−2008−
忘れられない前触れ・後編
「恥ずかしがることないよ。だって、あるんだから」 「酷すぎる…」 「え?俺が嫌いになった?だとしたら、ちょっと困る…」 「き…嫌いとかそー言うんじゃなくって、デリカシーがない人はいや…」 きゅん! アスランの胸の中で何かがはじけた。途端に真剣になる表情。 「ね、本当にキスとかも初めて?」 「関係ないって思ってた…」 アスランがやんわりと誘導してキラをベッドの上に押し倒すように座らせた。それでもキラはどこかなすがままで、免疫のなさを感じさせる。 いつもの強気な感じはどこにもなかった。 「嫌いなら、ちゃんと逃げて。チャンスあげるから」 そう言って両手で肩を掴む。ゆっくりを顔を近づけて重なる寸前でぴたりと止めた。 「俺はいや?」 そっと囁く。彼女がどういうふうに感じるか、全て計算して。 「わかんない…」 キラは思惑通り、動揺しまくっていた。 「君には失敗させたくないな」 言葉に詰まる。こういう場合なんて言ったらいいか判らない。キラの両手が行き先を探し、アスランの腕を掴むことで落ち着いた。 精一杯後ろに下がろうとしても、もう背中と壁の間に余裕はない。彼が少し動く気配がして瞬間的に目をつむった。 「ぅ………」 聞こえたのは最初の小さな一言だけ。今まで散々大げんかをしていた部屋が急に静まりかえった。アスランは唇を動かしながらねちこくねちこく彼女を攻める。 初めてにしては熱すぎるキスの終わりは、とある闖入者の一言で強制的にもたらされた。 「まぁwこれはなんてわたくしに都合がよいのでしょう!!」 声が聞こえてガバッと離れ、そして二人同時にダイニングの方向に目が釘付けになっていた。キラの視界はまっぴんくに染まった。 「ら……ラクス!お前、いつの間に!!!」 「わたくしチャイムも押しましたのよ。ノックもしましたのよ。居留守なんてアスランは卑劣な手段を使いますのねと思っていましたら、こんな素敵なことをなされていたのですね」 「鳴らなかった!聞こえなかった!また黙って入ってきたんだろう」 「アスランが耳が悪くなってたなんて知りませんでしたわ。でもよく考えてみればそうですわね。余計な邪魔者よりも素敵なことに集中されていた方があなたには都合がよいですわね」 「俺は健常者だ!」 ラクスに向かって怒鳴るアスランの下で、キラはひたすら固まっていた。状況は彼女には全然理解できていない。にこにこしながらラクスは二人の元へやってくる。そしてとんでもない<お願い>をしてきた。 「アスランが好きなのですね」 とっさにキラは正直にこれが契約だと明かしかけ、慌てたアスランから脇腹を軽くつねられる。はたと気づいてキラは約束通りに返事を返した。 「彼と、そのつ…付き合って、るんです」 「それなら話が早いですわ。わたくしもあなた達の恋に大賛成ですのwいえむしろこのまま最後まで行っちゃって欲しい勢いなのですが」 「………え?」 キラは拍子抜けした。確かアスランはミーアとか言う人に付きまとわれて、困っているはずでは??? 「もう一度キスしてくださいなw」 「「ぇえ〜〜〜〜〜っ!?」」 「先ほどのような、素敵なキスをしてくださいなと申し上げたのです。わたくしにはとても愛し合っているように見えますし、お二人は両想いのようですし簡単なことですわよね」 「ちょっ!ラクス!どういうつもりだ!!」 「しかも拝見する限りアスラン、あなたはスタンバイ完了のようですし」 言われて初めて気がついた。アスランは依然素っ裸のままなのである。更に悪いことにはそれを指摘されても尚、堂々としているアスラン。 「ちょっと!やめてよ!服着てよ!!恥ずかしい!!!」 キラの悲痛な叫びは全くラクスには届かなかった。 「わたくし、できればキラさまにも服を脱いで欲しいところなのですけど…」 ドッカァァァアアァァァアアアーーーーーーーンンン!!!!!!! 「何を考えている!ラクス…」 「わたくし、お二人が仲むつまじく愛し合われている証拠写真が欲しいんですのw」 「い〜〜や〜〜〜だぁあああ!」 「できるか!」 「うふふ。イヤでも何でもわたくしに絶対的に協力して貰いますわよアスラン。あなたも決め手が欲しいのでしょう?」 その後のラクスの説得に、結局二人は屈した……。 キラ誕編前編へ→ −−−*−−−*−−−*−−−*−−−*−−−*−−−*−− 言い訳v:wwwな場面をいつも期待させては裏切っていますごめんなさい。 次回予告:世界の歌姫と超人気写真家が、キラの部屋に入り浸る!そしてオタクに毒されていく新世界…(ぇ) |
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