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3'rd stage 後編
アスランはマンションにはいなかった。仕事が入っているわけではない。彼は今、事務所でコッテリしぼられていた。 「いい加減にしろと、何度言ったら判るのアナタは!」 「悪いことはしてない」 「いい悪いの問題じゃありません」 「向こうも乗り気だったし…」 事務所の専務のアオスジが爆発するのに、今回も大して時間はかからなかった。 「あちらの事務所からも内々に抗議文が届いています」 「アレはアッサリバラすミーアも悪い」 「ひとつ聞きたいわ。アナタの中に罪悪感とか、相手に対する思いやりとかはないの?」 アスランはしれっとした表情で答える。 「罪悪感はない。大体、恋愛は悪事じゃない。思いやりはある。俺もちゃんと愛している」 「論理がずれてます!もぉっ!キャンベル嬢とのことが広がったら仕事にも支障がでるんですからね!」 そう言って、DESTINYプロの専務タリア・グラディスは何の気なしにTVを付け………新たなる大問題にあ然となった。 「キラ…っ!!!」 アスランが画面に向かって叫ぶ。今コッテリしぼられたことをそっちのけに、彼は早速ワイドショーに釘付けになった。 「何?また新しい女の子?今度はどこのプロダクションよ!」 だが既にアスランは聞いていなかった。 「あぁっキラ?何でこんなとこに。いや、そんなことより、昼間見ても可愛いな〜」 その瞬間、アスランの腹に見事な蹴りがめり込む。 「ふぐぉ……っ!いきなり、何………を…ッ」 「それはこっちのセリフよ!ああできることならその顔面が二度と元に戻らないほど殴り倒してやりたいわッ」 顔は芸能人の商売道具。事務所としても今、アスランは手放せなかった。 「キラ可愛い可愛い可愛い………………」 「だから、どこの事務所の子よ!」 「ん〜?キラは一般人……」 アスランはキラに釘付けでうわのそらだった。 「ああそう、一般じ………一般人!!?」 「ああでもキラ何でこんな目に遭ってるんだろう?」 タリアは叫ぶ。 「それはあなたがちょっかいを出したからでしょ〜〜〜〜〜がッッ!!!!!」 「ああ可哀相に。急にこんなに囲まれて…不安がってる……」 一応そう言うことは判るらしい。しかしだ。 「全部アンタのせいでしょうが!」 「俺が…護ってあげなきゃ………」 「逆です!この大バカモノ!!!」 タリアが怒鳴っているうちにワイドショーは進んでいく。彼女は新恋人説を完全否定?とか言う字幕までつけられて。そんでもって、ワイドショーで好き勝手に批評までされて。 「アスラン?判っているわね?アナタのマンションが留守と判った瞬間、彼らの足は一目散にこちらに向かっているのよ」 タリアが釘を差す、一応。 「…だろうね」 「他人事じゃないでしょ!」 「大丈夫だよ。キラに迷惑がかからないように、ちゃんとかわすから」 「今は誰とも付き合っていない。俳優のことしか考えていない。答えはこのどちらかよ!」 「はーい」 しかし、どやどやと押し寄せてきたレポーター達にアスランはこう答えたのだった。 <俺から付き合ってくれって言ったんだけど、振られたんだ…> 4'th stage(キラ誕) 前編へ→ シリーズインデックスへ戻る→ いいわけ:2007キラ誕までの中継ぎ。大変なことになってきました。キラは気づいてはいませんが、彼女の姿は既に全国放送されています。この時点でキラピンチです(笑) |