【本編】離婚の危機!?
<第11話> 「貴様はたかが4歳の子供に何ムキになってやがる!!!」
「シンの根性が悪いだけだ!なんでも母さん、母さんって言いやがって、今回のことも体よく理由を付けて、小生意気なことぬかしやがって…」 イザークは呆れかえる。確か、学生時代は決してこんな男ではなかった。 「あの年頃の子供はたいがい反抗期だ。もうちょっと大人になれ」 「お前はシンの腹黒さを判っていないからそんなことが言えるんだっ」 「あ〜〜〜判った判った。幼いのは貴様の頭だな」 「イザーク!何シンに肩入れして俺をけなす?」 イザークは滑稽なほど熱心なアスランに対し、長い溜息をついた。 「お前な…確かに色々あってわからんこともないが、キラちゃんはお前とこれからも一緒にいたいと望んでるんだ。だったら、お前も少しはキラ離れしろ。これはそのための教育入院なんだ」 「だからそれが何故俺なんだ!」 「お前に子供たちの世話がまっとうに出来るとは思えない」 そうだ。今のアスランの陳情を聞くかぎり、少なくともシンとは毎日大げんかだろう。イザークの判断は正しかったのだ。 「シンはもう一人でも大丈夫…グホゥァッ!」 「貴様はたかが4歳の子供に何を期待してるんだッ!この大バカモノが!」 「でも…」 「でももへももない!あのなアスラン、新婚ならまだしももう5年だ。そろそろビターッと貼り付く生活を止めてお互いにある程度距離を取らないと、結局破滅するぞ」 イザークは言う。歳を追えば追うほどにさらに離れられなくなるからだ。 いくら好き合っていたとしても、最後は結局別れなければならなくなる。 心中でもしないかぎり一緒に死ぬなんて不可能だ。残された側が半分狂ったようになる事例をイザークはいくつも知っている。 「とにかく、今はシンのおかげでちゃんと生活できてるならそれを応援してやれ」 「あのガキ…」 「ちゃんと早く帰れるように、シンには手伝いの量を少しずつ減らすように指示してある」 「イザーク…」 「貴様のために病室を一つ使ってるんだ。これ以上無駄なことは出来ん!」 イザークは照れを隠すようにそう言って、病室を出ていった。 その後一週間もしないうちにキラから電話が入った。 「キ〜〜〜〜〜ラァァ〜〜〜〜〜っ」 「アスラン…何叫んでるの?」 「だってキラが…シンが………」 そこに複雑な思いがあった。 だがそんなことはキラには通用していない。純粋に自分と子供たちの心配をしてくれていると思うと、ぽろりと涙がこぼれ出た。 「ごめんねアスラン。もう大丈夫だから」 「キラ…」 「アスランいなくてもだいぶ平気になったし、一人でお買い物にも行けるようになったよ。それに、アスランが手伝ってくれてたことすごく判って、僕はとっても嬉しかった」 「キラ…泣いてるの?」 すすり泣きが、受話器の向こうから聞こえてきていた。 「嬉しくて。いつもどんなにアスランが僕のこと考えてくれてたのかとか、色んなことがよく判ったから…」 アスランは、いまのほほえみをキラに見せてやりたいと思った。できることならこんな話、側にいて聞いていてやりたかった。優しくキラをその腕に抱きしめながら。 だがそんな思いも、キラの好意で電話を替わったシンがぶち壊していく。 「ああ父さん?」 「シン…」 「母さんがそう言えって言うから。別に俺が呼びたいわけじゃないですけど。で、そっちの精神病は治ったんですか?」 「だから俺がキチガイになったんじゃない!」 「ま…どっちでも良いですけど?俺としてはこれ以上母さんの邪魔をしてくれなけりゃ」 近くでキラがシンを怒っている。判ってはいても腹が立った。 「いいか!お前の仕事はお終いだ!これからは俺がじっくりたっぷり…」 「あ〜言っときますけど、母さんは絶対にアンタなんかには渡しませんからッ!」 最後のシンの捨てぜりふにさすがのアスランもカチンと来た。 「ふふふ…今に見ていろ!子供のお前に何ができる!フハハハハ!晴れて俺は帰るんだ。アイルビーバックだシン!貴様のくそ小生意気ガキライフもこれまでだッ」 瞬間的にアスランは背後にいたイザークに容赦なく殴られた。 「だから貴様はたかが4歳の子供に何ムキになってやがる!!!」 アスランの帰還はそれから三日ばかり遅れたという。 出会い編・第1話へ→ シリーズインデックスへ戻る→ *husbandlesstype*stress*syndrome*husbandlesstype*stress*syndrome*husbandlesstype*stress*syndrome* 言い訳v:お付き合いいただきありがとうございました。シン…ピッタリすぎて怖いくらいでした(笑) 次回予告:次回は出会い編になります。もう一つのアス×キラベタストーリーがここに(爆) |
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