第2章
第6話 「あ”〜〜〜〜〜、ゲスはお前さんだから…」
「でも、急がないと…キラが、ヤられながらも、俺に助けを求めてるかもしれないんだぞ!」 「待てコラ!お前の頭はキラちゃんとヤることしか考えてねぇのか!」 ラスティは頭ごなしに怒鳴りつける。 「それ以外考えられないじゃないか!可愛い可愛い、世界一可愛い女の子をさらって、げすな男が考えることといったら、それしかないだろう!」 「………………………………」 「俺だってまだ、ちゃんと入れてないのに……。キラのいい声とか…まだ、全然……聞いてない」 「………………………………」 げんなり、という表現が今のラスティにはぴったりだ。 「キラの肌を汚い手で触られたかと思うと…あの可憐な唇を、むさくるしい男どもに奪われたかと思うと…」 「あ”〜〜〜〜〜、ゲスはお前さんだから…」 「何故だッ」 ところがアスランはひたすら真剣だ。 「ヤることしか考えてねぇ男は、嫌われるぞ」 「それだけはっ絶っっ対に、嫌ァァアアアアアーーーーーッッ!!!!!」 ラスティは受話器を耳から遠ざけ、頭を抱えた。 そう。腐れ縁とでもいうべきこの友人は、いったん暴走すると手がつけられないタイプであった。 「だから!俺に任せろって言ってんだろうがよ。お前さん、今すげぇ興奮してるし…それに仕事詰まってんだろ?」 「うん。そぉいやぁ、明日っからオペ旅行…」 どうやら大事なことを思い出したようだった。 しかし…この男ときたら。 「キャンセルできないかなぁ…」 「できるかッ!たかが一時キラちゃんが見つからなくなったぐらいで!患者のほうは何年も待ってたんだろうが!」 「うん…でも、キラが……」 「お前にしかできない手術…いったい何件溜まってんのかなv」 「1週間で20件です」 「ならサッサと行ってこんかぁ!このへたれド変態ぐぁぁああッ!その間にキラちゃん見つかったら、速攻でお前にメールを送っておいてやる!話したきゃ電話でできっだろ!」 「それじゃ、キラに触れない〜〜」 「しばき倒すぞ、貴様…」 どすの利いたラスティの一言が刺さる。 「判った。判ったよ!ちゃんとオペ旅行は行くから、その代わり、キラ見つかったらすぐに連絡をくれよ!俺が帰ってくるまで、見つからなかったら警察に届け出るから!」 「そりゃ判ったから、ちゃんと仕事しろよ!帰ってきて、オペに失敗して医者生命絶たれました、なんてことにだけはならないでくれ」 「バカにするな!それよりも、キラのこと!ちゃんと教えてくれよ!隠すとためにならんぞラスティ」 「……………。俺が隠してどうするっての…」 「奪ったりなんかしたら、俺は一生お前を許さないからな!」 「す・る・か!!!お前さんじゃあるまいし」 ラスティ・マッケンジー。アスラン・ザラとの親友関係を今度こそやめようかと、本気で悩んだ初夏だった。 翌朝。 アスランは結局帰ってこなかったキラに、イライラし…それでもいったん病院に行って、キラがいないかどうかを確認し、しょぼくれたまま眠い目をこすりながら出かけていった。 一方、非常によく眠れたキラは、看護師から簡単なバイタル・チェックを受け、午前中は骨折のリハビリをすべく、病院本館のリハビリテーション・ルームへ向かった。 「あ、キラさん。おはようございます。よく眠れましたか?」 「あ、うん。ありがとうアスカ先生。僕、ちょっとくらい枕が変わっても大丈夫みたい」 「それはよかったです。あ、それと今日から時間と担当替わるんで、覚えておいてください」 二人の前に、金髪の背の高い職員が現れた。 「ミゲル・アイマンです。よろしく」 「あ、はい。こちらこそ。あ…あの、アスカ先生?アス……ザラ先生、は?」 「ザラ先生は1週間出張なんです。他の病院でのオペが入ってて、そっちに行かなきゃいけないんで」 「あ、そうなんですか」 「気になるようでしたら、連絡先でも…」 「あ、いいんです別に。僕が、入院してたときに、散々お世話になったのに、まだお礼も言えてなくって…でも、どうせここに通院するんだし、また今度でいいですから」 キラはあわててごまかした。が、研修医のシンも、新しく来たミゲルもキラの微妙な表情に気づいていないようだった。 (アスランは1週間ここには来ない……。逆に良かったのかも知れない。僕にとっても、アスランにとっても…) アスランの落ち込みようが想像できるだけに、キラは少しほっとした。 第7話へ→ ****************************** 言い訳v:アスランすごいや!デュ●ク大学の●島先生並み?あ〜やっぱ、ミゲルも出しちゃった。 次回予告:ラスティキターーーッ!ちなみに「キターーーッ」って、英語で”There we go!!”と言うそうです。そのまんまや! |
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