プルシャン・ブルー

第11話



 ウズミとの面会中、カリダに電話がかかってきた。相手はキラからだった。

 そしてその内容は、カリダと、そばにいたウズミを驚かせた。





「えっ?ユウナさんにお会いしたの?あ…でも、キラ……」


 カリダは不思議に思いながらも、キラがもう少し話をしたいと言うので、そうしなさいと言って電話を切った。


「カガリ君、間に合わなかったのかしら?キラ、ユウナさんにお会いしたって……」



「カガリが怒って飛び出していったのが昨日のことだから、まさかとは思いますが…」





「でも何だか話が弾んでいる様子で。キラ…喜んでいる感じだったから…特に止めなかったのだけど…」


「よくは判りませんが、二人ともいい雰囲気なのであればよいことではありませんか、ヤマト夫人」

「ええ、そうですわね」





 そう、脳天気な二人はほやや〜んと満足していた。彼らはゆっっっったりと親としての幸せをかみしめ、そしてカリダは帰っていった。


「カガリ君にお会いできなかったのは残念ですけど、またお会いしたいと申し伝えてください」



「ええ。どうぞヤマト夫人もお気をつけて」





 夜遅く、どうしても抜けられなかった式典(+α)からダッシュで帰ってきたカガリは、父ウズミの喜色満面の世迷い言(カガリ実感)を聞いて卒倒しそうになった。



「キラがっ……ユウナと、会ったってぇえええ〜〜〜〜〜ッ!!!!!」


 オーブの獅子の威厳はどこへやら。ウズミは息子のなすがまま、がくんがくんとその身を揺さぶられる。



「そんなこと言ったって、もう会っちゃったって本人から連絡があったし、なんかおたがいいい雰囲気だそうでな〜」





 ぽやぽや代表首長の言に、カガリの顔が一気に青ざめた。サーッと血の気の引く音まで聞こえてくる。

「なんで判らないんですかっ!それはッ!世間知らずのキラが、あのスケコマシ変態にコロッと騙されてるだけなんですよっ!!!」



 ああっこんなコトしてるヒマじゃなかった!キラを救いに行かなきゃ!……ッとそれよりも先に電話して、これ以上変態に近づかないようによぉ〜く言っとかなきゃっ!

 揺さぶり続けて目を回した代表首長を、その辺にゴロッと投げすて(←ヒデェ…)、カガリは備えつけの受話器を乱暴にあげ、キラに電話をかける。


 電話は思ったほど繋がりにくくはなかった。





「キラっ!キラか!」


「あ、うん!カガリ!久しぶり!元気だった?…あ、それよりもおめでと!カガリはもう次のオーブの国家主席なんだよねぇ〜」



 のほほんとしているキラに怒りがつのる。そんなヒマないだろう!とカガリは焦りまくった。

「それよりお前ッ…ユウナと会ったって、本当か!」


「うん!会ったよ!ホントはね、最初話聞いたとき、僕も全然乗り気じゃなかったんだけどね、会ってみたら彼気さくで、すごく優しくて……もう少し話してもいいかなって思っちゃって…」



「バカキラッ!なに考えてんだ!そんなこといいから、お前は今すぐ行政府へ戻れ!」


「なんで!彼、ヘンな人じゃなかったよ!カガリは彼を知らないからそう言うんだ!」



「ばか野郎!それがアイツのいつもの手段なんだよ!ユウナのことはガキんときからよぉぅく知ってる!キラ、悪いこと言わないから、今すぐ逃げろ!アイツはとんでもない変態野郎なんだ!お前をコロッと騙して、いかがわしいコトすることしか考えてない!」



「そんなことないもん!話だって合うし、優しいし、帰りだって僕を送ってってくれるって言ってくれてるもん!!!」



「だ〜か〜ら〜アイツの手の内で踊らされるなキラぁあっ!今はまだ無事なんだな?アイツは今どこにいる?とにかく身一つでもいいからそこから逃げるんだ!」


「言ってることわかんないよ。彼は今シャワー浴びてる。僕はもう少し話していたいからここにいるよ。もぅ、訳わかんないこと言うなら切っちゃうよ!」



 キラは怒って通話を切った。電話の向こうでカガリが何を言ってるかなんて知らない。きっとカガリは兄弟愛が強すぎて、自分を心配しすぎてるだけなんだと、キラは信じ込んでいた。





 ツーッツーッツー………。


 切れた電話を握りしめながらカガリは石になっていた。

 ホテルの部屋のキーはとっくに返してるし…キラは今どこかの部屋にいて、ユウナはシャワー中……そ…それって、要するに………ひどく現実感のする想像が、脳裏にこびりついて離れなかった。


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言い訳:
勘違い街道突っ走ります!手始めはカガリ君です。ちょっとウズミさんの扱いがひどいけど(笑)

次回予告:アスキラデート編に戻ったとたん、スケコマシアスランは早くもキラのファーストを奪います。今回手ェ早そうでなかなか進みません。それはテーマがああ勘違いだから(汗)

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