主人不在型ストレス症候群

【出会い編】あの頃俺たちは、若かった



<第5話> 「へぇ〜お前にも?あるんだ一応…」


 

 キラがカガリと姉妹でケンカした翌日、違う場所で早速アスランはイザークに殴られていた。



「痛いじゃないか!何するんだ」

「貴様いきなりこんなところまで来てよくそんな大口がたたけるな!理由もなしにそんなことができるか!」


「理由〜?惚れた女に理由などいるか!」



 スパーン!



「んな下らないことを自信満々に言うヤツがどこにいる!」

「…ここに」



 イザークがアスランを睨みつける。

「貴様………揚げ足を取りに来たなら今すぐここから追い出してやる」

「判った判った。言うよ、ちゃんと言うから」



「このバカモンが!きちんと順序立てて説明すれば、俺だって怒ってなどいない」


 いつも怒ってるじゃないか…とのつぶやきはしっかり聞かれていたらしく、アスランは三度はたかれることになる。





「一目惚れだったんだ。初めてだったんだ。あんな…可愛い子見て……どうしていいか判らなくなって。側にいて欲しかったけど、彼女の希望を叶えてあげられたら、俺のこと少しは気にしてくれるかな、とか思って………」



 ブチッと何かが切れる音を聞いたような気がした。


「き〜さ〜ま〜〜〜!このクソ忙しいのに、わざわざこんなところまでのろけに来たのか!」



 事実そう言われても仕方がなかった。


「違うさ。彼女が、入ったばかりの大学を親に黙って辞めてまで、ここを諦めきれないって言うから…だから……俺…」


 イザークは手を額に当ててしばらく思案した。

 そしてある結論に行き着いた。




「結局のろけに来たのか…」


「イザーク!」



「お前、女に本気になったの、初めてなのか?」


「………は?」



「今までそんな感情と全く無縁の人生を歩んできて、ある時いきなりその頭に雷が落ちて、本性の変態が出てきたというわけだな?」


 さすがにアスランの悪友だ。核心をついているが何とも表現方法が悪すぎる。



「イザーク………結局お前は俺をけなしてるのか…」


「徐々にではなくて急にどんと来るから自制がきかないんだ。少しは自分の気持ちを抑えると言うことも知っておけ」

 事こういう事になるとイザークの専攻分野だ。





「それくらい知っている!前は誰でもいいって思ってたけど、今はキラのことばかり想像して……毎晩、つい………」



 ドカ〜〜〜〜〜ン!!!





「誰が貴様の一人エッチの報告をしろと言ったぁあ〜〜〜〜〜ッ!」


「何度も頭を叩くな!悪くなったらどうしてくれるんだ!」

「貴様の頭はそれ以上悪くなりようがないわ!色ボケ春頭!」


「だって今んとこキラが思い通りになるのって、頭の中だけだし………」



 アスランがつぶやくと分厚い医学書が頭上に落ちてきた。

「イテ!」



「貴様は一目惚れの彼女をおかずにナニをやってるんだ変態め!ヘンなAVの見過ぎだ」

「だってそれはディアッカが………」

「他人のせいにするな!」

「ぶー!」





「いかがわしい話を元に戻せ。それで?彼女は何を希望してるんだ?」

 イザークの誘導でようやく話は振り出しに戻された。そうでもしないと、ただでさえ忙しいのだ。悠長に春頭の相手などしていられない。



「どうしてもここを受け直すって言ってて…でも、ご両親や兄弟に反対されて勉強できないからって、俺の準備室を彼女に貸すことにした」


「相当入れ込んでいるな…」



「お前には判らないんだ!彼女がどんなに可愛いか。どんなにけなげで、あの紫の瞳で俺にすがって…」



 べし!



「人を唐変木のように言うな!俺にだって…一応……理想の女性像はあるわッ」



「へぇ〜お前にも?あるんだ一応…」


 その日、黄道連盟大学付属病院の救急外科に一名の重症患者が運ばれていったという。


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言い訳v:あ〜あ〜。結局こうなる。書いてる本人だけがシリアスのつもりです。
次回予告:なんだかんだ言っても二人はきょうだい。

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