−2008−
世界の歌姫の参戦・中編

 大学からアパートに帰る足取りは日に日に重くなっていった。


 アスランがラクスとの婚約を解消したい気分はものすごくよく判る!こんなことになっていなければ、今日からでも友だちの部屋に泊めて貰いたい。





「キラさま!!!」


 うん、もうフツーに出迎えてくれるんだよね。しがない学生の狭いアパートの部屋で、世界の歌姫が。それだけならこんな幸運、絶対夢を見てるんだと自分に言い聞かせることが出来る。

 それだけ…なら、ね。



「た……っただ………い、ま………」

 声が引きつる。ムリもない。帰った瞬間「のどが渇いたでしょう」とか言われて嫌でも手に持ったジュースを飲まされるのだから。


「はい、キラさまwww」



「………………は、ぃ……」

 キラは諦めてラクスの手からグラスを受け取って、一気に飲み干す。果物なんか入っていないのにバナナとマンゴーを足して2で割ったような味がした。

 その正体は豊乳促進ジュースなる代物で、キラが今まで無縁だった世界。そのおかげなのか確かにわずか1ヶ月でブラがキツイ。


 いや、ヒマさえあればラクスが揉んだりヘンな器具を使ったりしているせいも充分あるのだけれど。





「大っきくなったら元には戻んないよね…ぇ……?」


 さすがに聞いてみる。今さら無駄なあがきだとは思うけれど。



「スタイルが良くなるだけですわ」

 うん、ラクスに聞いたのが間違いだったよ。



 ま、アスランもオフの度にこの部屋を訪れてへんなポーズの研究をしたり、僕の体を見てにんまりしながら「順調なようだね」とか訳の分かんないこと言ってるから同罪なんだけどね。


 たまに泊まっていった際も、服を脱ぎっぱなしで部屋の中をウロウロしてることもよくある。

 ラクスさんは慣れているようで気にしていないみたいだけど、さすがに僕は目のやり場に困るよ!目の前を当たり前のようにパンツ1枚の男が歩いていくんだから!


 服を着てくれと頼んでも、面倒くさい、パンツは履いてるんだから良いだろ、の一言で純情少女の懇願はスルーされてしまう。



 うん。ラクスから離れたくなっても、アスランのところには行きたくない。こんなデリカシーのない男が彼氏だなんて口が裂けても言えないよ!!!





「顔は良いかも知れないけど、服着ろ!パンツ1枚でウロウロするな!」

「………?何で?」


 そこに疑問を持つな!

「部屋のカーテン空けるぞ!」

「あ、うん。いいよー」


「………………………」



 そしてキラは反撃する気力も失せてしまった。





「予定通り行けばあと1ヶ月ほどですわね」


 まるで出産間近の妊婦にでも言うようにラクスは言う。

 ここ2ヶ月ほどのとんでもない<特訓>の成果は着実に現れていた。


「僕、AV女優じゃないのに!!」

 キラの悲痛な叫びはもちろん無視される。


「あと少しの辛抱ですわ。わたくしならまだしも妹までこの部屋に乗り込んできては、あなたの静かな生活は保障できません」


「今でも、充分静かじゃないよ!」



「一度お決めになったことでしょう?四の五の仰いますとアスランよりも先にわたくしがキラさまのお口を塞ぎますわよ」


 キラは固まる。


 ごめん…そういうシュミないんです。それならまだ真症変態でもデリカシー無くても、一応男で顔の良いアスランの方がいい。


「ごめんなさい!ごめんなさい!!僕が悪うございました!!!」



「結構。仰るとおりあなたは女優ではないのですから、本気でアスランの相手をしている表情をして頂かねばなりません。少しの間、ご辛抱下さいね」



 合わせてみっちり3ヶ月は到底少しの間とも思えなかったが、問題にもしてもらえない。

 結局その日も面白いようにラクスのオモチャになった。





 そうして初夏はとっくの間に通り過ぎ、本格的な夏になった。


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言い訳v:ごめんなさいごめんなさい!ラク→キラは伏線^^;伏線だからっ!…と、強調してみるwww

次回予告:えろるな証拠写真撮影会^^;

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