そのうわさ話にアスランはいても立っても居られなくなった。事実こうも毎日好みの女性ひでりが続いてはもう限界だ。もともと狭い心はあからさまに縮小の一途をたどり、正直心もカラダもいささかの余裕もない。



「あ…ッ!宰相どのっ」

 重臣の一人が気づいたときには既にアスランの姿はなかった。

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いいわけ:お待たせしました。久しぶりの長編駄文です。このテンションのまま無駄に長い話になりますが、おつきあいいただけると嬉しいですw
次回予告:欲望(95%)と自分の感覚(3%)


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