「え…新しいお母様……ですか?もう?」


 ここはプラント王国の王都ストライクフリーダムにある王城。



 いきなりすぎる父の話にキラは困惑する。

 それもそのはず。ついこの間亡くなったばかりの実母。その葬儀もおざなりに、もう新しい王妃を迎えるというのだ。

 確かに美女好きの困った親ではあったが、こんなんでも親は親とこの18年間自分を騙し続けてきたのも限界に達しようとしていた。



「ちょっと待って下さい!そんな…もう新しいお母様だなんて…」






「君の瞳の中に、俺は居ますか?」

<第1話>ミーア・キャンベルがやってくる!





 だが、ギルバートはキラの意見を一笑に付した。


「そんなこと言ったってなぁ、お前ももう年頃なんだし、色々と精神的に不安定な時期じゃないか。本当は私が美しく育ったお前を手取り足取り腰とり…将来を導いてやりたいが、女の子はこのころが反抗期だと言うし……」


「………」



「世間一般の父親なんてどうせ、パパなんて生え際ヤバくて汚い変態親父だから嫌〜い金輪際近寄らないでッ、とか何とか言われて嫌われる存在だし………」



「……………」



「本当は今すぐにでもその胸に、お前の心に飛び込んでいきたいがそうもイカンだろう。ここはやはり同性が一番かと思ってな、年頃も近くそしてわたしにふさわしい容姿の女性を迎えることにしたのだよ」



「……………………。それってよーするに、嫁にするならやっぱ若い美少女だよなぁ〜ムフフフフ………ってことでしょ!それって騙されてるって、何度言ったら判るの!だから変態アンポンタン大王って言われるんだよこの変態親父〜〜〜ッ。もぉ、大ッ嫌いッ」








 ついこないだあったこの会話をキラは回想せざるを得ない。

 なぜならば、今キラの目の前にはその新しい王妃の姿があるのだから。


 ピンクの長髪をなびかせながら、きわどい衣装で、場違いなお色気をムンムンさせて彼女はキラに近づいてきた。



(そんな色気…僕には要らない)


 それはそうだ。キラだって女の子なのだから。



 だが彼女の様子は違った。


 どう?私のほうが胸が大きいでしょ?

 とか、

 顔なら私のほうが負けていないわよ!

 とか…とにかく言われなくてもそう思っているらしいことは一目でわかった。



「初めまして。ミーアよ。ミーア・キャンベル。こんな歳で子持ちのババァなんて思われたくないから、これから私のことはミーア様とお呼び!」



「……………」


 いきなりな高飛車な物言いに、キラでなくても腹が立つだろう。気づいていないのはミーアの容姿に目がくらんでいるあのぼんくら大王だけだ。


「お返事は?キラ」



 加えて初対面での呼び捨てに腹が立った。それでも、この場を収めるため、この国のためと自分に言い聞かせ、ぐっとこらえる。



「………は、ぃ。ミーア様……」


「宜しい。では初対面も済んだことだし、あなたには用はないわ。じゃぁね」



 それだけ言って、ミーアはサッサとこの部屋を出ていってしまった。







「何なんだ…全く!」


 じっさい、ミーアがこの部屋を去っていっても、どぎつい香水の香りが傍若無人な彼女を思い起こさせる。それが嫌で、キラは侍女たちに自室の清掃の後、部屋に塩をまいておくことを頼んだ。



「ごめんね、ミリィ、フレイ…」


「何よ!あんなの!」

「そうよキラ…。あんなの相手にすることないわよ!キラのほうが断然キレイなんだから!ケバいだけのおばさんなんてほっときゃいいのよッ」


 キラは苦笑する。



「まぁまぁ…あれでも僕と同い年だし…」


「キィラ〜、ミーアの肩持つことないのよ!」

「うん、判ってる。ありがとうミリィ」



「ま、とにかく一刻でも早く掃除しましょ!こう香水の匂いがきつくちゃ、ゆっくりくつろげもしないわ!」





 そーいうことで、キラの自室は徹底的に掃除と消毒が行われたのだった。


 ちなみにその部屋は数日間立入禁止になり、後でギルバートが張り紙に気づき、非常に驚いていたらしい。



<滅菌済!一週間立ち入りを禁ず>



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*kiminohitominonakaniorehaimasuka**kiminohitominonakaniorehaimasuka**kiminohitominonakaniorehaimasuka*
言い訳v:ふっふっふ…シリアスを予感させるタイトル!そしてわざわざ作った壁紙!でも、表題と中身は別モノ……いつものことです。
用語説明→滅菌…医療現場などで使われます。菌という菌を全くなくしてしまう衛生法。殺菌よりもかなりキツイです。

次回予告:白雪姫と言えば………なアイテム多出。そして名前は出ないものの、『種です』名物あのお方が登場します(笑)

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