プルシャン・ブルー

第36話



「おいしかったぁ〜〜!アスラン、ありがとうvでもいいの?僕ばっかりこんなにおごってもらって」


「何言ってるの、キラ。もうそれは気にしなくていいんだよ」



「……なんで?」


「俺たちさっき結婚したんだから。俺とキラの財布ももう一つになったんだよ」



「あそっか。なんもかも一緒になったんだっけ…?」

「うんvキラが嫌だって言って、俺のそばから去っていくまで」


 チュッと音をさせ、アスランはまぶたに軽いキスをする。



「ここ道路だよ。みんなが見てる……」


「でも、誰にも文句はつけられないよ」

「僕は、アスランの妻だから?」

「そう言うことv」


 二人は上機嫌で行政府に帰り、そしてアスランは愕然として、この先の予定を変更せざるを得ないことを知った。





「こんにちは!アスラン」


 アスランは固まって動けなくなっていた。予想外の出来事に隣でキラがおろおろしている。



「あ……ごめん、なさい。部屋間違えちゃったみたいで…」


「いいえv合っていますわvこちらはキラ様のお部屋ですもの。わたくしはここで待たせていただいていただけですの」



「え?僕の名前…あ、カガリか……。えと、申し訳ないんですけど…どちら様ですか?」

「すみません。自己紹介が遅れてしまいましたわね。わたくしはラクス・クラインですわvキラ様v」



「………………………」





 キラは引きつったような表情になり、思わず後じさった。そう言えば、アスランのもともとの見合い相手の名もラクス・クラインだったような気がする。

 笑顔とピンクのオーラをまき散らしながら近づいてくる絶世の美少女に、キラは真っ青になってふるえた。



「ラクス!これはどういうことですか?あなたがここに、オーブにいらしていることなど存じ上げませんが」

 キラを守るように自分の腕の中に包み込み、アスランはやっとの事で復活した。



「ねぇアスランどうしよう…どうしよう。僕、何にも考えずにアスランと……」


「大丈夫だからキラ。俺とラクスとはもともと結婚の意思はないんだ」



「…ぇっ?」


「その通りですわ!そのことをご承知いただいた上で、キラ様をご紹介くださいとお願いしましたのに、あなたは結局お連れになりませんでしたものね」


「残念ですが。先週の土日は父と一緒に仕事をしておりましたので」



「それにしても連絡くらいくだされば良かったですのに……」

「その話ならお断りしたはずですが…?」


「せっかくお茶をご一緒しようと思って、お待ちしておりましたのに…」





 キラは話に全くついてゆけず、きょとんとしていた。その間にラクスはキラの目の前まできて、そしてその繊細で美しい両手でキラの手を握り機嫌良くほほえんだ。



「あ……ぁの、ラクス……さん?」


「わたくし、キラ様とお友達になりたくてオーブまでやって参りましたの。キラ様はわたくしがお嫌ですか?」



 突然のラクスの申し出にキラは一瞬固まり、そして思い出したかのように思いっきり首を横に振った。


「全然……全然そんなことないです!僕こそ光栄です。でも、何で僕なんですか?」

「あら!いけませんわね。キラ様はご自分のお可愛らしさにお気づきでないのですね!そしてアスラン!今夜はわたくしがキラ様をいただきますからv」



「冗談じゃない!何でむざむざあなたに渡さなきゃならないんです!?」


「それはこの間の約束を破られたからです。ですからアスラン、キラ様をご紹介いただけるのでしたら、わたくしからも父とパトリックおじさまを説得してもいいんですのよ」



「ラクス……あなたは何の思惑があって………」

「ですから何度も申し上げましたでしょう?お友達を作るくらいよろしいじゃありませんか」


「ねぇアスラン……ラクスさん、こう言ってるし友達になるくらいなら……」



「キラ……?」


「大丈夫!僕はちゃんとアスランのとこに戻るから。ラクスさんもコーディネイターみたいだし、僕のこと怒ってるわけじゃないみたいだし…友達になるくらいなら構わないでしょ?大丈夫だよきっと。だから…ね?」





 アスランはキラの懇願を受け、しばらく悩み……結局キラがそう言うなら、とあてがわれた自室に帰っていった。

 部屋に一歩入るなり、どうしても悔しさが押さえきれない。



「くっそぉぉぉおおおおお〜〜〜〜〜っ!俺とキラとの熱い初夜のはずだったのにぃ〜〜〜ッ」



 相手はあのラクス・クライン。どこをどう考えてもこれは、こないだのことを口実にして、自分とキラとの熱ぅい、はじめての夜を邪魔しに来たに決まっていた。


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言い訳:
「こんにちは。アスラン!」本編でのあのぽよよん語は結構好きでした。といっても、色々と思惑ありまくりなんですけどね(笑)

次回予告:どっちかっつーとラクス×キラ!?その頃変態さんは、一人お寂しく部屋で変態妄想が大暴走!

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