主人不在型ストレス症候群

【本編】離婚の危機!?



<第5話> 「ご迷惑をかけますけど、よろしくお願いします…」

 

 病名:主人不在型ストレス症候群



「ナンだソリャ!!!」


「ちなみに病名は俺が付けた」



「お前の一存かイザァアア〜ク〜〜〜!」





「本来はお前らのようなバカップルではなくて、長年連れ添って不満を溜に溜めた初老の女性に多いんだがな。しかもそれは主人在宅型、だ」


 もっと正確に言えば、ビョーキなのはアスランのほうであって(伴侶不在型ストレス症候群)、アスランのあまりの構いようがキラに影響したという。





「所詮身体は別物なんだから、離れなければならないことくらいあるだろう。お前が耐えられないくらいならいつものことだから、治療のしようがないとして、彼女はそうはいかないんだ」



「なぁ、イザーク?俺、ビミョ〜にけなされてないか?」

「ああよく判ったな。全ての原因はお前の構い過ぎによる、彼女の分離不安だ」





 ガ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン………。



 まるでまんがか何かのようなゴーンという鐘の音が、頭の中で盛大に鳴った。


「買い物や旅行ならまだしも、自宅の中でさえ一人でいられなくなるまでになってどうする?」







 そこまで言われて初めて気がついた。


 そういえばここのところ、何でも一緒だった。

 ご飯を作るのも、ちょっとしたゴミ出しも、子供たちと遊ぶのも、リビングでくつろいだりと何でもないことさえも。寝るのは…当初から一緒だったからこれは外して〜…などと考え込んでいると、頭を盛大にはたかれた。


 こんなことをするのは目の前の悪友しかいない。





「仕方ないだろう?彼女にお前から離れる時間を持てと言っても、お前は関係なく貼り付いてくるんだから。結局お前を彼女から引っぺがして隔離するしかあるまい」


「何でそうなるんだ!日常の中で俺が気を付けておけばいい話だろう」



「バカモノー!それができればこんなくだらないことで悩むか!」


 キラが裾をつかんできたことを良いことに、アスランはだんだんキラを引き寄せ、いつの間にか再び抱き込んでいた。

 あまつさえ無意識に彼女の髪を、指で梳いたりして弄んでいる。





「俺はさっき、彼女と少し距離を持てと言ったはずだが?」


 イザークの声は怒りに震えていた。何が楽しくてこんなバカップルに処方箋をしてやらねばならないのだろうか?


 しかも全ての原因はアスランにある。







「キラちゃん、アスランはこちらで完全隔離するから。少しずつで良い、できるかな?」


 イザークはキラに優しく話しかける。だが嫉妬に狂った男に、そんな医者としての優しさは通用しない。





「コラ!イザーク!そんなにキラに近寄るな!菌がうつったらどうするんだ!」

「うつるかバカモノ!それに…」



「先生…」


「なんだ?」

「その、夏の間はアスランと全く会えないんですか?急にそうなるのも…僕は……」



「心配しなくて良い。ちゃんと面会ができるようにするから。それと、状況によってはアスランを一時的に外泊させることもできる」


 キラはホッと胸をなで下ろし、イザークの話を真剣に考えだした。



 確かに自分はアスランに頼りすぎていた。

 アスランが、何でもいいよ、いいよと言って聞いてくれるから、だんだん歯止めが利かなくなって………だから、逆にアスランがいてくれないと不安でたまらなくなるようになった。



 こんなことではいけない。


 ちょっとでも、離れるなんて事はしょっちゅうあるのだから、だんだんともとの感覚に戻していかなければならないと、本気で考え直した。それには、ジュール医師の言うとおり、しばらくアスランと強制的に別れる生活をした方がいいのかも知れない…。





「待てイザーク!俺は既に決定事項か!」


 アスランの怒りを無視してキラは決断した。



「判り、ました。ご迷惑をかけますけど、よろしくお願いします…」


 空気が、震えた。


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言い訳v:アスランは、何でもやりすぎてしまいます(笑)
次回予告:入院、その理想と現実。

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