Please sit my side.

第4章

 

第3話 「そんなに僕って信用ないのかな〜〜〜?」


「そんなことじゃ……ないよ。だって………アスランのとこ、あんなすごいとこだって知らなかったから…」


 以前のように引き気味になるキラを見るのは、辛かった。

 ここまでくるのに、どれだけの時間をかけたのだろうか。今までも何度も、引きかけるキラを無理矢理にでも引き留めてきた。


 自分のことを一番に考えてくれるキラが、愛しくてならなくて。彼女も同じ気持ちでいてくれていると知ったとき、アスランの心は決まっていた。



 自分にはキラしかいないのだと。

 彼女こそ、自分が本気で守り慈しむ相手なのだと。



 家のことなんて、正直どうでも良かった。一生、あの家に帰ることはできなくなっても、キラを選ぶと決めた。





「さっきも言っただろ?俺、庶民だから…」

「違うよっ!アスランのは違うよ…」


 隣でラスティが目配せをしてくれている。それで、キラがなぜラスティのところに来たのかが、何となく推測できた。

 キラはまた何も言わずに身を引こうとしている!



「いいじゃないか全部言ってやれよ。隠す必要ねぇだろ?」


「………ないな」

「じゃ、決まりだな」





 そしてラスティは午後の勤務を聞き、アスランに夜勤がないことを知ると、先にキラを送って帰ると言った。


「すまない…」

「そー思うなら鍵貸せ」

「へ?」


「間抜け面さらすんじゃない!てめぇんとこのマンションの鍵だよ」

 ぱこんと、小さく頭を殴られアスランはいったん医局に戻り、そして部屋の鍵をラスティに渡した。



「キラを、よろしく」

「なら、午後の勤務も頑張るんだな。将来の旦那さん」

 そう言われ、アスランは非常に上機嫌で再び病院内へ戻っていった。



「相ッ変わらず単純なヤツ……」

「ラスティさん……」


「ま…少しだけあいつの話、聞いてやってくんねぇかな?あいつもさ、色々あってさ」

 ラスティは珍しく言葉を濁した。彼はキラをアスランの部屋まで送り届け、そしてもう一つ小細工をして帰っていった。





「ラスティさ〜〜ん!もう大丈夫ですからぁ!って、そんなに僕って信用ないのかな〜〜〜?」



 洗面所で鏡に向かってひとしきり、ぼやいて、出てきた彼女に声をかける人があった。


「おかえりなさいvキラちゃん。もういいの?」

「ぇ…あ、はい………」

「女の子なんだから、お腹だけは壊しちゃダメよ?こーいうとき男ってホント頼りにならないんだから!いざとなったら病院から呼び戻してでも世話をさせるのよ!」


 などと言われても、そういうわけにはいかないと思う。



「で…でも、彼も……お仕事が………」

 と言ったらその人の眉間にシワが2、3本寄った。



「あらぁ?アスランは何のために医者なんかやってるのかしら?」


 今キラの目の前に、よく見知った藍色の髪がある。

 そしてかなりな美人の彼女から、時々信じられないセリフが出てきているのであった。





 夕方過ぎ、ご機嫌でドアを開ける姿があった。彼は玄関ドアを開け、廊下をスキップで通過し、リビングのドアを開けた途端張り倒されて廊下に逆戻りした。



 目の前に、非常に見慣れた姿が見える。そしてその後ろでキラがおどおどしている姿も視認できた。



「ぁ…母上ッ!!!」


「まぁ〜〜〜あッ!こんな間抜け面をさらしてよくそんな言葉が言えますね!私はこんなへたれを産んだ覚えはありませんわよ!」

「…というか、なぜ母上がここにいるんです?」


「なぜ?そう言うことを聞く口はどの口ですか!くぬ!くぬ!くぬぅっ!」

 レノアはキラの目の前でアスランの頬を思い切りつねり、左右に引っぱり回した。



「ひはぃ…ひはひへふ……ははぅへ〜〜」

「当たり前です!一体何をしているのかと思えば!大事な彼女をああも不安にさせるような男はお相手失格です!」


 茫洋と見つめながらキラは思う。


 それ普通逆なんじゃない?


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言い訳v:母親に太刀打ちできない男……なぜアスランだと許せる気になるんだろう(大笑)
次回予告:「それはそれ、これはこれ」良いセリフだ…(苦笑)

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