キラたちがのほほんと、変装がどうのこうのとぎゃぁぎゃぁ騒いでいたその三日後、ZAFT本部にある情報がもたらされた。 <アスラン・ザラ、アプリリウスに潜入!!!>その情報は当然、 「まぁっまぁっ!これはいけませんわッ!今までに増して警戒を厳重に!」 そして…キラには新たなる仕事が増えた。アスランがたどった侵入経路のハッキングと、その経路以外でのZAFT外部のプログラムの改編。 当の御本人は当然不満だらけだった。 「もぉ〜〜〜〜ッアスラン早すぎ!何でもっとのたくさしててくれないんだよぅ!めんどくさぁい………」 そのしなやかな両手はせわしなく動きながら、口からこれまたのほほ〜んと不平をたらたらこぼしていた。 「文句はいいから手を動かせ」 「言われなくたってやってるよぉ!ああもう!せっかく変えといたのにッアスランの大バカ〜〜〜〜〜!」 忙しい。忙しすぎる。プログラム改変のため、それ以外のことに極力力を使わせないため、丸二日イザークはキラのマネージャー以上の働きを見せた。そのことはまたラクスの目論見通り、職員の勘違いをさらに強固なものにしてゆく。ZAFTの結束力で宿敵を近づかせないため。熾烈な戦いになることが予想された。 |
主な夫と書いて主夫!しゅふ! 第28話 灯台もと暗し…ということわざを知っているか! |
同時刻、オーブ連合首長国の行政府にも、非常に重要な情報とめっちゃくちゃどうでもいい情報がもたらされた。ちなみにどうでもいい情報は、単なるお金の無心。 「調査費が尽きた」 コッチ(生命線)のほうがよっぽど大事なんだと言うどアホウはほっといて。非常に重要な情報、それは<キラはアプリリウスに居る> 「確実なんだろうな?」 と通信画面越しにカガリが睨みつければ、 「…バカにするな!俺の底力を甘く見るなよ」 と、傲然としたちょーぜつ生意気な表情が帰ってきた。 「それで…アプリリウスのどこなんだ?国が介入した方が話が早いか?」 突っ込んで聞けば帰ってきたのはしばしの沈黙だった。 「詳しい場所が判らないんだ」 「……………ハァア!!!!!???」 「寝る間も惜しんでプログラムのハックをしたさ!見つけたのはアプリリウスシティー銀行の、ATMのプログラムに組み込まれた僅かな揺れだけだ。確信は出来ても、キラがそこにいるって確認した訳じゃない」 「ア〜ス〜ラ〜ン〜〜〜」 「考えても見ろ!俺がキラをその目で見たなら、とっくの間に奪い返してる」 そこまで言われて気が付いた。 「そ………っか!そうだな!!」 (違法に)ハックして見つけたプログラムの僅かな揺れ。そこにキラの息がかかっていることを感じ取れても、実際にキラがどこからプログラムを送信しているのかまでは判らない。ただ、アプリリウスシティー銀行は、メイン営業地域がアプリリウス市なので、中心部にいる確率が高いだろうという予測は付く。 「これから俺はシティー銀行が外注している、SEとその企業を探す。だから…」 まじめな表情で紡がれる次の言葉は当然……… 「腹減った、金寄越せ………か!」 だがアスランはあくまでも大まじめだ。 「この事は国家…強いては人類の存亡に関わる重要な事案だ」 アスランのメシ代が……………だ。 「わかった。だが…」 カガリは提案する。 「私が直接渡してやる。光栄に思えよ!」 「……………何で???」 目が点になったアスランは、ますますカガリを怒らせることに成功した。 「この大たわけが!プログラムが銀行なら、お前宛に直接送金したら目的がモロバレだろうが!!!だから私が外交交渉のネタを作って、影でコッソリ渡してやるって言ってるんだよッ!もぉッコーディネイターのくせにそんなことも分かんないのかよっ」 解らなかったらしい。 「それまで待ってろ」とのカガリの捨てぜりふを最後に、通信は切られた。 |
いいわけ:カガリは何だかんだ言ってキーマンです
次回予告:世界のカガリ・ユラ・アスハ
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