プルシャン・ブルー

第7話:Side Kira



 3時過ぎ、僕はユウナさんに誘われるままに1階の喫茶店に来た。


 あー久しぶりだなーこういうとこ来るの。ここんとこ就活で自宅と学校の往復ばっかだったから、本当のところ、甘いものが欲しかったんだよねぇ。

 ところが、今月は金欠。トホホ。だってこないだどうしても欲しかった基板とアップグレードソフトを買っちゃったばっかなんだもん。あれ…高かったなー。


 ふと外を見るとカラフルな花が植えられてる。コロニーではそうそうお目にかかれないような熱帯植物だ。

 あ!そうそう、普通の女の子ってそーいうもの好きなんだよね。とりあえず「オタク」ってこと、隠しとかなきゃね〜。





「わぁ…オーブって本当に温かい国なんですねぇ」


 そうそう!こんな自然な雰囲気!花は嫌いじゃないけど、名前も知らなければ特段育てようなんて気にはならない。

 やっぱ僕の価値観ってちょっとズレてるのかなぁ?ユウナさんはどう思うだろ?



「そうだね。プラントではあまり見られないよね。こんな綺麗な花」


「そう!使える電源って限られてるでしょ?気温を1度あげるだけでもスペースコロニーではとんでもない電力消費だもんね。メンテ大変だよね。バグ取りだって時間かかるし…地球とは違うよね」



 ユウナさんが一瞬びっくりしたような表情になった。あれ?僕ヘンなこと言った?



「プログラムに興味あるの?」





 しまったぁあああッ!!!



「あ…ぃや……これは、その…普通ね、そうかなーって思って………」



 焦りまくりながらごまかす。遅いかな?ってか、もう遅いよね?ところが彼は穏やかに笑いながら僕を慰めてくれた。


「バグ取り、大変だよね。俺も趣味で機械いじりしてるけど、大変だよ」



「あ、自分で作っちゃう方なんだ?」


 あ…あれ?もしかして、話題合う?あそっか、男の人ってそーいうの好きなんだっけ?よくわかんないけど。


「うん、自作派。マニアくさいかな?」



「ううん!僕は手が不器用で、そういったの苦手だから、そう言う友達がいたらよかったのにな〜って思って…」



 僕はマイクロユニットみたいなコチャコチャした作業が大っ嫌いだから、正直尊敬する!僕にできることはユウナさんにはできないけど、僕ができないことは彼は得意なんだぁ。ふっと気が軽くなった。





「ああ!マイクロユニット?」

「………うん」


「俺も苦労したよ。プログラムがね、嫌いじゃないんだけど、そんなに得意じゃないから」


「よかったぁ。こんなにできないの、僕だけだって言われて…本当言うと諦めちゃって、ほとんど投げてた」



「プログラミング理論は?成績良かったんだ?」

「ううん、あんまり」


「……え?」



「良かったのは「プログラム実技」のほう。でもこっちも…いつもやりすぎて怒られちゃってたんだけどね」

「やりすぎ?」



「僕のプログラムは組み方がメチャクチャなんだって。でもさ、マトモに動けば問題ないじゃん?だいたい『コンピュータOS理論5』のテキストなんて、コチャコチャしすぎなんだよ。だからバグが増えるんだよ。もっと簡単に組めるのに…ぁ………」



 ユウナさんが僕の話を真剣に聞いてくれるからつい僕も安心して、愚痴みたいなこと言っちゃった。それでも彼は、ニコニコしながら僕の話を聞いてくれている。





「俺、君のプログラムを見てみたいな」


「うん、いいよ」

 僕は何だか嬉しくなってアッサリOKした。





「ケー番とメアド…聞いてもいい?」

「うん!電話とかいっぱいしよ!」





 当初は全然乗り気じゃなかったけど、ユウナさんいい人みたいだし。もう少し話してもいいかな?


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言い訳:
TV本編を観ながら「この二人って、オタクだよねぇ」なんて思ってましたが…(笑)それにしても、ある種バカ正直なキラちゃん…大好きです!なごむわ〜。

次回予告:次回はカガリ&カリダサイドです。お笑いに見えますが、このあたり重要な伏線を詰め詰めなので……(ペコリ)9、10話はまた見合い編でアスラン&キラサイドに戻ります。

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