第10話:Side Kira
当初の予定に反して、ユウナさんとは話が弾んだ。気の置けない人で、とてもオーブの政治家のお坊ちゃんとは思えない。もしかして僕は良い出会いをしたのかな?他の人はどうか知らないけど。 「あれ?ヘリオポリス?オーブのコロニーなんだ?」 彼がメアドホストのことを聞いてきた。 あれ?伝わってなかったのかな?ヘリオポリスに住んでるって……ああ、そうか、ユウナさんも乗り気じゃなかったって言ってたっけ?じゃ、おたがい釣書書なんてマトモに読んでないよね。 話は楽しかったけど、僕はもう帰らなくちゃいけないから支度を始めた。別に取ってる部屋で母さんだって待ってるはずだ。 「今日はありがとう。初めは、ホントは会ってすぐに断ろうと思ってた。ごめんね。でもまた…」 「もう、そんな時間?もうちょっと話ができないかな?」 う〜ん…それは僕も考えたんだけどね。悲しいかな一日は24時間なんだよ。 そしてもう部屋の窓から夕日が差し込んでいるんだよ。 「うん…でも、シャトルの予約が……」 「俺も、プラントに…アプリリウスに帰るからさ……シャトル、一緒しちゃダメかな?」 「え?」 僕はびっくりして慌てて彼のメアドを確認する。あ、ホントだ。アプリリウスになってる。 「携帯のアドレス、アプリリウスなんですね。プラントに住んでるんですか?」 「仕事の関係でね。今、アプリリウスにいるんだ。だから、ヘリオポリスならちょうど途中だろ?」 あ、お仕事か。そうだよね、オーブの政治家の息子さんだからオーブに住んでなくちゃいけないってことはないもんね。彼もコーディネイターだから、プラントで仕事を持ってたって別段おかしいことじゃないし……確かに、地球より仕事になるかもしれないなぁ。 オーブはナチュラルもコーディネイターも両方住める国だけど、他の国ではちょっと関係がぎくしゃくしてるところもあったりする。 どっちに産まれても、難しいよね、こういう問題は。 「電話してみる」 そう言ってちょっとでも電波状況の良いバルコニーに出た。母さんに送ってもらうことにした、って言ったらすごくびっくりして。そりゃそうだよ、僕だってびっくりしてるんだから。 母さんはユウナさんに会ったの?みたいな言い方してくるから僕はちょっとかちんと来た。 大丈夫だよ!僕だってもう年端もいかない子供じゃないんだから! 「うん……うん、え?ちゃんと会ったよ!ウソじゃないよ!……うん、僕ももう少し話したいから…」 母さんはしばらく不思議そうな感じだったけど、もういい加減僕のこと信用してよ! 「…うん、あとで、彼が途中まで送ってくれるって………え?……う〜ん………かもね?」 「良いけど、ちゃんと帰ってきなさいよ」 なんて母さんが言うから僕は笑いながら、当たり前だよ、と答えた。電話を終えたらユウナさんに時間が延びたってこと言わなきゃ! 「あのね、もう少し…話できるよ」 「お許しが出た?」 彼はいたずらっ子のような顔をしてそう言ってきた。 「うん。結婚するって言っちゃった……」 だから僕もイタズラ半分でそう答えたのに、彼はぷっと吹きだし……固まってしまった。 あれ?僕、すべっちゃったかな? 「冗談!冗談だよ冗談!こんな早く決められるわけないじゃん…ねぇ?アレ……?」 あ、しまったなもしかして冗談通じてなかった?ちょっと僕は自己嫌悪。 そう思ってたら彼はイスから立ち上がり、僕のほうに近づいてきた。え?…あれ?一体なに? 動けずにいると僕と彼との距離がなくなってて、気がついたら両手を腰にがっちり回されてしまった。 どうしよう?声…でないよ…。 「あ…あの、一体………?」 僕の声はかすれてた。こんなコトされるのは初めてで、彼が何をしたいのかさえも見当がつかない。 「俺は…このまま一緒にいたいなぁ。結婚……しちゃってもいいなって思ってるんだけど……君は?」 焦りまくりの僕の耳元に顔を寄せられて、あらがえないままの僕に響くいやに低い声。 気にならなかった僕も悪いけど、ユウナさん…「男の人」だって自覚させられて……僕は真っ赤っかになってたに違いない。 あーなんだか…力が…抜けてく………なんで? 第11話へ→ ◇◇prussianblue◇prussianblue◇prussianblue◇prussianblue◇prussianblue◇prussianblue◇◇ 言い訳:やっぱりキラちゃんはこうでなくっちゃ!→何のこっちゃ(笑)ま…勘違いからはじまる恋ってことで…(←今さら…)それにしてもカリダもカリダです。少しは心配しろよ…。 次回予告:ウズミとカリダのぽけぽけ会話をサクッと終わらせて、キラ&カガリの勘違い兄弟げんかが始まります。おたがい思いこんでるので……。 さてv次回からシリアス風味のコメディ路線で突っ走ります!←諦めちゃってください、所詮こ〜いう頭なのよ……。 |
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