第23話
「また見失った。探し直しだ」 トールが毒づく。 「まぁこれだけ安全運転してりゃぁねぇ…」 「そんなこと言ったって、安全運転しろって言ったのは、フレイたちのほうじゃんか!それに、ケガでもさせたらあとが怖いよ…」 「いいわよ別に。パパは地球だし、黙ってれば少しくらいはわかんないわよ」 「そういう問題じゃないだろ」 「そう言えばトール?キラ…指輪買ってもらってたわよね?その時にあの彼氏、お金払わずに出ていかなかった?」 「あ!そう言えば。俺たちずっと見てたよな」 「まさか…盗み、じゃないわよね」 「店員も忘れるわけないもんな。それともカード?」 「……。案外、顔パスかもよ。だとしたらすっごいお金持ちね、あの男。キラ…どこで知り合ったのかしら……?」 三者三様それぞれの想像に互いに身震いした。…と、そこへ久しぶりに聞く声がかかった。 「あ〜いたいた!フレイ、ミリアリア」 「え…?あ!カガリ君!」 「携帯で探してきたんだけど、お前らこんな所で何やってんだ?」 三人は意味深に笑い、そして途中から苦笑した。 「キラと彼氏のデートの尾行」 「ま…私たち、キラの保護者みたいなもんだから」 「保護者ァ?」 「恋愛関係限定でね」 「あ”あ”〜〜〜〜〜…っと、そうだ!俺もキラ探してるんだ。今どこにいるか知らないか?」 ミリアリアが苦笑しながら、ため息をついた。 「さっきまで捕まえてたんだけどね。ちょっとした隙に見逃しちゃって……で、朝からこんなことやってるから電池切れ……」 「カガリ君、きょうだいなんでしょ?その端末で探せない?」 「ここもダメか〜。探せないから、お前らを探してきたんだがな」 「え?カガリ君もバッテリー切れ?」 「イヤ、これはキラの仕業だ。キラのヤツ、邪魔されるのがイヤな時は俺との回線を遮断してるんだ。キラのシステムだ……ホストを弄ったって繋がらない。君たちが最後の頼みだったのにな……」 ミリアリアたち3人は心底カガリに同情した。 「ねぇカガリ君、ところでカガリ君はなんでキラを捜してるの?」 「そうだよ!コイツらデバガメ組とは違うんだろ?」 瞬間的にトールは地面に踏みつぶされることになってしまった。 「誰がデバガメよ!」 「私たちはキラの保護者!そう言ったでしょ」 「相変わらずだな。…で、わざわざここまで来たのは、キラにどうしても確かめたいことがあるんだ。そう言えばフレイ、キラと…一緒にいる男の姿はもう見たか?」 「え?キラの彼氏?ま…ぁ、一応」 「そいつ、どんなヤツだった?」 「どんなっ…て、すっごい美形だったわよね?」 「うん。確か髪は藍色で…肌は色白…瞳は……緑?か、青っぽい緑だったかな?背は高かったわよ!キラより10pくらい上で、格好の割には若そうに見えたけど……それがどうかしたの?」 カガリは、やっぱり……とつぶやき悲愴な表情で手で顔を覆った。 「ソレ……ユウナじゃない……。やっぱり人違いだ!」 「……え?」 「キラは…会うべき人を間違ったんだ。ミリアリア!キラを、最後に見かけた場所、判るかッ?」 「最後…えーと、市内の超有名宝石店だったと思うけど……」 「判った!サンキュなッ」 気づいた時にはカガリは風のように去っていった後だった。 「あれでよく判るわねぇ……」 ミリアリアがぼそりと漏らし、トールが弁護する。 「んまぁ、このヘリオポリスじゃあそこしかないしなー。おおかた想像つくっしょ……」 「まぁねー。でも行ったってもういないと思うけど…」 現実的なフレイのツッコミ。 「知らない!でも唯一のツールが使えないんじゃ、闇雲に探したってダメってことよね〜。どうするフレイ」 「あの運転よ!トールの車で探したって捕まるわけないじゃない。あ〜もう!悔しいけどこれでおしまいねぇ。今から言ったってサイは協力してくんないし、カズイは来ないだろうし……」 「そうね。明日、キラを問いつめるしかないわね。ごめんねトール、こんなことに付きあわせちゃって」 「いいよ。俺だってウワサのキラの彼氏を見ることはできたんだし……コリャ明日っから大騒ぎだぞキラ」 「まぁねぇ…アレだけ劇的な現れ方すればねぇ……」 フレイがあきれ、臨時結成キラ追跡隊はお開きになった。 「なんか疲れちゃったし、お茶して帰らない?」 「あ、いいわね。キラはキラで楽しんでるんだから、私たちがケーキ食べたくらいで罰は当たらないわよね」 第24話へ→ ◇◇prussianblue◇prussianblue◇prussianblue◇prussianblue◇prussianblue◇prussianblue◇◇ 言い訳:いんやぁ、秋山もカガリの行動力を甘く見てました。ここで乗り込んで来なきゃ、カガリじゃないね。やっぱ。 次回予告:展開が変わります。少しずつ誤解が解けていくんですが、なんとアスランに怒鳴られ、キラは怯えてしまいます(ぇ) |
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