MS戦隊オーブ5

 

第9話:デュランダルのなしえなかったこと

 


 イザークの怒りはもはや頂点に達していた。いつキレてもおかしくない
常況だ。


「撤収するぞ!」

「なぁ〜俺たちいつ基地に帰れんの〜車中泊ならぬ
機中泊はいい加減辛いぜ?」


「うるさいッ!次!129q先っ30分以内に現着だ」

「ええ〜〜〜〜っ」



「それもこれも全部アイツらのせいだッ」


「そりゃ認めるけどよぉ………」



 彼は激怒する。

「通信が入ってるんだ。行かないわけにはいくまい。すぐ隣町はZAFTの重要な基地がある」


「へいへい。行きますよ。行けば良いんでしょ…ってかさぁ〜、いい加減アイツらにも動いてもらわねぇと、俺たちだけじゃ辛いぜこの強行軍…」





 ディアッカはぼやく。

 さもありなん。彼らはもう1週間こんな暮らしだ。いくらコーディネイター、いくら軍人だとは言ってもさすがに
体力の限界というものはある。





 しかし……。


「おぉ〜〜〜い!ZAFTの人たちが来てくれたぞ〜〜」

「ああっ!ZAFTの軍人さんだぁ〜」



「こっちですこっち!もめてるのは。もうどうにかしてくださいよ〜」

「しかも、政治に宗教絡んじゃって…ひどい派閥争いで、我々には手が打てませんよ……」



「………」

「…………………」




「ど〜するよ…?」


「行くしかないだろう行くしか!
「俺たち」がだ!



 軍事に関すること以外、いささか苦手な分野だ。しかも特に宗教がらみではちと厳しい。それでも行かねばならない理由があった。なぜならば………。

「なァ〜〜〜いい加減アスランやキラたちにも出てきて貰わねぇ?どー見たって向いてないでしょこんな揉め事」


 すると間をおかずして、正しい状況判断が帰ってきた。

「役立たずはほっとけ!」



 ディアッカは思う。

(猫の手も借りたい!)

と。





 せっかく国際平和維持活動が、国家公認で出来るようになったわけだし、アイツらにも相応の働きをしてもらっても良いはずなのではないか?

 しかも、
通信画面を見る限り、のんびりとお茶を飲みながら、うまそうな茶菓子をボリボリつまんでいる光景にしか出会えない。つまり、



(お前らそんなにヒマなら、ちったぁ手伝いやがれ!!)



と…強烈に……それは強烈に思うわけである。


 どこからどう見たって、自分たちだけこんなに苦労してるのに、
良い機体、最高クラスの実力を持ちながら遊びほうけている彼らを見る限り、ふつふつと沸き上がるこの不条理感!





 けれども、

「ああ〜〜〜ZAFTの方々が来てくれれば、この国も平和に暮らせます〜。ありがとうございます〜〜」


 などと涙ながらに言われれば、やはり自分たちが行かなければならないのかな?なんて気分にならないわけではない。



「なぁ…イザーク。これ終わったらさ〜キラにでも言ってみない?この話…」

「判ってるッ!」


「別にアスランに会えとは言わないからさ〜〜〜」



 アスランは、イザークのケンカ友達ではあるが…お世辞にも仲がいいとは言えない。会えばすぐさまケンカになるだろうことは容易に想像が付く。


 だが、
キラさえ騙せ……じゃなかった、説得できれば、事態は一気に好転するかも知れない。そこに賭ける余地は充分にあると思われた。





 その頃、オーブ。


 多大なる期待の元に結成された『MS戦隊オーブ5』。そのメンバーに早くも
難題が突き刺さっていた。


−月例活動報告書を提出するように−


「僕たち…なんかしたっけ?」

「そう言えばここ1ヶ月……平和だったな〜、キラ」


「うん。おかげでみんなとずっと一緒にいられて、僕はとても楽しかったよ。そう言うことを書けばいいのかなぁ?」


「「キラさん!それ違いますから!!」」


 シンとルナマリアのセリフがハモる。



「え?そうなの?でも…MSは結局出さなくて済んだし…そりゃぁ、マリューさんやバルトフェルドさんは忙しかっただろうけど……でも、本当はそう言うことにならない方が平和でいいんじゃないの?」


 やはり恐るべし!最高のコーディネイター。
言っていることは正しいが、それでは全く活動報告にならない。



「悲しいことに
いささかの紛争はあったようですが、いくつかの地域はイザークさんやディアッカさんが頑張って解決してくださったようですわ」

「そうだったの!ラクス。ディアッカたちが行って話して済む程度なら、ほらやっぱり
僕たちが行くほどひどくなかったんだよ!」


「そうだな……キラ!俺たちには人並み以上の力があるんだから。よく考えないとな」

「うん!そうだよやっぱv」



 キラは
のほほんと、最高のほほえみを振りまきながらティータイム。イザークとディアッカの決死の活動は全く伝わっていなかった。


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言い訳v:一体何を言いたいんでしょうか秋山は。書いてる自分が楽しかっただけ?あ、語句説明。常況…いつもそんな状態のこと。

次回予告:こんな連中にも活躍の場が!次回!怒濤の最終回は大団円!?←早ッ

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