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オーブにスカウトに行った日 1

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 ある晴れた暖かい日、オーブの小島に一台のヘリが舞い降りた。

タラップを軽やかに降りてゆく長身のその男の名は、ギルバート・

デュランダル。現プラント最高評議会議長だ。

「ザラ議長のご子息が亡命しているところは、この島かね?」

 

 

 随員に確認するように問うと、随員は丁寧に肯定した。本当の目

的は別にあるのに、ラクスの名を出さないのは議長の拾得してきた

政治手段だ。

 

30分後……。

「あの邸宅でございます」

 マルキオ邸に向かうハイヤーの中で随員の説明に、議長は満足し

たように頷いた。

 

 

「ああ、ここまでで良いよ。私が直接行って来る」

「し…しかし、議長……お一人では……」

「亡命先に大人数で押し掛けるものではないよ。安心したまえ。戦

場に出るわけではないのだから」

 軽やかに手を振って、デュランダル議長はマルキオ邸に足を向け

……そして、見てしまった。

 

 

 足下に配置されたピアノ線に引っかかって、頭から大量の小

麦粉を浴びた直後の、驚愕した頭と、見えづらい視界で玄関脇か

ら発射された、小型のバリアントを避ける事が出来たのは、コー

ディネイターならではの反射神経のお陰だ。

 

 

「ああ〜お外になんか白いものが立ってる〜」

 玄関辺りで、小さな子供が呑気に笑い、きゃぁきゃぁ言いながら

走っていった。

 

 

「えっ……」

 部屋の中でキラがのほほんと振り向いた。ところが直ぐに顔に両

手が伸びてきたかと思うと、元あった向きに戻される。

「こらっ!キラ…振り向くな!手元がぶれるじゃないか。ほら、キ

ラもちゃんと画面見て!」

 

 

 目の前には中途半端に大きいマイクロユニットのようなものが置

かれ、そこから何十本もコードが伸び、一部がノートPCに繋がれて

いた。

 

 

 デュランダルは姿が見えないよう窓下に貼り付いて、中の様子を

窺う。その間にも子供達が、無邪気に真っ白になった自分の身体を

小枝でつついては、ぎゃぁぎゃぁ言っていた。

 

 

「うん…判ってるけど」

「判ってるけど、何?」

識別式監視カメラと、ハロに内蔵した小型ビーム砲

を連動させる必要が、どこにあるのさ!」

 

 

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