Please sit my side.

第4章

 

第7話 「今度は一体何の用ですッ!!!」


 それからしばらく、まともな会話はできなかった。ソファの上でアスランに抱かれたまま、キラの記憶通りのキスをされ、そのまま隣室のベッドへなだれ込んだ。

 雰囲気に流され、お互いに半裸になったところでキラの中でスイッチが入った。



「ああぁあぁあああアスランッ!!!」

「ん〜?何?いいところで…」


「いいところでじゃないよ。も…もしかして……これって………」



 するつもりなのだ。アスランは。

「ああごめん、婚前交渉は嫌?」


 一瞬でキラの顔から火が噴いた。

 そんなことをサラリと言わないで欲しい。





「ちが…そうじゃなくて……ぁ、いや、それもそうなんだけど……」


 焦り回して目がぐるぐる回っているうちに、そのまま強く抱きしめられた。肌と肌が直接触れる生々しい温かさに、頭が容易についていかない。あわあわあわと、手が空中を虚しくじたばたしていった。


「あ、そっか。アレないもんね。大丈夫v最後まではしないから」

「ふぇ?アレ……?」



 ふわふわする頭でかろうじてそれだけを言うと、アスランはキラの耳の中に唇を寄せて意味深に囁いた。

 そのたった5文字の言葉に噴火しそうになり、意識を飛ばしかける。



「今日は、触れるだけ…」

「ふぁ………ッ!!!」

 キラの口から甲高い声が漏れた。


「や……ぃやっ…」



「だって、キラのここ触り心地いいもん。それに…感度いいしね〜v」

 生々しい感触に必死に耐えながら、キラははたと気づいた。それは、いかにも知ってると言いたげな言い回し。



「感度………って…」


「キラの身体、だいたい知ってるよ。テキストの知識じゃなくって。キラは覚えていないかも知れないけど、あの日も散々楽しませてもらったしね〜〜〜」





 それは…間違いなくあの日だ。

 朝起きたらベッドにアスランが寝ていて…しかも互いに裸で………。その時も、同じベッドだった。





「し…っ知らないよ!知らないッ!」


「キラの声、聞きたいな〜。あと判んないのはどうすればキラが一番喜んでくれるかってことだけv」


 キラが暴れるほどにアスランは彼女の身体をぎゅうと抱き込んだ。そして彼の、その神業的な技術を紡ぐ指が動くほどに、直截な感覚がキラの頭を麻痺させていく。



「ん…っ……ふ………」


 我慢していても漏れる声にアスランは満足したようだった。口から彼の耳へ、ほとんど距離もなく届くキラの声。

「うっわvすごく…ゾクゾクする……カチッ!プル……プルルルル〜…プルルルル〜〜!!





 ここまでくればどう考えても、見張られているとしか思えない程のタイミング。ぐりんと電話の方を向き、アスランは苛立ちを隠さない。


「だ〜れ〜だぁぁあああ〜〜〜ッ!こんの…こんの、一番いいときにぃ〜〜〜〜〜ッ!」



 電話機をこれでもかと睨みつけ、開口一発怒鳴り返そうとして、アスランは止めた。少しの間ディスプレイに目が釘付けになっていた。



 だがやはり、受話器を取って彼は叫ぶ。

「母上…ッ!!!」


 その恨みがましい口調に、彼の母はピンと来たらしい。

「あら、お取り込み中だった?ごめんなさいね」



「今度は一体何の用ですッ!!!」


「こっちだって色々と都合があるのよ。それでねアスラン、今すぐにここに戻っていらっしゃい」

 などという母の言い分を彼は速攻で却下した。


「嫌です!どうせ父がこの間のことを根に持っていて、不毛な説教をしようとでも息巻いているんでしょ?」


「まー、こ憎たらしいけれど本当のことを!でも、パトリックがいるからいいんじゃないの。これを一石二鳥っていうのよv」



「また何か魂胆がおありなんですか…」


「ま!失礼ね〜!息子可愛さの策略と言ってちょうだい。と言うことで、キラちゃんを連れて戻ってらっしゃい、今、すぐに!」



「その不安しか煽らない言い方、何とかなりませんか…」

「来てみれば判ります。これは絶対命令ですよ」


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言い訳v:だから…風味ですってば(乾笑)
次回予告:トンビが鷹を産む……わけないだろう!蛙の子はカエルだよ!

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