第26話
自宅を出た時から嫌な予感はしていた。 通学途中も、周囲の視線が気になって仕方がない。 しかも間違いなく、気のせいなんかじゃなかった。 予感は確信になり、そして的中し、キラは校門前で仁王立ちになって自分を待ちかまえているフレイとミリアリアを確認した。 「キィ〜〜〜〜〜ラァァア〜〜〜〜〜〜〜〜〜v」 表情が引きつる。 「……あ………やっぱ、り……?」 「やっぱりじゃないわよアンタ!こんなに大騒ぎになってるのに、逃げ隠れもせずに堂々と正門から入ってくるなんて…」 「え”…?大騒ぎ…?」 「………ハァ…。アンタねぇ…コーディネイターなんだから少しは気づきなさいよ、あの毒々しい視線を!」 「コーディネイターだって得手不得手あるもん!で、やっぱあれってずっと僕を見てたって事なんだよね……?」 「とにかくキラ!午前中はサボるわよ」 「…え?なんで……?」 「気づかない?アンタ…アノぎらついた視線見てまだ気づかない?」 「……………はぃ。…で、どこ行くの?」 「決まってるでしょ!アンタのオタッキ−ルームよ!!」 「………。部室でしょ?フレイ」 「どーせオタクなコトしかしてないでしょ!アンタは!」 10分後。情報処理部部室。キラの持っている予備キーで部室を空け、ミリアリアはご丁寧に内側からカギをかけた。 「ねぇ……なんで中からカギをかけなきゃなんないの?」 「まだわかんない?アンタ逃亡の常習犯でしょ?このテの話のv」 「墓穴を掘ったわねキラ!でももう遅いわvカギは話が終わるまで私が預かってるからv」 「ミリアリア〜〜〜」 「……で、単刀直入な話…キラの彼氏の話なんだけどォ〜〜〜vV」 「う゛…っ!話さなきゃ、ダメ?」 「私たちにさえ話ができない、特ッ別な理由があるのかしら?キラにはvあの後カガリ君に会ってね、いろいろ頼まれてるの〜今さら言い逃れはできないわよォ〜〜〜」 「……………。ありません」 キラは事の顛末を話し始めた。その内容が二人のもようやく理解できてきた頃………、結局アスランに買ってもらった指輪も見せなければならないハメになってしまった。 「何カラットあんのよ…コレ………」 「…だって、アスランが……普段使い用のファッションリングだから気にせず使ってって……」 「……で、こんなそら恐ろしいものを、学校なんかに持ってきてんだ?キラは…」 「だって…だって……!こないだみたいにイキナリ来られちゃ困るもん!昨日だって、持ってないって言っちゃったら、一つくらい持っててって言われて…なんかすっごい上機嫌で……」 「そりゃ、判らなくもないわよ。アンタにとっちゃ彼がはじめてのオトコって事でしょ?」 「……何それ………?」 「ねぇキラ!アンタ今まで私のありがたいお話のどこを聞いてたのかな〜〜〜〜〜?男にとって、好きな彼女に前の男の匂いがしないってのはプライドをくすぐるもんなのよ!」 「…よくわかんない……」 「しっかし…ラクス・クラインとの話を断ってまでこのオタクを選んだの〜?ちょっと信じられない話ねぇ。ま…キラは私から見ても可愛いからねぇ〜騙されてるんじゃなきゃいいけど……」 「そこんとこがよくわかんないんだよね。勘違いだったんだから僕のこと忘れてって言ったら、すごい剣幕で怒り出して……あの後僕の両親にあいさつしに行って…で、電話やメールはほぼ毎日来るし……」 「よくそんなに話があるわねぇ……」 「まぁ似た者同士…?って、言うのかな?ネタに困ることはないけど…」 フレイとミリアリアが飛び上がって驚いた。 「「あんな格好いい顔して、彼もオタク!!?」」 キ〜ン〜コ〜ン〜カ〜ン〜コ〜ン………。予鈴とともに、三人のお腹が輪唱した。 「キラ…覚悟しなさいよ。全くこれからクラスに行かないって訳にもいかないんだから!よけいなことは一切言わずに、何聞かれても”見合い話でこないだ会ったばっか”って答えるのよ!」 「う、ん」 「どんな人って聞かれても、ばか正直に答えないのよ!”まだ会ったばっかだからよくわかんない”アンタのセリフはこれだけだかんね!判った?キラ。人のウワサも75日、いくらしつこくてもそのうち諦めるから」 「うん、ごめん…ありがとうフレイ。ミリアリアも…」 キラ達が教室につくと、案の定芸能人でも現れたかのような出迎え方をされ、瞬く間にキラは取り囲まれた。 第27話へ→ ◇◇prussianblue◇prussianblue◇prussianblue◇prussianblue◇prussianblue◇prussianblue◇◇ 言い訳:誤解は…解けたのか深まったのか(笑)ミリィ&女優をほっとく訳には行かないので。ところでアスの顔って、「かっこいい」というよりは「派手」だと思うんですけど、秋山だけ? 次回予告:ザラ親子対決!で、滅多にあり得ない「むくれるアスラン」が。 |
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