アスラン居ないから!絶対に安心だから!と説得され渋々イザークにエスコートされてきたキラは、世にも奇妙な表情をして驚愕しているカガリの顔を見て、脂汗が止まらなくなった。 「いや…言いたいことは判るよ。よく判るよ。でもねカガリ…これには色々事情があって………」 「………………………ナニしてんだ………お前……………」 「最初に言っとくけど、コレ…僕の趣味じゃないからねっ」 そこにはZAFT白服を着た、だがフルメイクの金髪の美少女がいた。 「ああお前が、ふっつ〜〜〜の女の子のようにメイクだイケメンだって、きゃーきゃー言わないことぐらいはよぉく判ってるさ」 というよりカガリが知る限り、一般的なティーンエイジャーとはほど遠い双子の妹の実情は、よぉく知っている。 「さ…作戦なんだ。僕の意志じゃなかったんだよ」 「なんつー作戦だソリャ!!!」 それは誰しも思うことだろう。お互い聞きたいのはその先だ。 「と…とにかく聞いて。とにかく落ち着いて、みんなの話を聞いてくれないかな?」 「お前がケバいメイクをして、ヅラまで被って変装している作戦の、どの辺りがマトモなんだか、この私にも判るように最初から説明してもらえるか?」 |
主な夫と書いて主夫!しゅふ! 第31話 この秘密、知られたからにゃぁタダで帰すわけにはいかねぇな! |
カガリでなくともその気持ちは分かる。だがここまで苦労し続けてきたイザークなどは、その何気ない感想に拳すら震わせていた。あの苦労をケバいと一刀両断だ。 「とにかく聞いてよ!ほら座って!」 「………わかった…」 渋々座り、他の人たちも同じく座ったことで、改めてラクスがこの作戦の話を切りだした。そして話が終わる頃にはカガリから当初の勢いが逸れ、彼女もいつの間にか作戦加担者にならざるを得なくなっていた。 「制度の整備の前にまず意識改革、ラクスの考えはよく判った。話を聞く限り悪くないと思うし、そういうことなら私個人は賛成だ」 「カガリ…」 「その為にわたくし達は半年以上もの長い時間をかけ、ここにいるジュール隊長に最大限無理を聞いてもらって、体制を整えてきたのです。そしてそれは同時にキラが行っている、ZAFTとプラントの一部のプログラムの改正と緊密に連動させてきました」 「それでねカガリ、もう少しなんだ。本当にもう少し僕がここにいて、プログラムを書き換えると全てが終わるんだ。ぐちゃぐちゃになってたプラントの人たちの生活も上手く行くはずだし、これから地球と行き来が始まっても問題ないように直してる。あともうちょっと、邪魔されずに仕事がしたいんだ」 邪魔、それはもちろん………。 「やっと話が繋がったよ」 ひたすらなアスランの迷惑行為と。もう、おびただしいほどの付近住民からの通報に、いっそ本気でムショかどっかに放り込んでしまおうかと思ったこともあった。 「それはつまり今後のプラントの人たちの生活だけじゃなく、地球の人たちとの交流にも非常に関わることなんだな」 つまりは今回カガリが持ってきた交渉の中身を実現させるための基礎として、非常に重要なツール。 カガリは、ひいてはオーブは<協力しなければならない>。 「うん」 「邪魔が入らないとして、あとどのぐらいかかりそうなんだ?」 「え…と、ZAFT内部はほぼ完成していて、あとはZAFTとプラントを繋ぐ部分と、プラントの機能の一部の改正だから、2ヶ月もかかんないと思う」 カガリは息を一つ付いた。 「それぐらいなら何とか誤魔化せそうだ」 「それは助かりますわ!ではカガリさん、良い時間になって参りましたし、今夜はキラも一緒にお食事でもしませんか?」 「キラも、一緒に来られるのか?」 「ぇあ?うん。ご飯くらいなら良いよ」 というわけで夕飯までに少し時間があるので、その間キラはさっきまでやりかけていた作業を終わらせると言って部屋を出た。 「キラ!」 「あ、大丈夫イザーク。アスランはカガリがホテルに閉じこめたって言ってたし、それに場所二つ先の部屋だし、近いからあとでみんなのところへ行くよ」 「大丈夫だと思うが、変態に見つからないよう留意しろよ」 「うん、わかってる」 で、手が空けばイザークは、今の今までムラムラしていた違和感を片づけたくてたまらなくなった。 「アスハ嬢!ちょっとよろしいか!」 |
いいわけ:段々話が見えてきましたでしょうか?
次回予告:せっかく手に入れた技術、使わなくてどうするんです?
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