MS戦隊オーブ5

 

第8話:う痴話もめ

 


「何だと〜〜!
ZAFTに先を越されただと〜〜〜」


 出鼻をくじかれ、カガリは絶叫する。



「そう言う問題じゃないだろう!MSを動かすってことは、それほどに責任のあることなんだ。理念だけでは、どうにもならんだろ」


 そう…
キラさえ絡まなければアスランは常識的でいられるのだ。キラさえ絡まなければ!





「それは…そうだが……一応この
オーブ5も国の機関になってるんだ。国家の威信というものもある」


「でも、良かったじゃないカガリ。本当はこうやってみんな幸せに暮らせる方がいいもんね。僕たちみたいなのは…本当は要らない方がいいんだよ」



 キラは相変わらずお茶を飲んでいる。頭の上にはトリィが羽を休め、周囲をカラフルなハロが飛び交っている。


「一応キラがリーダーなんでしょ?もっとリーダーらしくした方がいいと思いますけど?」

 ルナマリアの言も正しい。



「あんまりキラさんを責めるなよ。キラさん…もともと軍人じゃなかったし…。それに、キラさんだって一生懸命みんなのこと考えてくれてるんだよ」

 シンの言にも、一理ある。しかし、そこは人間。感情はある。


「何よ!シンったら、いっつもキラの肩を持って!もっと私のことも考えてよ」

「考えてるよぉ。でも、あんなことがあったばっかなんだから、できるだけ軍事力に頼りたくないって言うの、理解できるんだ」



 あれからシンはキラに甘い。
恐るべし!最高のコーディネイターパワーだ。





「〜〜〜〜〜っ!だからね、ケンカは良くないってば、ね?ほら、こうして陣営を超えて集まってくれたわけだし、僕たちから先に仲良くしなくちゃ…」

 キラの理解の仕方は
常人の域を遙かに超えている

 戦後処理で組んだローンたまってるし…
とりあえず手っ取り早く稼げるから、と呟いたシンと、就職マジでヤバかったから、とのルナマリアのつぶやきは、キラの耳には永遠に入らなかった。





「キラ、良いんだ。放っておけ。どうせすぐに収まるから…」

 アスランの言は表面上ソレっぽい。


 しかし、キラの
肩を抱き寄せながら、「ねっv」とか言っているあたり、彼は思い切り間違っていた。まぁ、それを言ってしまえばキラもだが。





「っつぅか!どう見てもあんたたちの方が、おかしいように見えて仕方がないんだけど…」

 ルナマリアも、
シンが絡まない限り常識的だ。

「何を言うんだ!俺たちはずっとこうして育ってきたんだ。
親友なんだからそう言うこともするだろ?フツー」


「……………」



 胸を張って言うアスランに、シンは固まる。


「イヤ!親友ならフツー肩や腰を抱いたりしません!」



 ハッキリキッパリ。

「ええっ!!?」


 アスラン驚愕!





「そこ驚くとこじゃありませんから」


「何を言うんだ?小さい頃から、ずっとこんな感じで…キラのご両親にも、仲がいいってずっと言われてきたんだぞ!」


 ルナマリア絶句!



「アンタ今一体いくつですか………」

「二十歳だ」

「正直に答えんで宜しい!!」





「別に良いじゃないか!俺たちの友情を、他人にとやかく言われる筋合いはない!」


「そりゃ、本人たちはそれで良いけど。もっと
外聞とか色々考えなさいよ」



「キラが悲しむことはしたくない」

 アスラン・ザラ。キラさえ絡まなければ、フツーにかっこいい青年だった。





「ねぇルナマリアさ〜ん、それにアスランも。もうちょっと仲良くしようよ」

 そしてここに、内輪もめの原因。



「なぁキラ。
ルナマリアが俺にキラから離れろって言うんだ」

 アスランの的のはずれた発言が火に油を注ぐ。


「えっ?嫌だよそんなの。だって、もう離れないって、あのとき約束したじゃんっ」



「あ〜〜だからね…友達ならもう少し友達らしくしてよって話」


「え?僕たちそんなに薄情かなぁ」

 不安がってアスランを見上げるキラ。



「大丈夫。俺たちは幼なじみじゃないか。普通の友達よりも、仲がいいんだよ」

「うん…そうだよ。そうだよねアスランっ」

「安心した?」

「うん。安心した!」





 ルナマリアのツッコミは……アスランとキラ振りまく強力な薔薇のオーラに阻まれて、二人に全く届かない。彼女の隣で、シンはオロオロしていた。こう言う時に男は役立たずだ。



俺たちはこのままで良いんだよ、キラ」

「そうだよね、アスラン」


「自分は自分、他人は他人だよ」

「うん。僕たちはみんな違うからこそ、未来があるんだよねv」


「キラ」

「アスラン」



「キラv」

「アスランv」



 そして話はどんどんおかしくなっていった。





「ルナ…もう止そう」

「シン〜〜〜私にはあんただけよぉっ!」


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言い訳v:今回のサブタイトルだけは、悩まなかったな〜(笑)

次回予告:オーブ5の連中がこれだけヒマってことは…。&オーブ5に突きつけられた超難関。次回!あっちの水とこっちの水。

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