第13話
キラはと言うと、ぶっちゃけ目を回していた。 TVドラマのようなキスをされ、ふわふわする感じにどうしていいか判らず、どこかすがるものを探して無意識にアスランの上着の裾を握りしめる。 そうこうしているうちにピンチを迎えた。 く…っぐる”じい”ぃぃい”〜〜〜〜〜っ!なんでぇ? 「んーーっんーーーっん〜〜〜〜〜ッ………」 アスランがほどよく空気の通り道を開けてくれたおかげで、やっとこさ呼吸ができる。 …出来るのはいいが、彼はいっこうにキラを離そうとはせずに未練があるかのようについばむようなキスをくり返していく。 ついつい漏れる生々しいキスの音に、キラは頭に血がのぼり、そのまま意識を手放した。 ガックン! 「………?アレ?」 気がついた時にはもう遅かった。キラは見事にアスランの腕のなかで目を回していたのであった。 「あちゃぁ〜〜!やりすぎたかな〜……」 そうか!ラクスにとってはファースト・キスだったんだ…とアスランは今さらながらに思い返した。 自分は慣れてるものだから、ついつい思うままに深く口づけてしまった。 彼女が苦しがるから、やっと気がついて口を離したものの、せっかくのチャンスを堪能したくて、なにも考えずにのめり込みかけていたところだった。 「アブナイ、アブナイ……」 ラクスに嫌われでもしたら元も子もない。…と言うより、今の自分が立ち直れそうになかった。 さすがに気を失っているところを襲うような悪趣味でもないので、彼女をベッドに寝かせ、自分はそのそばに腰を落としてその瞳が開くのをひたすら待った。 また…その綺麗な紫色の瞳を見たかった。 まもなくキラが気がついた。おたおたと慌てる彼女に優しくほほえみかける。 「ごめん…気持ちが先走っちゃって、つい。でも、君も同じ気持ちでいてくれて嬉しかった」 「あ……ぼ、く…あなたと、キス…」 キラの視線はどこか一定していなかった。無理もない。やりすぎたのはアスランのほうなのだから。 「うん。しちゃった。でも……君も俺のこと好きなんだって判って、正直ホッとしたって言うか……すごく嬉しかった!」 「好、き……?」 「うん、わかんない?じゃ、今度は軽くするから、俺の目をちゃんと見てて」 アスランは再びキラを引きよせ、今度は本当に軽く、触れるだけのキスをする。 それでもチュッと以外に大きな音が響いて、キラは初めて自分が真っ赤になってることを自覚した。目がまともに合った。 「……ぁっ………」 「俺は君のことが好き!好きすぎるから、大事にしたい。だからね、明日はここを10時に出て2時半のシャトルに乗るから、今日はもうシャワーを浴びておいで!」 「…ぇ?」 「着替え、持ってきてなかったら備えつけのバスローブがあるから」 なおも呆然とするキラに苦笑し、それから優しく微笑んでアスランは彼女をバスルームに誘った。 「先に入っておいで。今夜は早く寝なくちゃ、明日起きられなくなっちゃうよ」 「うん」 キラはいまだにボーっとし続け、頭をぶるんぶるんと振り、意味不明の独り言を呟きながらバスルームに消え……15分後にちゃんと出てきた。 アスランは彼女がのぼせていないのを確認して、今度は自分が入る。キラが使った石けんの香りや、ほのかな彼女の残り香がふわっと感じられて、柄にもなくアスランは真っ赤になった。 アスランがバスルームに消えてまもなく、キラの携帯電話に着信がかかる。発信元はオーブ行政府。 なんだか嫌な予感がしつつキラが電話に出ると、相手はカガリだった。久しぶりのきょうだいの声にキラの声が弾む。 ……ところが!数十秒もしないうちにカガリと口論になった。 カガリが「ユウナはとんでもない変態だから今すぐそこから逃げろ」と言ってきたからだ。 確かにさっきまでキスされて僕だって初めてでふわふわしてたけど、それって別段変態なんかじゃないよね!だって父さんや母さんだっていつもしてるじゃない! さっきだって「大事だから、なにもしない」みたいなこと言ってくれて…ユウナさんって優しくてしっかりした人だよ! カガリのヤツ、僕の双子のきょうだいだからって、ヘンに心配しすぎるんだ。 結局僕は怒って電話を切って、そのままじゃ怒ったカガリに乗り込まれるから、携帯電話の設定を「迷惑電話撃退モード」に切り替えておいた。 (ユウナさんは優しい人だよ!カガリは心配しすぎなんだ、彼のこと知らないからそう思うんだよね) 第14話へ→ ◇◇prussianblue◇prussianblue◇prussianblue◇prussianblue◇prussianblue◇prussianblue◇◇ 言い訳:シャワー→即エロにならないところが秋山。そう、この状況でヤっちゃったら、キラにとっちゃ単なる強●なので………。 次回予告:カガリサイドとアス×キラサイドを1話に凝縮。キラと一緒のベッドで、アスランの鼻は伸びまくります(笑) |
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