MS戦隊オーブ5

 

第7話:平和の理念に、たちはだかるもの

 


「なぁ…どうするよ……イザーク?」

「どうもこうもないだろ!これは暴動なんかじゃない!
情報の漏洩と、それに起因するオタクどもの不当な要求だ」


 ここはコミケ会場。





「けどよぉ…一応アイツら呼んで瞬殺されてもらう?」


「バカモノ〜〜〜!
へたれはともかくあいつは被害者だろ」

「………。お前だって一時期は恨んでたじゃねぇか」


「あれはあいつのことを全く知らなかったからだ!知っていればあんなことしなかった!」


 全く!いつもイザークは
キラにだけは甘いんだから……。

 ディアッカは苦笑する。





「とにかくだ!ここは現地の警察に任せて、俺たちは引くぞ」


「あっおい!」

「MSで制圧するほどのことじゃなかろう!だいたい、しばらくほっときゃ自然に鎮火する!」

「ま…それもそーだな。じゃ、俺たちはサッサと帰りますか」


「当たり前だ!帰るぞディアッカ!こんな下らんことにいつまでも構っていられるか!ただでさえ俺たちは戦後処理で忙しいんだ」


「そ〜れに?
こいつらの一部は俺たち狙いだしなァ〜〜」



 そう。彼らの周りを妙齢の婦女子たちが取り囲んでいる。黄色い歓声がただでさえ鼓膜を刺激するのに、
問題はその内容であった。





「キャ〜〜〜!イザーク様ぁっこっち向いてぇっ」

「写真撮らせてくださぁい」


「もうちょっと
ディアッカさんに寄ってくれますかぁ?」

「できれば
寄り添っていただけると嬉しいですぅ〜〜」


「えぇ〜〜〜っ?逆でしょ〜っ」

「やっぱ、
王道はディア×イザよ〜〜〜」

イザ×ディアでしょ!絶対」


「ディア×イザ!」

「イザ×ディアっ」



「…………………」

「………………………」






 遠くで別の声も聞こえる。


「イザークとディアッカがいるってことは、やっぱアスランとキラもいるんでしょ?連れてきてよぉ」


「見たい見たい〜〜」

「アス×キラ生で見たい〜っ」


「キラ×アスも良いよ。おつなものよ」

「両方撮ろうよ!
生写真v





「………………………」

「………………………」




「脱出にMS要るんじゃね?」


「やはりこのままでは身動きが取れんか…」



「決まりだな」

「行くぞディアッカ。ダッシュだ」

「おぅよ。じゃな、お前ら!元気で暮らせよッ」


 ディアッカが会心の笑みを振りまきながら、一瞬だけイザークの肩を抱く。その光景に女の子たちがバタバタ倒れていった。



「ディアッカ!貴様!」

「仕方ないじゃん。手っ取り早いだろ?ほら行くぞ、こいつらが気づく前に機体に乗り込んで………
逃げるッ


「クソッ!非常手段もやむを得んか」





 アジア上空。イザークとディアッカが「逃走」中、通信が入ってきた。


「あれ?めっずらし。アスランじゃん…」

「まぁ、ヤツならZAFTの通信周波数はよく知っているからな」



 ディアッカがディスプレイの前に立つと、見覚えのあるアスランの姿があった。


「はいはい〜。どした?アスラン、お前オーブに亡命中じゃなかったっけ?」

「ああ、オーブからかけている。ところでディアッカ、こちらにも暴動の情報が入ってきて…それでお前らが行ってるって聞いたんだが、何があったんだ?」



「……………」

 それは………到底言える内容のものではなかった。



「ディアッカ?」


「何でもねぇよ…な?イザーク」

「あ?ああ………何でも……ない…」




「…の割には、ろれつが回っていないぞ」

「お…俺たちでさえ、「危なかった」んだ。お前らには行かせられない」


「何があったと言うんだ?そんなに危ないなら俺たちが応援に…ッ」



「いぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜や!絶ッッッ対に、ダメだ!」



「ディアッカ!」

「行ったら…殺されるぞおまえ……」


「ハァ!?」




「とにかく、お前らはでてくんな!」

「サッパリわからん!」


「人生…知らなかった方が良かった……なんてこともあるんだよ。特にキラ…お前もな」

 と、あらぬ方向を向いて呟いた途端、トラブルは増えた。



「え?何?僕がなんだって?」


「キ…キラ!あ〜〜〜〜〜〜〜あのな、キラ。その〜行ったら………」


 ディアッカは返答に窮する。しかし!ここはキラを納得させなければならない。

 ウソでも何でも…キラさえ納得すれば、
小舅(アスラン)が黙る。コーディネイターの頭の中で大量の情報が処理されていった。





「行ったら…?」


「せ…政治的なデモ集会、だった」

「なんだ、そうだったの!びっくりしちゃった。でも、僕たちも行かなくて良かったね」



「え?キラも行くつもりだったのか?」

「そう言うことができるようになったんだ。僕たちだって手伝えることがあるって…カガリが」



「あ”ぁ”〜〜〜…」



 驚愕は音もなく舞い降りた。




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言い訳v:急行してたのがオーブ5の連中だったら、暴動は沈静化するどころか火に油を注ぐ状態だったでしょうねぇ…。

次回予告:カガリの悲痛な叫びもバカップルどもには届かない〜。次回!ここがヘンだよコーディネイター。

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