Please sit my side.

番外編・捨てる神拾う神<リクエスト駄文>

 

第3話 「男は一生彼女の手のひらで転がっていればいいのです!」


「まぁ、可愛らしい彼女ね」

「ええ。彼女と一緒になるつもりです」



「及第点ですよアスラン。我が息子ながらよくやりました」


 アスランの隣でキラは耳を疑った。

 息子?


 …ってことは、この人はアスランのお母さん!!!



 聞いていなかった話に、表情が引きつる。どうしていいか全く判らず固まっていると、彼女はキラの前にやってきてその手を取った。





「初めまして。私はレノア・ザラ。貴女のお名前は?」


「ぁ…えと……ぇ…と、ぉ……」

 アスランが励ましてくれるように背中をあやしてくれた。



「キ…キラ・ヤマト………です」


「ごめんなさいね〜。こんなところに急にお呼びだてして。でも良かったわ、このアスランが初めて連れてきた女の子ですもの。へたれで直情径行、ある意味バカ息子をよろしくお願いしますわね」

「母上!」


「私はキラちゃんに言っているのです。ね、息子を一生支えるなんて考えなくていいから、貴女の手でころころと転がしてやってちょうだい」



「……………ぁ、ぇと…ぉ……」


 キラは何と言っていいのか返答に困ってしまった。



「母上!いきなりなんてこと言うんです!キラを困らせないでください」

「お黙り!男は一生彼女の手のひらで転がっていればいいのです!」


「母う〜え〜〜〜っ」



「さっ!キラちゃん、こちらへいらっしゃい。たくさんお話を致しましょう!」

 と言ってレノアはキラの手を掴み、強引に近くの部屋へ連れ込んでしまった。





 部屋の外で呆然とたたずむアスランをよそに、レノアはキラに話しかける。

「ごめんなさいね。実は主人がどうしてもと言って、見合い相手の女性をお呼びしているんです。貴女と鉢合わせになったら、良くないでしょう?」

「お母様…」


「男のケンカは男同士でさせておけばいいんです。私たちはほとぼりが冷めた頃に」



「………は、ぁ…」





 その頃、別室では上機嫌なパトリックに、見合い相手を紹介されたアスランがいた。少し話すとすぐにパトリックに電話がかかってきたので、すぐに二人きりになれたが、かなり気まずさが残った。



「お、久しぶりです。ラクス嬢」

「あなたもお元気そうで何よりですわね」



 それきり、話が進まない。



「本日はここにおいでにならないと思っていましたのに」

 ラクスが言う。

 母の電話さえなければアスランもそうしていた。今日、ラクスがここに来ることは判っていたからだ。


「一度会えば、断る口実もできます。そんなところじゃないですか、母の思惑は」

「でしょうね」


「この話は私から父に断っておきます」

「あら、レノア様からおっしゃっていただいた方がよろしいのではありませんか?」

「ご心配なく!」



「それではわたくし、今日は帰らせていただきますね。これから仕事がありますので」

「誰かに送らせましょう」


 ドアをかちゃりと空け、すたすたとラクスは玄関に向かって歩く。だが運の悪いことに、途中同じくドアを空けたキラと鉢合わせになってしまった。

「あの、僕も手伝いますっ」



「キラ!」


「ぇ…」





 キラはとんでもない光景を目の当たりにした。


 自分の目の前で、アスランが絶世の美女と並んで歩いていた。その彼女と言ったら、キラには太刀打ちできないと思えるほどの美しさだった。


(うわー、すっごくきれいな人〜〜。こういう人こそアスランに似合ってるかも…)



 ごく自然にそう感じた。


 ところが当のラクスのほうは、それどころではなかった。彼女にとある衝撃が走ったのだった。

 ラクスは驚愕した表情を崩さないまま、キラから視線を外せなかった。その様子が、キラを怯えさせる。


「アスラン!このお方はどなたですのッ!」


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言い訳v:レノアさん最強伝説も着々と築かれていっております。女帝二人が揃いました。アスランごときがかなうはずがないのです(大笑)
次回予告:ラクスがキラに詰め寄る。それがキラには恐ろしかった。

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