−2008−
世界の歌姫の参戦・後編

 どれほど避けたくても、嫌な日は到来する。そろそろよろしいようですわね、というラクスの一言。現婚約者同士による前日の念入りな打合せ。太陽が美しく昇った夏のある日、二人の視線はキラに集中した。

「お約束でしたわねwキラ」

「どうしても、だ」


「……………うう゛…ッ」


 乗り気はしない。いやむしろ速攻で部屋を出てトンズラしてしまいたい気分だ。



「なかなか初めてのことでしょうから、難しいと思いまして、見本を用意致しました」


 見本。それは……………

(僕の大事なコレクション……)



 キラの大事な萌え系フィギュアたちであった。それが今、約2名の有名人によって引き出され、あられもないポーズをさせられている。しかもその通りにしろという。


「さw時間がありませんのwちゃっちゃとお脱ぎになって下さいなwww」


(………………………)



 人の動く気配に釣られて振り返ると、アスランはスタンバイ完了していた。


「ギャーーーーーー!!!!!!!」



「何が、ギャーだ!キラ、お前も早く脱げ」


「素っ裸になって堂々と腰に手を当てて、デリカシーのないこと言うなぁあああッ!!!」



「そうですわ、それはいけませんよアスラン」

「ラクスまで、何を言うんだ」


「キラさまは本当に可愛らしいお方なのです。もっと優しく女性をエスコートできないのですか!」


 助けてくれるかと思いきや、ラクスの意図は逆だった。



 アスランは少しムッと来たようだったが、気を取り直してキラの元へ手を伸ばした。

「嫌ぁあああッ!変態ぃいいいいい!!」


 素っ裸の男が堂々と女子学生に手を伸ばす。それは露出狂以外のなにものでもなかった。



「仕方がありませんわね。キラさまはアスランがおいおい脱がすとして、半脱げでもそれはそれで萌えるのでは?」

「ああ!そうですね。とりあえずそこから始めましょう」


(真面目な顔して萌えるとか言うなぁああっ)

 キラは叫びたくなる。

 そう、昨日まで散々二人はフィギュア片手に萌え〜っ萌え〜〜っとくり返しながら計画を練っていたのだから。





「もう!どこでそんな言葉覚えたのっっ」


「え?だって、キラさまのケータイサイトに沢山…」

「書いてあったよな?確かに萌えるよな、コレ」



 し・ま・つ・た・!!!!!



「…ってか!いつの間にサイトを!!!」

「キラさまがケータイを手放される隙はいくらでもありましたわ」



 ち〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん……………。





 やられた!キラの完敗だった。大好きなフィギュアちゃんたちの写メをガシガシ撮っては、無料のケータイサイトにUPしては幸せに浸りまくっていた生活が見られた。


「…………………」



 茫然自失している間に、キラは着々とラクスの毒牙にかかっていった。気がついたのは下着姿でアスランに組み敷かれたときで。

「ぁああぁあぁぁぁああぁあぁッ!!!!!」


「キラ、準備は良いか?」


 アスランが目配せする。その先には三脚に固定されたプロ用デジタル一眼レフがあった。



「こんな…初めてが見られながらだなんて……」

 キラが本気で悲しんでいると、ラクスがキラに声をかけた。


「ラクス……さん?」

「申し訳ございませんね、キラ。本当に初めてのようですから、辛いですわね。少しわたくしは席を外して参りますわ」

「ラクスさん…」


「大丈夫です。悪いようには致しません」





 ラクスが急に抜け、部屋がしんと静まりかえる。改めて自分たちの格好を意識してキラは真っ赤になった。


「あ、本当にドキドキしてきた?」

「だ…だって、こんな……」



 下着姿で裸の男に組み敷かれている。よく見てみれば顔も、スタイルも良い。キラはちょっぴりドキッと来た。


「ちょっとだけ…触っても良い?」


 不安そうな声にきゅんとなってしまう。


「………ぅ、ん…」





 場の雰囲気に呑まれ、ついでにそのままアスランにも飲まれてしまった。


 二人っきりというのは、本当いけないと思う。

 でももう遅かった。





 後日写真が出来たと言われて驚愕した。

 ラクスは居なかったのに!と思ったら「オートにしておきましたので」とニッコリして言われた。


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言い訳v:本番は各自ご想像下さい^^;いや、だから……ごめんwww

次回予告:ミーア来襲!!!トイレのドア攻防戦(笑)

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