主人不在型ストレス症候群

【本編】離婚の危機!?



<第4話> 「それは無論、そのつもりだ。キラの病気は俺が治す」

 

「………で、結局なんなんだ。こう見えて俺は結構忙しいんだが…」


 先ほどまで無駄にケンカをしていた人の言葉とも思えない。傲然とした態度にイザークの表情は悪化の一途をたどっている。


 それでもこぶしを出さないのはひとえにキラのためであった。イザークにとってキラは患者であり、何よりも優先させなければならない存在だ。


 たとえ夫がアスランであろうが、そこは割り切って理解している。





「ところでアスラン、お前大学はそろそろ夏期休講だったな?」


「………。だから苛ついているんだがそれが何か?」

「余計なことは言わんでいい。どうせお前のことだ。くだらないことでも考えているんだろう」



「くだらんとはなんだ!この夏休みはキラと一緒に…むぐっむふぅごぉおッ」

 真っ赤になったキラがアスランの口を精一杯両手で押さえていた。と言うことはこの後予定されていたセリフがほぼ分かる。





「もぉっ、そぉいうことをみだりにぺらぺら言わないでって、言ってるじゃない」


「あ…ごめ、ん。つい、嬉しくて…」



 目の前のバカップルをさりげなくスルーしながら、イザークは驚愕の治療法を提示してきた。





「そのことなのだがなアスラン。お前、今年の妻とイチャラブ今夏も避暑地で心地よく彼女を頂いちゃうぞ計画は、なしにしろ」



 長く、うすら寒い沈黙がしばらく続いた。





「あっこらッ!イザーク、なんてこと言うんだ」

「今さら珍しくもなかろう?お前の送ってくる迷惑メールに比べれば」



「そりゃ…そ………キラァアアアアッ!!!」



 診察室に絶叫が響いた。アスランの側でキラが真っ青になって、彼を見ていたからだ。


「アスラン…アスラン……メールって?迷惑メールって………しかも、そんな恥ずかしい内容のメールを、先生に送ってるの?」





「きらっキラ!聞いてくれ、実はイザークとは中学の時からの腐れ縁で、ずっとケンカ友達だったって言うか…その、とにかく…気の置けないヤツなんだ。だから…」


 立場は一瞬にして、逆転していた。





「だって…あんな恥ずかしいこと………僕にだけだって…」

「キラにだけだよ。俺の全てを見せるのは。イザークは悪友だけど、ちゃんと俺とキラの全ては胸の中にしまってあるさ」



「……………ホントに?」

 キラはいぶかしむ。


「そんなもったいないこと、誰彼かまわずバラせるわけないだろ?」

「そりゃ…そうだけど………」


 言いながら、思い出したのだろう。傍目から見てハッキリ分かるほどにキラの頬は真っ赤になっていた。





「そうだよなっイザーク!」

 やっとの事で話を振られたイザークは待ってましたとばかりに、診察を再開した。







「と言うわけで、この夏は彼女の全快を企図して………お前を隔離する!」





 雷が落ちた。


 第二の絶叫が、病院の建物全てを震撼とさせる。


「何故だ!!!!!」





「今のお前を見ていれば判る。そのほうが断然早い」

「だから何故だ!俺は付き添いのハズなんだが…」





 そうだ。どう考えてもオカシイ。

 確か患者はキラで、アスランは呼ばれて一緒に来ただけではなかったか?



 それが何故、こんなことになっているのだろう?





「その前に、いい加減彼女を離さんか?ここにいるのは俺と看護士とお前らだけ。つまり彼女を狙う男はいないんだが」



「あ、そうか」


 今頃気づいてやっとの事でアスランは抱きしめていたキラを解放した。するとすぐに、キラはアスランの服の裾をつかむ。まるで何かにすがるように。





「アスラン、嫌とは言わせないぞ。治療にお前も全面協力してもらうからな」


「それは無論、そのつもりだ。キラの病気は俺が治す」

 と、意気込みも良くなってきたところで、イザークは初めてキラの病名を告げた。


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言い訳v:これのどこがシリアスかって?アハハハハハハ!秋山は充分シリアスのつもりなんですが(笑)
次回予告:キラの病気を治すため、治療方針が決まる。そしてキラは重大な決断を下すことに。

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