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4'th stage 中編2
どうにもヘンな話になった。なぜならばアスランがキラの記憶を最優先したからだった。 「キラ!………本を貸してくれ」 「へ?あ………はいv図書館のカードはお持ちですか?」 「カード?いや、作ってない。俺のためにキラが作ってくれるの?」 途端にキラの頭は仕事モードになり、アスランの記憶が順次追加され始めた。 「ええ。僕ここの司書ですから。この用紙に〜必要事項を書いてくださいね」 何と言うことはない一般的なカードの申請書に、アスランはウキウキと名前やら住所やらを書き込んでいく。こんなことでキラの記憶の中に今までどう足掻いても入らなかった自分の記憶が入るとは思わなかった。 アスランの書いた用紙を見ながらキラが次々とデータをパソコンに打ち込んでゆく。 「へぇ、キータッチ…早いんだ」 「仕事ですから」 最後にプリンターに出力されたカードをラミネートしてアスランに渡す。 「建物が空いてるのは平日の朝10時から夜6時までで、その間貸出と返却ができます。どうしても間に合わない場合は入口前の返却ポストを利用してください…」 「キラ?」 「はい?ちょっと待って下さい。今大事な説明をしてるんです」 「そんなことはどうでもいいから「よくありませんっ!僕の話をちゃんと最後まで聞いて、利用規約を守ってもらわないと困るんです」 恐らく初めてかも知れないキラの真剣な態度にアスランは面食らった。その間につらつらと言われる説明を、話半分で聞いていた。 「……というわけで、1週間ですからね。ちゃんと聞いてます?ザラさん」 「ぇ?あ、聞いてる聞いてる。けど、俺仕事の関係で時間が不規則だから、電話してくれる?」 これを利用しないと、キラとまともに話すらできないと思った。 今回アスランがとても必死だった。声をかけた女の子に、こうまでも忘れ続けられるなんて経験、無かったから。だから、彼女の携帯に自分のナンバーを登録してもらった。 ここで知ったことなのだが、あれだけ言ってもキラの携帯の電話帳には自分のナンバーはちっとも入っていなかった。 (見事だよな…キラ……) 「これで忘れるなんて事はないね」 アスランがそう言うと、キラは見事に勘違いしてくれた。 「大丈夫。返し忘れるなんて事にはならないと思いますよ」 ……………で、あんな会話があった5日後。アスランはドラマの撮影でスタジオに缶詰になっていた。時刻はもうそろそろ日付が変わる頃。 休憩の間に携帯を確認するとキラからの着信が入っていた。時間を見るかぎり撮影中で出られなかったときだ。時間が遅いかな?とも思ったが彼女の携帯にかけると少しして電話に出てくれた。 「どしたんですか?ザラさん…こんな遅くに」 「ごめんね、キラ…今日電話してくれたみたいで」 「ええ。次の月曜日までの返却なので、金曜日に電話すればいいかなって思ったんですけど、ごめんなさいお仕事中だったんですね」 「うん。今も仕事中。しばらく缶詰になりそうだから、上司に言って一旦家に帰ろうと思うんだ。今から住所言うから、悪いけど来て欲しい。借りた本、返せそうになくって」 アスランの自宅や仕事になんかちっとも興味はないが、仕事の話になりキラの頭は一気に仕事モードにシフトした。 「判りました。今から取りに伺いますね」 電話を切り、アスランはニヤリと笑った。 1時間後、本当に部屋で荷物をバッグに詰めていたら、キラが来た。彼女を迎え入れ、玄関の扉を閉めたところでアスランは早速彼女を抱きしめた。 「キラ…会いたかった」 「僕も、会えて良かったです」 後編へ→ いいわけ:端から見るかぎりには、いい雰囲気。 次回予告:キラの身体に重大事変が〜〜〜〜〜っ!!!!! |
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