桜国ものがたり〜君と僕、あの日の約束〜

 

第21話

 








































































 イザークとの接触をギリギリで回避して、キラは後宮…ラクスの元へ上がった。


「ただいま…かな?ラクスさん」

 するとラクスはキラの顔を見た途端、ぱぁあっと花が咲くように笑って彼女をがばっと………押し倒した。


「あぁあ〜〜〜!わたくしも会いたかったですわぁ〜〜〜っキラ様ぁっ」



「えっ!?」

 キラは驚愕した。今、ラクスはキラと呼ばなかったか?


「お待ちしておりましたのよっ!わたくし…どれだけキラ様がこちらにいらしてくれるのを待ち望んでいたことか。もぅ…こんなにもラクスを待たせるのは、よくありませんわよv」


「ぁ……ぁの…ラクス…様?」



 キラが面食らっていると、彼女はキラにすがりながら声のトーンを落とした。

「ええ、判っていますのよ。今目の前にいるのがキラ様で、1年前まではカガリだったこと」


「ラ…ラクス、様っ」

「ラクスとお呼び下さいな〜キラ様vカガリにもそうさせてたんですのよっ」


「あ…ぇと……ッ!!!ってか、ドコ触ってるんですかっラクスさんっ…ぁっ……ゃあッん」



 キラを押し倒していること、そして身分が上であることをいいことに、ラクスはキラをそれはベタベタベタベタ触り倒した。


「ラクスをこんなにまで待たせた罰ですわ!この極上の触り心地の肌はわたくしのものですっ」


「ぁんっ…ゃっ………ラク…ス……さ………きゃん…っ」


「まぁっ!素敵ですわ!感度がお宜しいのねっvお胸ももう少し大きく、見栄えよくしましょうねぇ〜v」



「ぁ…あのっ……」


「美しいですけれど、今のキラ様にお着物は邪魔ですわ〜。さ…この部屋にはラクスだけですもの。遠慮なくお脱ぎになってvわたくしにその可愛らしいお姿を見せてくださいましv」



「あのぉ〜〜〜〜っ」


 キラの悲鳴はラクスには届かない。

 彼女はちゃっちゃとキラから着物を引きはがし………彼女の腕の中で見事に半裸になった彼女の敏感な部分を、その白く繊細な指で触りまくった。キラがそのたびに、つやめいた声を上げたのは言うまでもない。


 その声を間近で聞きながら、ラクスは可愛らしいと、キャーキャー言いながら大喜びだった。



「ああ素敵!キラ様のお身体はとっても正直ですのね!柔らかくて形の程良いお胸v、すべすべの玉のお肌v、そして、何よりも素敵なのはキラ様のこの…「言わないで!ゃんッぁっあッ!!!」


 などと、文字通りキラが黒ラクスに「襲われて」いる最中………少し離れた物陰で、水がこぼれるような音がした。





「ああっ!どうされたんですか!」


「あ…いや、すまん。ちょっと…鼻血が………」



「ちょっとどころじゃないですよその量!」

 メイリンが真っ青になったのも無理はない。今、目の前で見てもまさに「だばだばだばだば〜」という擬音がピッタリ来るほどの量だった。



「とにかく…一度戻りましょうね、陛下。ラクス様のところへ行かれるのはそれからでも………」


「あ…ああ。今の俺には…ちょっと毒かも………」



 だばだば…つつ〜〜〜ぅ〜〜〜。


 流れ落ちる鼻血が止まらない。今日のところは…既にまっすぐ歩けそうになかった。鼻血による貧血を、この日アスランは初めて経験した。





「ふぅ。危機一髪でしたわね、キラ」


「ふぇ?」

「殿方が覗きに来ていましたのよ。あなたのお顔を見れば、一発で解っていたかも知れませんわ」


 殿方…殿方〜と復唱して初めてキラはその唯一の存在に気が付いた。


 こんなところに一人でふらふら来ることのできる男と言えばあの人しかいない。朝な夕なに見慣れたアスランだ。

 ラクスは、全てに気づいていたらしい。改めて彼女の聡明さに胸打たれた。本気で襲われていたことなどすっかり忘れて!



「ラクス様…すごいや!僕…全然気づかなかった……」

「キラ!ラクスとお呼び下さいなv」


 一人称の部分は見事にスルーして、ラクスは再びキラと話し始めた。


 カガリが自分の後見人としてやってきたときのこと。

 すぐさま自分には解っていたこと。

 そして…そのカガリに惚れてしまったことなどを。



「あ、でも…だったら…その、いいんですか?僕たちが入れ替わっちゃったせいで、カガリに会えなくなるんじゃ……」

「ありがとうキラ。でも大丈夫ですわ。わたくしの望みも、カガリに再会することも両方かなえられるように、色々と小細工をするつもり満々ですからv」


 しっかり黒いラクスにキラは何も言えなくなった。


 ちなみにキラが思うに、この分ではカガリの方が分が悪い。

 よくもまぁ、こんな大変な人に惚れられたものだと思う。



「あ……は、ぁ…」





 その後も、終始ニコニコ顔のラクスに振り回され、あっという間に正月を迎えた。

 キラもだんだん仕事に慣れてきて…それでも初めての女性だけの正月にとまどい、早めに自室に帰ってうとうとしていた。

 いくら男に比べてやることが少ないとは言っても、慣れないことばかりで、ラクスやメイリンに助けてもらいながらみんなでお正月を祝った。





「ダメだ………眠すぎる…。今日は…もぅ、寝るぅ………」


 うとうとうと…すぅすぅ……。

 カタっ……そろぉ〜〜っ…触ッ………ゴソゴソゴソ………。



「…………………」


 ここまでされればもうさすがに、いくら鈍くても気づく。

 この感触は…間違いなく男の手だ!



(やだ…っ!)


 さわゎ〜〜〜っ。



(もう突き止めたっていうの?イザーク…早すぎるよ。でも、ここで起きちゃったらまた逆戻りだよね。こ…ここは、寝たふりしちゃえっ)


 そう思ってキラはぎゅっと自分の身体を抱き込むようにして、防御態勢に入った。………が、彼女を触ってくる手はいっこうにやまない。

 寒気がしてきて、びくっと震えたら、触り続けていた手が止まったので、キラはやばいと思った。


(バレてる………よね、絶対。起きてるの…バレてるよね…)





 これはやばい!焦りまくりながら必死に言い訳を考えていると、男が口を開いた。


「ごめんね。怖がらせるつもりは、なかったんだ」



「!!!」



 キラはハッとした。この声…イザークじゃない!

「だ…誰……?」



 少し怖いと思いながらゆっくり顔を上げるとそこには、ここ何年も見慣れた顔が間近にあって………キラは動けなくなってしまった。


(アスラン?)


「キラっ!」



 ところが最初に声を上げたのはアスランだった。彼は信じられないものでも目の当たりにしたかのように驚愕し、固まっていた。


「ぇ…」


「え?ぁ…いや…キラに、そっくりだと思って………」

 さっとキラに緊張が走った。これはさすがにバレてるか?


 ところがそんな彼女の気持ちなど知らずアスランは続ける。

「ずっと…探していたんだ……」


「探して…?」

 キラの中で、符号が重なろうとしていた。


第22話へ→

言い訳vラクス→カガリに一目惚れ。アスランはラクスの異母弟。…と言うことは、アスランもラクスも同じ人を好きになる可能性があるのです。ネタバレ、ネタバレ!

次回予告
運命の再会。キラの記憶の中の純朴な彼は、成長し…エロスランになっていた(ブバー!)あと少し…お付き合い下さい。
























































































































































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