34567キリ番リクエスト
−第9話−
チラと聞いた話では、確かに判らなくもない。しかし…だ。 <男の人は嫌い> それは今の姿のアスランには最後通告に近い衝撃だった。 (あの彼に追いかけられ、俺に絡まれ…恐かったんだろうな……) だが同時に、理解しがたい…いや納得したくない話もあるわけで。 (あの彼の友人はホモ野郎…?だとしたらキラはレズに走ろうとしているのか?) 危険なことを考えて、思考を振り払うように頭を振った。 (マテマテマテマテ俺!いくらなんでも短絡過ぎる。彼と別れた=彼の友人がホモだった=男嫌いになった=逆に走る……とはならないハズだ) そうだ。ただ単に男性不信のままなのかも知れないじゃないか!時間が薬とか言うヤツで、時期が来たら忘れられるかも知れないじゃないか! 「また…キラに会えないかな……」 ふと呟いた。出来れば今の姿のままで。何の気後れもない、今の気持ちのままで。アスランは彼女が走り去っていった方角を見つめ続けている。この日、照りつける太陽の光が、やたらまぶしかった。 「さて。ここからは俺の戦闘タイムだ」 時刻を見ると午後4時半。今から着替えて、部屋に戻れば夕食の時間に間に合う。部屋に簡単なキッチンも備えてはあるが、元来男だし、ひとり分のおかずを作る気にもなれなくて、学食を利用している。 しかも、何の間違いか、自分たちの学年だけやたら内容が良いのであった。 「みんな必死になる訳か……」 それにしてもやり方が酷く露骨である。母に苦情を言ったら、これがオトナの世界なのよ〜とか訳のわか……りたくないことを言っていたが、ただ単に面白そうなことが大好きなだけなのだ母は。 「みんな、踊らされている…」 脳裏に響く母の甲高い高笑は、この時ばかりはやたら耳に触った。 部屋に戻るとキラは先に帰っていて。表の人だかりがなんだかざわついていた。 「何かあったの?」 「キラ…変なの。昼から機嫌良く買い物に行くって出かけたんだけど、今さっき泣きながら帰ってきて…」 「泣きながら?」 「何も言わずにドアを閉めて、出てこなくなってしまったのよ」 「アリス、何か心当たりない?」 「……ぃや…」 ありすぎて、言えなかった。 改めてドアをノックするが、中からやはり返事はなかった。 「アリスだけど…ひとりの方がいい?」 しばらく待って、ドア付近から微かな返事があった。 「何も食べたくない…」 どうやらキラは夕食に誘いに来たのだと勘違いしていて。しかし、相当泣きはらした後のようなかすれた声が、やたら痛ましかった。 「ダメみたい。一人にしてあげようよ」 すると周りの人も理解してくれたのか、ちらほらとその場を去り始めた。アスランは自分が最後のひとりであることを確認して、その場を去った。 そして何時間か経ち夜遅く。みんなが寝静まった頃、キラの部屋の内線にそっとかける。すると彼女はすぐに出てくれた。 「起きてたの?」 「眠れなくて」 「顔、真っ赤になってるよ」 「そんなことないもん!そんな…こと」 「じゃ、明日は平気な顔して授業に出られるね?」 「……ぅ………」 「今から、行くよ?」 画面の中、キラは未だに戸惑っていた。 「友達には、話せない話?」 涙を一条ほろりとこぼして、キラはOKを出した。彼女の答えにアスランはホッとする。それがとんでもない幕開けだとも知らないで。 「い…いらっしゃい」 「ほら、やっぱりキラ、泣いてた」 「そんなことない!そんなことない!」 「キラの涙は私には隠せないよ」 ちょっとだけ彼女をからかって、まぶたに浮かぶ涙をそっと指で掬い取る。ふぇ…という声とともに彼女は、本気で泣き出してしまった。 震える彼女をベッドに座らせ、自分も隣に腰掛けて、彼女の背中をあやすようにさする。それがアスランにできる全てだった。 一通り泣くと、キラは自分に頭を預けてきた。女の子独特の感触に知らず、心臓が高鳴るが、彼女にとっては同性同士。しかも彼女は極端な男嫌い。ここでばれるわけには行かなかった。 「今日、元彼に会っちゃって……」 「ぅん…」 ポツリポツリと彼女は話し始めた。判ってはいたが、昼間の話を一通り聞かされた。 「バカみたいだよね?ちゃんと、彼氏いるのにさ、僕のこと好きだとか言って……」 「キラ……」 「確かにみんなの言うとおり、僕なんかよりもずっとバレル君とピッタリだったんだ」 キラからの一方的な話なので、どこまでが真実の話なのかはよく判らない。だが、素直に聞いておいた。 「なのに僕……ひとりだけ気づかなくて、ずっと浮かれてた……」 アスランは黙って聞き続ける。 「あの街に…帰れなくなっちゃったよ」 ポツ…ッとアスランのスカートの上に小さなしみが出来た。 「キラはここで、充分やり直せるよ」 「悔しいよ、アリス」 「キラ…」 「アイツらを…僕のプライドを粉々にしたアイツを、見返してやりたい」 キラの気持ちは、痛いほど判った。なまじ側にいる分彼女の気持ちがダイレクトに伝わってくるような感じがした。 しかし、彼女の発想はどこかずれていて。この時アスランは更なる身の危険と隣り合わせの学生生活になるなど、夢にも思っていなかった。 「知り合ったばかりの君に、こんなこと相談するなんて嫌な女だと思われるかも知れないけど、ゴメンね。今の僕ならどんな酷いことだって言えそう…」 「何?言って良いよ」 「ホントに?何でも許してくれる?」 「もちろん」 「カノジョが…欲しい……」 第10話へ→ *Freedom*What does it mean that they said Freedom and Justice?I understand it is my life and my heartful girlfreiend!!*Justice* いいわけv:又聞き→想像→又聞きをくり返すととんでもない話になるという話(笑) 次回予告:キラvsアスラン、ギリギリの攻防戦。 |
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