「詰まるところは急がせてしまう。本当に申し訳なく思っています。アスランがプラントに来るという選択肢は、当然頭には入っていました。けれど、確かにプラントはアスランにとっても庭のようなもの。キラを見つけられる可能性は地球よりは早いでしょうね」

「…だろうな」

 イザークが相づちを打つ。なんだかんだ言いながらも、アカデミーでトップのデッドヒートを繰り返していた二人だ。その辺はイザークも充分認めているし、彼の実力を侮ったことはない。ここに来て新たに判明した事実は、キラに対する異常なまでの執念と桁外れの非常識だ。



「けれど、ZAFTはその為の最後の隠れ蓑です。本当はこんな事のために利用したくはありませんでしたが、全ては人類全ての方の平和に通じること。私も全力を持って隠蔽工作を致しますわ!」


 そして、ラクス・クラインもパリ〜ンと割れた



「………ごめん」





主な夫と書いて主夫!しゅふ!

第25話   迫り来る時間との戦い





「このシステムの組み直しが完成するまで、是が非でも変態に見つかってはなりません!これは我々、いえ人類に課せられた至上命令なのです」

 ラクスが高らかに宣言したところで。


「悪いがZAFTの全職員にも箝口令を敷いた方がよろしいでしょう」

「その通りですわ。違反者はこの宇宙の藻くずとなっていただきます」

 穏やかでない罰則も決まったところで。


「ねぇ…じゃぁ外に行っちゃ駄目なの?今のうちにおやつの買いだめしたいなぁ…」

 のんきに構える御本人が居た。



「「駄目ですッ!当然」」



「施設内の売店飽きたよぉ〜〜〜」

 キラはつまらなそうに指折り数える。ZAFT饅頭もZAFT煎餅もZAFT焼きもZAFTプリンも全種類制覇しちゃったよぉ………と。


「何ッ!ZAFTプリン………全種類制覇したのかッ」

 ここに驚く方が約一名。彼の名はイザーク・ジュール!

「制覇したよ!プレーンもW卵も、カスタードもゴマ(白黒)も、イチゴもミルクも、練乳も各種チーズも、それにそれに激レアマンゴーのサンズエッグだって!」


「げ………激レアのサンズエッグ………!」

 それは幻のプリン。原材料が高額かつ超有名パティシエ制作の為、ZAFTの売店といえども、年に3日間しか入荷しないという!その発言にラクスでさえ固まった。



「マンゴープリンを………食べたのですね、キラ」

「?うん。売店のおばちゃんが珍しいからって、僕に1個取っててくれたんだ」


「どうでした?」

「どんな味だった!!!」

 二人に言い寄られて返答に窮するキラ。彼女は難なく手に入れられたので、そんなに入手が困難なものだとは全く思っていなかった。


「え?いや…すごい高かったけど、フツーにめちゃめちゃ美味しかったよ?プリンというより、マンゴー食べてるみたいだった…かな?」

 とたんに落ち込むプラントの実力者達。さすが人類の宝と言われるキラ。売店のおばちゃんですら彼女の虜にするとは!いわんやアスランをや………だ!!!!!!!!!



アブないですわね……」

「ああ、非常〜〜〜ぉにアブない!アスランなんぞに見つかったら、本気で危ない話だ」


「あ………あのっ……………よく分かんないんだけど?????」



 しかも御本人様はいまいち事態が理解できていない。で、結局しばらく考えた末、現実的で一番手っ取り早い結論が出た。


「こうなったらコスプレしかありませんわ!キラ!!!」


「………………………は!!?」


「私のみならずジュール隊長にもガッツリ協力してもらいますッ!カツラからメイクから服装から………果てはカラーコンタクトに至るまで、完ッ璧に変装してもらいます」


「ぇえ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!??」


 その選択の意味が一番判っていないのも、当の御本人だったりする。

いいわけ:サンズエッグ=太陽のタマゴw
次回予告:来週ザラ来襲!(←駄洒落)



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