主人不在型ストレス症候群

【本編】離婚の危機!?



<第9話> 「で!用件を聞こうかシン。一体何を企んでいる?」

 

 翌日、果たしてシンはやって来た。もちろん親であるキラと一緒に。





「キラっ会いたかった」

「うん、僕も…」



 イザークの研究室で家族は再会を果たす。



 が、問題はすぐに現れた。


「会いに来たのは俺なんですけど?父さん…」



 親と呼ぶのも心底嫌そうなシン。そんなシンをキラが叱る。


「そんな言い方しちゃダメ!アスランはシンのお父さんなんだから」

「いいんだよキラ。シンは今第一次反抗期だからね。何でも嫌だというさ」



「そぉんなことないですよー」


 いかにもマセガキと言ったシンの口調が、場をとげとげしいものにする。



「シンも大人の階段を少しずつ登ってるんだね」


「別にアンタに言われたかないですけど〜」



 アスランはこぶしを背中側に隠してガマンする。

 何といってもキラの目の前だ。彼女を悲しませることは、アスランには絶対できなかった。その様子が痛いほどよく判ったのだろう。キラが口を開いた。





「シン、ちょっとルナを連れて部屋の外で遊んでてくれない?」


「嫌ですよ母さん。そしたらまた父さんが、抵抗できない母さんを襲っちゃうんだから」


 子供の目線から見た的確な表現。つまりアスランはそう見られているらしい。



「違うよシン。確かに父さんはシンから見たら物足りなく見えるかも知れないけど、僕たちのために一生懸命頑張ってくれてるんだよ?」


「母さん…」

 だけどね、とキラは言う。



「でも父さんは熱が入りすぎて、時々行き過ぎちゃうことがあるから、僕は今から父さんを叱らなきゃいけないんだ」


 シンはしばらく思案した。そして、くれぐれも流されないでと念を押し、ルナを連れていったん部屋から出ていった。







「相変わらずキラ一筋だな」


「そういうとことか、アスランにそっくり」

「おいおい、俺はシンほどじゃないぞ」


「でも僕は、子供も大事だけど…やっぱりアスランが一番好きだよ」



 頬を染めながらもハッキリとした口調で言うキラが、無性に愛しくなってアスランは遠慮なくキラを抱き込んだ。するとキラもすぐに、その細い腕を背中に回してきた。



「キラ…会いたかった」

「ん…僕だって…会いたくて……んふっ……んっ」



 それから先、キラはしばらく言葉を言わせてはもらえなかったが、彼女はそれでも満足だった。


 結局昨日は一日中、一人では満足に出来なくて、ずっと泣き通しだったのだから。まるで反動が出たかのようにキラはアスランをつかむ手に力を込める。







「ごめんねアスラン。こんなところに、一人にして…」


「俺が早く帰れるように、キラが一生懸命になってくれるんだろ?だったら、良いんだ」

「うん、僕が頑張らなきゃ!アスランが側にいてくれなくても、ちゃんと信じてられるように」



「俺はキラ以外に心を動かされる人はいないからね」


「アスラン…」



「たとえイザークが状況が俺たちを引き裂いても、俺はキラのことを信じて待てるから」

「うん、そうだよね!僕も…ちゃんと待てるようになれるよ」


 再び二人のシルエットが重なり、長い時間を経てそれはやっと離れた。







 そしてキラとシンが入れ替わったとき、かわいげのないセリフをアスランは息子から聞いた。


「母さんを占領するのもいい加減にしてくださいよ!いい大人が何やってんですか」


「相変わらずかわいげのない〜」



「俺、母さんのこと愛してますから!」

「ふっふっふ!甘いなシン。お前なんかよりも数倍俺のほうがキラ馬鹿だ」


「自分で言ってんじゃないですよ」





「……………。で!用件を聞こうかシン。一体何を企んでいる?」


 それは、到底親が子に言う言葉ではなかった。事実、この二人は天敵同士なのだった。


第10話へ→
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言い訳v:楽しかった…(笑)
次回予告:シンは初期のアノ感じです。そして子供らしからぬシンの企み!

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