第8話:Side Cagalli
お父様に話もつけた(とカガリは思っている)。 当の問題児(ユウナ)も追い出した。 あとはこの部屋でキラが来るのを待つだけだ。そう思っていた。 「来・な・い!」 時刻は正午を過ぎたところ。そろそろキラが来てもいい時間なのに(当のキラは熟睡中)。 ま…遅れるってこともあるわけだしな、もう少し待ってみるか。 そう思いながら更に1時間。カガリは限界だった(いまだにキラは熟睡中)。 なぜだ?今時シャトルのトラブル? いやそんなことならニュースで大々的に取り上げてるはずだし、乗員名簿も公開される。 もともと来なかった? まさかと思ってホテルの電話からヘリオポリスの家に電話をかけてみるが誰も出ない。 「まさかっ!」 あり得ない話だが、すでにユウナと出会ってしまった? そしたら……そしたら俺の可愛いキラは今頃ユウナに騙されてその毒牙にかかって「あ〜〜〜れ〜〜〜〜っ」ってことに………? いやいや!それだけは、それだけは断固阻止せねばならない。その為に自分はここにいるのだから! あ…待てよ!でも約束した部屋はここなのだから (だからユウナが張り切って、趣味悪い部屋に改造してたんだろ?) ここに来ないってことは、キラはフケたのか? カガリは携帯電話で、ユウナの居場所を確認し、ホッとため息をついた。真っ昼間っからふて腐れて遊び歩いているようだ。居場所を示すカーソルが移動しつつあるのが判る。 (オマエなぁ、こんな昼間っからいかがわしいところをウロウロするなよ………) 2時半を回った頃、カガリは呆れ果てて、部屋のキーをフロントに返し帰路に就いた。 「いや悪かったですな。ヤマト家にはもっと早くお知らせするべきだったのでしょうが、なにぶんこちらも急でして…」 行政府の一室。ウズミがカリダと話していた。 今し方閣議が終わったばかりだ。思ったより長引いてしまって、ヤマト夫人を待たせてしまった。部屋に入るなりウズミは謝罪した。 「ええ。キラも就職すると張り切っていましたので、正直怒ってしまって……」 「確かに、カガリが次のオーブの代表首長を継ぐと決まった時から、これは避けられない話だとは思ってはいたのですが…私の話を小耳にはさんだセイラン家が、強く言ってきましてな」 自分にとってもユウナは親戚筋に当たるし、断る理由も見つからなかったのだという。 「キラは…あの子はそういうことには疎いので、セイランさんと一緒になってもうまくできるかどうかは心配でした」 「そうですか。カガリが断ると言って話をつけてきてくれて良かったのかも知れない。実際、コーディネイターでも得手不得手はありますからな」 「私たちと一緒ですわ」 「彼女は、どういったことがお好きなのかな?」 ウズミの一言に、カリダは固まった。ピシッと体中に亀裂の走った音が聞こえたような気がした。 「それが……その…ぉ……」 「………?」 「オタクですわよ……あの子………」 「……………は?」 「なにを間違ったのか、女の子らしいものには何一つ興味を示さず、ひたすらパソコンとにらめっこして、ネット画面を見ながらブツブツと……」 「はぃ?」 「それで……何度か学校から呼び出されまして………その、ハッキングがばれたとかで…」 ウズミの目が最大限に大きく映し出される。 確かに亡きヒビキ夫妻による最高のコーディネイターだとは知ってはいたが……。 ちなみに当初、男の子のほうをコーディネイターにするつもりだったが、「うっかりミス」で、男女を間違えたらしい。気づいた時にはもう取り返しがつかなかったのだとか。 「ど……どうやら、彼女にとってはこの世界がローテクノロジー過ぎるようですな………」 「ええ。これがカガリ君でなかったのは幸いでしたわ…」 カリダの視点もどこかずれていた。 第9話へ→ ◇◇prussianblue◇prussianblue◇prussianblue◇prussianblue◇prussianblue◇prussianblue◇◇ 言い訳:この回からのウズミさんのセリフが、33話以降で生きてくることになります。お話のはじめは伏線ばっかりです。ごめんなさい。でも、カリダ書けて幸せかも(をいをいをい) 次回予告:9、10話はまた見合い編でアスラン&キラサイドです。「アスラン・ザラ、スケコマシ、行きます!」ってな感じになってます(笑)だいぶ話が進んできたので、「Side〜」も、この9、10話で終了し、サクサク進めていきます(陳謝) |
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