「今日からお世話になりまっす。キラ・ヤマトでっすぅwww」

 十代半ばの頃のラクス・クライン(※テレビの中限定)のように、この世のものとは思えぬほど劇的に可愛い顔を、出血大サービスしながらやって来た新しい上司人によっては同僚に、その場にいた殆どの者は動揺を隠すことなど出来なかった。



 何故って、


 ぷvるvんwww

 ふるふる………ゆらゆらゆら〜〜〜ぁ………ふょふょ…





主な夫と書いて主夫!しゅふ!

第1話   プラントにやってきた問題児





 ちょこんとZAFT特有の軍人さんの敬礼をされたとき、ラクス・クライン以外の者の視線は見事にキラの胸に集中した。すぐにイザークは額に手を当てて天を仰ぎ、ディアッカはやれやれといった具合で苦笑しながら、大きなため息を付いた。


 そしてキラの隣にいたラクス・クラインは、額に無数の青筋を浮かべたままにっこり女帝の笑顔を崩さぬ、という世界中で彼女にしかできないハイレベルなムダ技を披露したまま、キラに耳打ちした。

「キラvこのご挨拶が終わりましたら、二人っきり(※ここ重要)でお買い物に行きましょうね」

「ふぇ?ラクス?あ!お仕事に必要なものだねっ?」


 ラクス・クラインは少し考え(←一見天使の笑顔)、カロやかに答えた。

「はい!これがなければ皆の仕事が滞ってしまいますの」

「わ!そんなに大事なものなんだ!?」


 キラには今、間違いなく話が通じていなかった。真剣にそんなに大事な買い物しかも仕事に必要なものって一体何だろう?と悩んでいるキラの隣で、ラクスは今最高にご機嫌が良かった。


(ああッ!アスラン、もうあなたには絶対返しません!!!)

 何を?キラをだ。この、世間の表舞台からひた隠しにされている<人類の宝>をだ。





「それではみなさま、宜しくお願いします。少なくとも1年をめどにZAFT全てのシステムの修復と調整を彼女にお願いしていますの。各所を回ってもらいますので、くれぐれもご機嫌を損ねることの無いように!」

「ラクス!そんなことないよ!ね、大丈夫だよ、みんな。ほら、全く知らない人ばっかって訳じゃないんだし…」



 何も知らない凶悪に可愛い笑顔を乗せたまま、その首をこっくんと傾げれば、整列している軍人たちの体温と心拍数の上昇にかなり役立った。とは言っても役だった割にはまるで逆効果だ。彼らには自分の気持ちのクールダウンと自制が必要になるわけだから。



 ところでキラは戦時中と戦後に何人かとは面識を得ている。僅かに知っている人、ディアッカ、シン、ホーク姉妹に向かって軽く手を振れば、シンとディアッカが頬を染め、それぞれ上司と恋人に手の甲をつねられた。


「ZAFT全システムと仰いますと…膨大な仕事量になりますがクライン嬢?」

 イザークが声を掛ける。キラを知らない者にとってその感情が当たり前だ。



「出来るから彼女にお願いしました。彼女は我々全ての人類の至宝であり、同時に希望です」

 だから、いきなりの白服なのだと。ある程度の権限、そして自由に動ける立場をラクスは彼女の為に用意した。


「その、能力がある、と…?」

 例えばアーサー・トラインなどにはまるで信じられない話。ZAFT全てのシステムというと、本当に気の遠くなるような話だ。しかも一旦できあがっていたものがザラ議長期に巧妙に変質し、デュランダル議長政権下にぐちゃぐちゃにかき回されている。

 それをたった1年かそこらで修正できるほどの能力を持つコーディネイターがいる。そして目の前の小悪魔的に可愛い彼女がそうなのだと、口で説明されても到底信じられない。


 キラを知らない人から見れば、ラクス・クラインに代わる新たなプラントのアイドルと紹介されたほうが余程腑に落ちるだろう。





 ラクスの鼻息の荒い笑顔、ディアッカのため息、シン達の心配、そしてイザークの不安………とにかく様々な思惑が複雑に絡まり合う中、コーディネイターの新たなアイドル…ではなく、とんでもない問題児は劇的にやってきた。

いいわけ:キラにゃ………ゲフンゲフン!キラはみんなのアイドルですw始まりましたアスキラ♀版逃亡者。初のキラinZAFT、お楽しみ頂ければ幸いです。
次回予告:ラクスの愛するキラさま



お読みいただきありがとうございました。ブラウザバックでお戻り下さい。