Please sit my side.

番外編・捨てる神拾う神<リクエスト駄文>

 

第4話 「キラさまを、当社の専属モデルとして雇わせていただきたいのです」

 語気を荒げたラクスの言いように、その場は緊張に包まれた。



「キラ・ヤマトさん。俺の、婚約者です」


 場に走るあまりの緊張に、その場の誰もが声を出せなかった。



「なぜ教えてくださらなかったのですか!」

「それは……あなたに言う必要が、ないと判断したからです」


「いいえ!こんな彼女がいらっしゃるなら、わたくしに一言言ってくだされば………。もう少し…早く……」


 キラは真っ青になって後ずさった。

 その様子を見たアスランがさっと彼女を抱きかかえる。大丈夫だから、とさとすがあまり効果は見えていなかった。





「彼女をわたくしに紹介してください」

「いいえ!それはできません」



「なぜですの!わたくしに言えない何かがおありですの?」

「婚約者を守るのは俺の責務ですから」


「そのようなことは関係ありません」

「大いにあります!」





 にらみ合いが続いた。


 そしてしびれを切らしたラクスは直談判すると言ってキラに詰め寄った。

 キラの顔から血の気が引く。


 あの時、アスランの手を振りきってでも断るべきだったと、キラは痛ましいほど後悔した。





 のも束の間。


「スリーサイズを教えてくださいっ」



「……………………は?」



「ですからキラさまのスリーサイズを教えてください」


 キラは拍子抜けした。



「あの…スリーサイズ……?」


「キラさま、モデルになる気はありませんか?」


「……………ぇ……」



「ああ、アスランがいて言えないのでしたらわたくしが直接測ります!こちらへッ」


 言うが早いか、次の瞬間キラとラクスの姿は隣室に消えた。そしてすぐにキラの絶叫が響きわたった。





「あ…ッ……ちょっ!何して……って、あのおっ!!」


「可愛いですけど、今のキラさまにはあなたの可愛さを全て隠してしまうものは必要ありませんの。さ…全てお脱ぎになってv」


「ぇえ”〜〜〜〜〜っ!!?」



「遠慮は無用ですのよ〜〜。わたくしたった今決めました!キラさまにはモデルになっていただきます!もちろん撮影料はお支払いいたしますわ」

「え………撮影料……?」


「はいvそれはもう大盤振る舞いいたします!アスランの彼女さんをお借りするのですもの。それくらい当然ですわ」



「……って、下着は勘弁してくださいよ〜〜…ァッいやっ何す……」





 ドアの外、廊下でレノアがアスランにハンカチを押し当てていた。


「このへたれが!鼻血くらい自分でお拭きなさい」

「すみません母上……でも…」


「彼女は有名な、アパレルデザイナーですよ。これくらいのことは許容範囲でしょう?」



 アスランは必死になって否定した。

「違います!これ絶対違います!」



「だったら、自分で彼女を守り抜くことですね。主人には私から言っておきます」

「すみません。母上」


「キラちゃんはあなたには似合わないくらい可愛い子ね。わたくしは自分で選んだ人を自分で守れないようなへたれは嫌いですからね」



 ちょっと変化球な母の愛情に、アスランは頭を下げた。そして扉をノックする。





「ちょっとラクス!」


「いやぁ〜〜〜っ!アスラン今入ってこないでよぉ〜〜〜」

 アスランから再び鼻血が出かけた。


 つまり、キラは今「そういう」格好らしい。



「ラクス!一つだけ言っておきます。キラを怖がらせないでください。でないと、今すぐにでも俺はキラを迎えに行きます!」

 ドアの向こうから、声がした。


「判りました。わたくしからも一つだけお願いがあります」

「何でしょうか!」


「キラさまを、当社の専属モデルとして雇わせていただきたいのです」



 アスランはしばらく考えた。ラクスの話を断ると、後々ややこしいことになる。

 だからといって、この状況でキラが素直に話を受けるとは思えなかった。


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言い訳v:キラにはホラーを感じていただきましたが、できましたら映像でご想像下さい(ぇ〜)
次回予告:アスランのもとにラクスのたくらみが届けられる。

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