【本編】離婚の危機!?
<第8話> 「キラが…来るっ俺に、会いに来る〜」
「洗濯物は?今どの辺り?」 「洗濯機から取り出してかごに入れたよ」 「今日はよく晴れてるから、今のうちに干したらお昼過ぎには乾くね」 「うんっ。そうだった。干してくる。また電話するね」 「ああ、待ってる」 ここまでくれば、教授として大学に出勤しているときよりひどいかも知れなかった。 次から次へとかかってくる電話に、一人浮かれていたのはアスラン。頻繁にかかってくる電話を、うっとうしいとも迷惑だとも思っていない。ただしそれはキラ限定であった。 夕方遅く、イザークに呼び出された。 「何だ何だ?早速キラが会いに来てくれたのか?」 心躍るアスランにイザークは重い溜息をつく。 「アホか貴様は!フツーに晩飯に誘ってるだけだろうが」 「こんなむさ苦しい白こけしとなら、お断りする」 「ほぉ〜〜〜ぅ。じゃぁ、あのセキュリティーのしっかりした護衛付き完全防犯ルームが良いと抜かすか?」 言い方はよく聞こえるがそれはついさっきまでアスランが入っていた、特別病室だった。 「キラがいないせいで気が狂いそうなんだが」 「おめでたい頭め…」 イザークは頭を抱える。つまりあんな部屋でもキラさえいればパラダイスだとぬかすのだこの男。 「何とでも言え」 うらやましいだろ…と言外に言われているのは言われなくてもよく解る。解るだけにイザークは、この男の二の舞にだけはなるまいと固く心に誓うのだった。 病院を抜け、近所の店で食事を取る。 確かにアスランはキラ馬鹿なだけで、その部分を除けば健康体そのものなので、ああいった病室は窮屈だろうというイザークなりの心遣いだった。 だが正直に言えばいいのに、どうしてもこの男にだけは口が悪くなってしまう。 「それで?キラから何か連絡が入ったのか?」 この男、勘もいい。 「彼女とはお前が一日中電話でイチャこいてただろうが」 「いつものことだが?」 さも不思議そうにアスランが聞く。まさしくそこが問題なのだった。 「だからだ。お前と違って出来の良い息子さんから面会の申し出だ」 「シンから?」 「わずか4歳にしてはしっかりした息子さんじゃないか。彼女に似たんだな」 不思議な感じだった。 シンは、どう考えても自分に会いたがるような息子ではなかった。今はまだキラにべったりで、どちらかというとキラを巡るちょっとした恋のライバルだ。 あのふてぶてしいシンが今さら、たった一日父親がいないせいで寂しがるとも思えない。 「ん〜一体なんだろ?キラは今アイツが独り占めできる状態だし…好物は食べ放題だし」 天敵の俺はいないはずだし…とブツブツ言っていると、イザークにビシリと指摘された。 「貴様…わずか4歳の子供に何をムキになっている?」 「うるさいなっ。事あるごとにキラを取られる悲哀がお前に判るか!くっそぉお、まるで恋人気取りで、俺とキラの邪魔をしていくんだぞ」 「4歳の子供だろうが…」 「キラは俺のだ!」 「子供はお前か…。あのなアスラン、子供にとっては彼女が唯一の母親だろうが」 「とにかくシンのは違うんだ。そんなアイツが何故…」 「知るか!明日会って勝手に話せ」 「………と言うことは、キラも来るんだな?もちろんv」 「嬉しそうだな」 「当たり前だ。一体何年苦しんだと思っている?」 アスランと、キラがここに至るまで。それを知らないイザークではない。だが、物事には限度という問題があるのだった。 「いいか?悩みの種はお前のことだ。それを忘れるなよ」 などとくぎを差しても、既にアスランは聞いてはいなかった。たった一日キラに会えないだけで、これほどまでに白昼夢を見られるらしい。 「キラが…来るっ俺に、会いに来る〜」 アスランはうわのそらだった。 第9話へ→ *husbandlesstype*stress*syndrome*husbandlesstype*stress*syndrome*husbandlesstype*stress*syndrome* 言い訳v:バカそのもの…(大笑) 次回予告:アス×キラ、アスvsシン…そしてシン→キラ。ビミョ〜にトライアングル。 |
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