主人不在型ストレス症候群

【本編】離婚の危機!?



<第10話> 「貴様の息子だろうが!しかもまだ4歳だろうが!」

 

「アンタ…いつも母さんに何してんです?」


 息子から言われた言葉がアスランにはにわかに理解できなかった。



「……………は?何の話だ」


「母さん、昨日はずっと泣き通しで……だからアンタがいつも母さんにやってること教えろって言ってんですよ」


「え?キラずっと泣いてた?そりゃイカーン!今すぐイザークに外泊を強要せねばッ」


 言い終えないうちにアスランの顔面にシンのこぶしがめり込んでいた。

 どこで鍛えているというのか、結構痛い。





「誰が毎日毎晩の夜の営みを話せと言った!」


 どこでそんな言葉を学んできたのだろうか?くどいようだがシンはまだ4歳の子供である。



「こんのぉ…いつの間にマセガキに〜〜〜!しかも毎日毎晩じゃないぞ」


「っつーか、アンタのヤラシイセリフ聞いてりゃ嫌でも覚えますよ。そんなことより、今日から俺が母さんの手伝いをするんだから、アンタが今までやって来たこと全部教えろって言ってるんです!」



 言い様は気にくわない。非常に気にくわないが、アスランはガマンした。





(さっすが、俺とキラの子供だぁあ〜。母さんの手伝いか〜〜〜。年若いのにちゃんと考えてるんだなぁ〜〜〜)



 などという、場違いな感涙にむせび、シンに自分がどれだけキラのこと(と、子供たちのこと)を愛しているかを身振り手振りを交えてじっくりたっぷり説明した。それは端から見て滑稽以外のなにものでもないということに気づきもせずに。


「良いか、シン。ちゃんとメモして帰るんだぞ。俺がキラの側にいてやれない分、お前が俺の代わりをするんだ」


 ああなんて俺って父親らしい…とアスランは盛大な勘違い。





 それが判明したのはシンがようやくアスランの呪縛から離れてこの部屋を去るその時だった。


「良かった。これで俺が母さんを手伝える。後からのこのこ帰ってきたって、アンタなんかにこの権利は渡しませんから!」



「…………………」





 その後まもなく、この病棟から世にもおぞましい絶叫と怒りの声が聞こえてきたらしいが、そんなことがキラやシンに伝わるはずもない。

 イザークはそのことを伝えなかったが、まる三日三晩、アスランの絶叫に悩まされたらしい。







 1週間後、やっと絶叫がおさまったかと思うと、今度は殻に籠もってしまったアスランに辟易する羽目になる。


「おいアスラン!」


 ブツブツブツブツ………。



「聞いてるのかアスランッ!」



「キラが……キラが……………俺のキラが盗られる………あんちくしょう、ガキのくせに小生意気なことぬかしやがって………」





 パコーン!


 脳天直下、イザークのハリセンが的確にアスランの脳天を直撃した。







「イザーク!?いつからいたんだ…」


「10分ほど前からだ」

「なら何故呼んでくれないんだ」


「んなもん呼べど叫べど貴様が妄想ワールドに浸って、ちっとも気づかなかったからだろうがッ!」



「ウソだ!」


「いぃや、残念ながら本当だな。貴様…本当にここに入院するか?」

 教育入院ではなくて。この場合、どう考えてもオカシイのはアスランのほうに見える。



「俺はどこも悪くない!悪いのは……」


 息子のシンだ…と言おうとしたがイザークの怒鳴り声に遮られてしまった。



「貴様の脳内思考回路だバカモノ〜〜〜!」



 怒鳴られて、遂にアスランはイザークに泣き付いた。


「キラが…キラが最近電話もかけてくれなくなったんだ」

「そりゃ、必要ないからだろ?不必要に電話するアホウは貴様くらいしか見たことがないが」



「最初はあんなに頼ってくれてたのに……ぐす………ここんとこ電話しても、シンがおりこうさんだから助かってるって言われるだけだし………」


「良いことじゃないか。貴様の息子にしては…キラの遺伝子が良かったんだな」

「あんのくそガキ〜ああやってキラに取り入って、俺から完全にキラを奪い去る魂胆なんだ」



「っつーか、貴様の息子だろうが!しかもまだ4歳だろうが!」


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言い訳v:いつかは超えたい親父の壁………4歳にして、アッサリ超えちゃってます(笑)
次回予告:時間はさっくりハイスピードで2ヶ月経っております。嵐の予感はするものの、一応次回で終わります。

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