主人不在型ストレス症候群

【出会い編】あの頃俺たちは、若かった



<第8話> 「判ってるってば!」


 

 キラとカガリ自身は、充分に生ピアノ演奏付ケーキバイキングを堪能して帰ったと思っていた。

 確かに当人たちはそれで良かった。







 しかし。


「やっぱり…無理してるんだと思いますよ。あそこにイザークでもいたらもっとよく見てくれてたんでしょうが、何しろあのデコボコカップルは未だに冷戦中ですしねぇ…」


 三日後、ニコルは再び自室から電話をかけていた。相手はもちろんアスランだ。



「相手のことはよく知らないが、イザークの話を聞くかぎりのろけだと思ってほとんど聞いていなかったんだが…」


 どうやらイザークには心に一人、意中の女性がいるらしいことまでは薄々感じ取れている。だがそれが、キラの姉だとは思わなかった。



 ところが彼女をよく知るニコルからしてみれば、どっちもどっちだという。

 つまり、カガリのほうも、満更嫌いではないわけで。


 どちらかというと、気になっているから反発するとか、そういったもののようにニコルには見えるらしい。





「まぁ、いなくて正解でしたよ。イザークが言ってたら間違いなく大げんか勃発でしたでしょうから」


「ふぅ〜ん…」

 相変わらず、アスランは他人の色恋沙汰にはどうでも良さそうな反応をする。実際自分が初恋であっぷあっぷなのだからそれは無理もないが、ニコルのような判っている人間でないかぎり、色々と誤解されていただろう。





「それで………これは僕の一方的な感想なのかも知れませんけどね。キラさん、少しの間でもいいからカガリさんと離れた方がいいように思います」

「ニコルもそう思うのか?」


「今の状態ではね、どう見てもカガリさんに見張られているって雰囲気を、たまに感じるんで…」



「キラが…」


 途端にニコルは大きな声を出して、アスランを制止に入った。

「といってもアスラン!くれぐれも直情径行竹を割ったような手段絶対禁止ですからねッ!」


「するか!イザークじゃあるまいし!」



「似たもの同士だから心配するんですよ…」


「似てないッ似てない似てない断じて似てないッ!!!」





 そして何度めかの溜息をニコルは大げさについた。

「はいはい判りました。でも何か対策考えた方がいいですよ。そう言うことはそっちの専門分野なんで、僕の出番は終了ですからね」


 つまり、教授間取引でも何でもして、何とかしろということらしい。



「判ったよ。済まなかったニコル。お前にこんなまねさせて」

「友達価格で」

「まけてくれ」


「イザークの八つ当たりでとばっちりが来なくなったら、そうします」



 ニコルはアスランにちゃっかり課題を押しつけて、この電話は切れた。







「くっそ〜〜ニコルのヤツ〜。何だって俺がイザークの色恋沙汰のキューピッドなんぞせねばならんのだッ」

 それは自分でまいた種と人は言う。


 だがキラのことでいっぱいいっぱいのアスランは、それ以上気にすることなく、頭の中から場外へ押しやった。










 そんなこんなで半月後、カガリの視線は右往左往していた。


「あぁあ〜、準備もしなきゃいけないのに、こっちも気になるぅ〜〜っ」

「カガリ〜、バッグに荷物を詰めるか配膳手伝ってくれるかどっちかにしてよ〜〜」


「お前のことも気になってるんだっ!私のいないうちに…いないうちにまたヘンなこと企むんじゃないかって………」



「あのねカガリ…。学連選抜ってたかだか2週間くらいじゃん。これ以上僕に何ができるって言うのぉ」


「キラならやりかねないから言ってるんだろ!もうこれ以上浪人するなんて、うちは金銭的に余裕がないんだから、危ない橋を渡るのは止めるんだぞ」



 キラにも責任はあることなのだが、親からの依頼もあって、カガリはちょっと外出するだけでもかなりねちこかった。



「判ってるってば!」


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言い訳v:アスラン…手ぇ早いな〜。色んな意味で(笑)
次回予告:イザ×カガv←ここはアス×キラじゃなかったのか(怒)

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