MS戦隊オーブ5

 

第6話:新しき世界が知る未来の真実

 




 通信が入った。

「キラ、早速指令だ。私は会議中で抜けられないが、ラミアス艦長から詳しい話を聞いてくれ」


「会議?」

「ああ。議会は今、
議員の辞職の話でもめているんだ。第3セクターの工事で、インサイダー取引をしたという嫌疑がかかっていてな」



「そっか、カガリ忙しいもんね。ごめんね」


 
オーブは…今日もとても平和だった。





「じゃぁ、早速機体の起動にかからなきゃなんないんじゃない?」


 
キラに腑抜けになっているアスランはともかく、シンとルナマリアはついこないだまで正規の軍人だった。こういうことに関しては、思考回路も行動も素早い。



「あ!ちょっと待ってよぉ〜」

 
ぽやや〜んとしたキラの言いように、シンは少し呆れ、ルナマリアは苛立ちを隠せない。

 そうこうしているうちに、被害はどんどん拡大していくことだってあるのだ。こんなところで、ぼけっとしている暇はないはずだ。


「今からなら、AAは無理だけど輸送艦と機体を起動させれば、1時間以内には着くはずよ!急がなきゃっ」

「でも…まだマリューさんから何も聞いてないし」


「そんなの…ッ!輸送艦の中で聞けばいいでしょ!」

 ルナマリアの苛立ちはキラには全く伝わらない。



「とにかく…マリューさんの話を聞いてからだよ。
MSなんてものを持ってっちゃ、現地の人が怖がるかも知れないじゃないか」


 その話に…一理はある。

 しかしだ。それでは
何のためのMS部隊だというのだろうか?





「マリューさん、マリューさん。居る?なんかカガリから、話を聞いたんだけど…」

 キラは全く気にすることなく、マリューに電話をかけた。



「あ、キラ君。聞いての通りよ!アジア、日本の東京で暴動が起きてるわ」


「場所は?」

「国際展示場」


「人がいっぱいいるんですね。MSで行かない方がいいのかなぁ?」



「ちょっと!何言ってんのよ!
人混みの中に身一つで行ったって、はぐれるだけでしょ!」

「そうですよ。暴動が起きてるんだから、
迷子になっちゃったらいっかんの終わりですよ」

 シンとルナマリアの
正しい見解。だがそれすらも電話中のキラは聞いていない。



「人がたくさんいるんだ。MSで行って、踏みつぶしでもしたらどうするんだ!」


「……ってか、アスラン!あなたもキラの味方ばかりしない!」



「そうですよ。第一、キラさんが迷子になっちゃったらどうするんです?ラクスさんが心配しますよ」

「ラクスは大丈夫だ!それに…俺は
キラがどこにいようとも、一瞬にして居場所がわかるから問題ない」



 絶句!



「隊長…アンタキラさんに発信器でもつけてるんですか?」


「そんな姑息なこと誰がするか!
愛さえあればLOVE IS OKだ!」



「アスラン…ソレ……
露骨にイヤらしいですよ」

「何を言ってるんだ?ルナマリア。友情だよ。強いて言えば…
人類愛だな」


「……………」

「…………………」




 唖然呆然。

 アスランが再びZAFTを裏切った理由………ソレはきっとこれだろう。


 シンとルナマリアの頭の中に流れ来る、怒濤の情報と強烈な不条理感。

 
この二人はもう引き返せない場所にいる。最低限のつきあい以外、この二人に深く関わってはならないことをシン、ルナマリアともに実感した。





「あ、キラ君……バルトフェルドさんが新しい情報を得たみたいだから、そっちにつなぐわね」

「お願いします」


 そこへ真横で話を聞いていたアスランが声をかけた。

「キラ、みんなのことだから、みんなで聞けるようにした方が良くないか?」


「そっか!ごめんねアスラン。じゃ…とりあえず………
らっくらく手ぶらお喋りモードね」


 
ピッ!


 キラの操作とともに、電話はいわゆる「スピーカーフォン」状態になった…途端、とんでもない保留音楽が流れてきた。



 
♪オーブ!オーブっ!オーブ、MS!MSファイブぅ〜〜!せっかい〜のぉ〜、平和を〜〜〜堅く守るため〜、僕らは行ぃく〜よ〜〜。この世〜の〜果ぁて〜も〜〜。困ぁった人も〜悲しい人も〜、僕ら〜に〜ま〜か〜せぇて〜くれな〜〜〜。MS!MS!!MS戦隊!オォオ〜ブ〜ファイィブゥゥ〜〜〜!♪



「…………………」



「呆れて、ものが言えないわね…」

「既に歌まで作ってあるんですか…。しかも
なにげにフルオーケストラ、フルコーラス…」





 ピッ!

「あ、はいはい〜。バルトフェルドさん、何か新しい情報が入ったって聞きましたけど?」


「おぅ、キラ…喜べ。
行かなくても良くなったぞ」

「え?どういうことですか?」

「今現地にイザークとディアッカが行っている」


「わぁ!良かった!じゃ、安心ですね〜」


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言い訳v:タイトルは交響組曲『種です』から拝借。…で、中身。こいつらは他カップルのことになると極端に冷静になれますから(笑)一人一人はこんなにもオカシイのに……(笑)

次回予告:世界の平和と安寧はイザークとディアッカによって保たれている。次回!大戦の英雄が見た真実。

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